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★科学技術ニュース★京都大学など、高強度テラヘルツパルスによる相変化材料の新たな結晶成長機構を発見

2018-10-23 10:10:20 |    電気・電子工学

 京都大学 、筑波大学、東海大学、産業技術総合研究所の研究グループは、高強度テラヘルツパルスを相変化材料GeSbTe化合物(GST)に照射すると、アモルファス状態からナノスケールで結晶成長する機構を発見した。GSTは現在使用されている記録型DVDや次世代の不揮発性固体メモリとして期待されている相変化メモリの記録材料。

 同研究では、世界最高強度のテラヘルツパルスの発生技術を駆使することで、ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い高電場パルスをGSTに加えることに成功し、電場方向へ選択的にナノスケールの結晶成長が生じることを明らかにした。同研究成果は、メモリのスイッチング動作において瞬間的に生じる高電場効果を明らかにし、またナノスケールという極めて小さな構造変化の誘起が可能なことを示したものであり、今後相変化メモリの小型化や高効率化にもつながると期待される。

 同研究によって高電場物性制御研究の基盤技術を構築できたといえる。

 これは、次世代エレクトロニクス技術の開発に向けて極めて重要な課題である「高電場による物質の制御」を目指した研究を加速させると期待される。

 今後は、グラフェンに代表される単原子層物質やトポロジカル物質、磁性体など、さまざまな新規電子材料の高電場現象解明に同プラットフォームを利用し、新機能の発現と物質制御の研究へと発展させる。


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