“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「わたしと日産」(西川廣人著/講談社)

2024-05-22 09:38:29 |    企業経営



<新刊情報>



書名:わたしと日産~巨大自動車産業の光と影~

著者:西川廣人

発行:講談社

 衝撃の回顧録、ついに刊行。高度成長、バブル、経営危機、V字回復、そしてゴーン逮捕──ゴーン会長のもと、日産社長を務めた男はそのとき何を考えていたのか? 赤裸々に明かされる白熱の手記。グローバル化の渦中にいる全ビジネスマン必携の書。「面接兼挨拶の日、私は日産本社(当時は東銀座)の15階にあるゴーンCEOの執務室に呼ばれた。会議をはさんで、私の前に腰を下ろしたゴーンは、世間話や抽象的な話などは全部すっ飛ばし、いきなりこう切り出した。『オーケー、サイカワサン。購買部にとって重要なのはコストダウンの目標を達成することだ。進み具合はどうなっている?』」(本文より)。ゴーンとやりあい、マクロンに歯向かった日本人サラリーマン。彼が目撃した巨大産業「もうひとつの戦後史」。【目次】第一章 不正発覚 第二章 ゴーン事件とは何だったか 第三章 「非主流」のサラリーマン 第四章 海外へ 第五章 ルノーの救済 第六章 ゴーンの変質 第七章 圧力 第八章 退社まで 第九章 次世代のビジネスパーソンへ
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「カラー徹底図解 基本からわかる二次電池」(松本 太監修/ナツメ社)

2024-05-22 09:38:02 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:カラー徹底図解 基本からわかる二次電池

監修:松本 太

発行:ナツメ社

 化学電池は、一次電池、二次電池、燃料電池に分けることができる。一次電池には、アルカリ乾電池などがあり、二次電池には、リチウムイオン電池がある。燃料電池は、蓄えられた燃料を使用し、電気エネルギーに変換するシステム。その中で、同書は、現在、もっとも注目されている二次電池にスポットあてて、わかりやすく解説。二次電池の中でもよく使われている、鉛蓄電池、ニッケル系二次電池、ニッケル水素電池、リチウム系電池、リチウムイオン電池のしくみを解説。また、今、注目されている最新の技術、全固体電池や次世代二次電池についても紹介。
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●科学技術ニュース●NIMS、AGCとJASRI、ガラスがより硬く割れにくく変身する過程の直接観測に成功

2024-05-22 09:37:31 |    化学
 物質・材料研究機構(NIMS)とAGC株式会社、高輝度光科学研究センター (JASRI)からなる研究チームは、ガラスが部分的に結晶化し、強度や耐熱性が向上したガラスセラミックスと呼ばれる材料に変化する初期過程を観測することに成功した。

 さらに、放射光計測を中心としたX線マルチスケール構造解析の結果に基づき、ガラス中に結晶の核が生成するメカニズムを原子レベルからナノメートルの空間スケールで矛盾なく説明できるモデルを提案した。

 ガラスセラミックスを得るためには、熱処理によって部分的に結晶が析出するように組成を設計・制御したガラスを合成することが必要となる。

 ガラスセラミックスの構造については、母相であるガラスの中に結晶の種である結晶核が生成し、そこから結晶粒子が成長していくと考えられているが、ガラスの中に結晶核がどのように生成・成長してガラスセラミックスが得られるのかは明らかにされていなかった。

 今回、同研究チームは、応用面で最も一般的かつ重要な酸化ジルコニウム (ZrO2) を添加したリチウムアルミノケイ酸塩ガラスを対象に選び、そのガラスがガラスセラミックスに変化する初期過程を、放射光計測を中心としたX線マルチスケール構造解析によって観測した。

 ナノスケールでの構造計測では、熱処理前のガラスにもともと存在したジルコニウム (Zr) が豊富な領域とZrが希薄な領域の間の分離が熱処理によって促進され、Zrが豊富な領域でナノサイズの微小な大きさを保ったまま結晶核の形成が進行することが明らかになった。

 さらに、Zrを選択的に観測できる構造計測技術を駆使することによって、ZrO2結晶核の周囲にはZrが酸素 (O) を介してシリコン (Si) やアルミニウム (Al) と連結したZr–O–Si/Al結合が存在することを初めて見出し、初期の結晶核の構造を明らかにした。

 そして、ガラス中に結晶核が生成するメカニズムを原子レベルからナノメートルの広い空間スケールで矛盾なく説明できるモデルを提案することに成功した。

 同研究で用いられた構造解析手法は、複雑な組成と乱れた原子配列を有する実用材料にも適用できるもの。

 今後は、様々な実用材料の機能発現メカニズムを明らかにし、その知見を基にした新規高機能材料の合成を目指していきく。

 同研究は、NIMSマテリアル基盤研究センターの小野寺陽平主任研究員、小原真司グループリーダー、AGC株式会社の滝本康幸マネージャー、土屋博之マネージャー、李清マネージャー、JASRIの田尻寛男主幹研究員、伊奈稔哲研究員からなる研究チームによって、日本学術振興会科学研究費助成事業・学術変革領域研究 (A) 「超秩序構造が創造する物性科学」基盤研究 (C) の一環として行われた。<物質・材料研究機構(NIMS)>
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●科学技術ニュース●ラピダスと米エスペラント、共同で低消費電力のデータセンター向けAI半導体の開発・製造を推進

2024-05-22 09:37:04 |    電気・電子工学
 ラピダスは、RISC-Vベースのコンピューティング・ソリューションを開発する米エスペラント・テクノロジーズと、協力覚書を締結した。

 今回の協力覚書締結により、本格的なAI時代の到来で必須となる低消費電力のデータセンター向けAI半導体の開発・製造を推進していく。

 エスペラント・テクノロジーズは、オープンスタンダードのRISC-V命令セット・アーキテクチャをベースに、人工知能/機械学習のための高性能なコンピューティング・ソリューションを開発している。同社は生成AIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の分野において、高いエネルギー効率を実現する半導体設計技術を有している。

 一方、ラピダスは、北海道・千歳市において、国内初となる2ナノメートル(nm)以下の最先端ロジック半導体を製造する施設「IIM(Integrated Innovation for Manufacturing)」の建設を、2023年9月から開始した。

 ラピダスは、並行して現在、世界最先端の半導体研究拠点の一つである米国ニューヨーク州のAlbany Nanotech Complexに研究員を派遣し、IBMとの協働により、2nmのロジック半導体生産に関する技術開発を進めている。

 また、べルギーの微細電子工学研究機関「imec(アイメック)」において、最先端半導体の生産に不可欠なEUV露光装置の技術を習得する予定。

 こうした技術を活用し、IIM-1において2025年4月にパイロットラインを稼働し、2027年には量産を開始する計画。

 生成AIに代表される本格的なAI時代の到来を迎える中で、データセンターの消費電力量が増加している。AIで文章や画像を自動生成するために大量のデータを機械学習する必要があり、そのために大量の電力が必要となっている。

 IEA(国際エネルギー機関)によると、世界のデータセンターでは、生成AIなどの影響で電力需要が伸びており、2026年には約1,000TWhに達する可能性があるとされている。これは日本全体の総電力消費量に匹敵する数字。

 このような状況を踏まえ、今後省エネルギーを実現させる半導体開発・製造が必須となる。

 ラピダスが製造を目指す2nmノード半導体は、従来の半導体よりもさらに微細化されることにより、処理性能の向上だけでなく、消費電力を飛躍的に低減することが可能となる。

 今回協力覚書を締結したエスペラント・テクノロジーズは、生成AI、HPC、エッジデバイスなど様々な分野で消費電力性能に優れた製品開発を行っており、同社との協業による次世代半導体の設計・製造によって、AI時代に即したエネルギー効率に優れた製品開発を目指す。<ラピダス>
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