“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「AIなき世界に戻れるか?」(須藤 靖著/集英社インターナショナル)

2024-08-21 09:41:05 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:AIなき世界に戻れるか?~物理学者、17の思考実験~

著者:須藤 靖

発行:集英社インターナショナル(インターナショナル新書)

 人間はこの世界をどこまで理解できるのか?大きなテーマを軽やかに綴る科学エッセイ。「AIが人類の存在を脅かしそうになったら、電源を引っこ抜くかハンマーで壊してしまえばいい」という過激な意見がある。だが実際、AIのない世界は実現可能だろうか?AIの氾濫という現代的なテーマから、この宇宙が法則に支配されていることの不思議をマルチバース宇宙論から読み解こうとする根源的な試み、さらには、アインシュタイン、シュレーディンガーなど著名な物理学者のスキャンダルにいたるまで、自由な発想とユーモラスな文体で読む者をわくわくさせる17篇のエッセイ。【著者】須藤 靖 高知工科大学特任教授。1958年、高知県生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了(理学博士)。宇宙物理学、特に観測的宇宙論と太陽系外惑星が専門。東京大学大学院理学研究科物理学専攻教授を経て現職。著書に『一般相対論入門』(日本評論社)、『ものの大きさ』『人生一般ニ相対論』(東京大学出版会)、『この空のかなた』(亜紀書房)、『不自然な宇宙』(講談社ブルーバックス)、『宇宙は数式でできている』『宇宙する頭脳』(共に朝日新書)など多数。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ビジネススクール企業分析 ゼロからわかる価値創造の戦略と財務」(西山 茂編著/日経BP)

2024-08-21 09:40:27 |    企業経営



<新刊情報>



書名:ビジネススクール企業分析 ゼロからわかる価値創造の戦略と財務

編著:西山 茂

発行:日経BP

 高PBR企業の強さの秘密を解明。資本効率を高め、成長の限界を突破していく経営とは?持続的な業績拡大を通じて企業価値向上を実現した高PBR企業を取り上げ、その戦略やビジネスモデルを会計的な視点から解説。事業分野の選択をはじめとする全社戦略、競争優位を実現する事業戦略やビジネスモデル、経営管理体制やガバナンスなどを包括的に分析。【目次】序章 PBRから考える企業価値の向上 第1部 資本効率の向上 第2部 ビジネスモデルの創造 第3部 成長の限界の突破
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●科学技術ニュース●理研、超伝導量子素子へ向けた重要な一歩となる磁場のない条件下で超伝導ダイオード効果を観測

2024-08-21 09:39:52 |    電気・電子工学
 理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター 創発デバイス研究グループの板橋 勇輝 基礎科学特別研究員、岩佐 義宏 グループディレクター、創発光物性研究グループの王 子謙 特別研究員(研究当時)、小川 直毅 グループディレクターらの共同研究グループは、界面や特殊な形状を考えない物質そのもの(バルク)で空間反転対称性の破れた三回回転対称性を持つ超伝導体である「PbTaSe2」が、磁場や磁化の存在しない条件下で超伝導ダイオード効果を示すことを発見した。

 同研究成果は、空間反転対称性の破れた超伝導体における新機能の開拓を推進し、外部からの磁場や磁化といった時間反転対称性の破れを必要としない、より応用に即した超伝導ダイオード素子の実現へ向けた重要な知見となると期待される。

 電流には、エネルギーを失う通常の電流(常伝導電流)と、エネルギーを失わない超伝導電流がある。

 電流を流す向きによって超伝導電流と常伝導電流を切り替えることができる超伝導ダイオード効果は、超伝導体を用いたエネルギー損失の少ない電子回路である超伝導量子回路などへの応用が期待される新しい現象で、最近盛んに研究が行われている。

 これまでは、外部磁場や磁化が存在する条件下で主に研究がなされてきたが、応用を視野に入れると磁場のない状況での動作の確立が重要。

 同研究では、磁場や磁化が存在しない条件下で超伝導ダイオード効果を初めて観測し、その効果が空間反転対称性の破れた結晶構造という本質的な起源によることを実証した。

 同研究では、空間反転対称性の破れた結晶構造を持つ超伝導体の一種であるPbTaSe2において、時間反転対称条件下での超伝導ダイオード効果を観測した。

 一般的に超伝導ダイオード効果の発現には時間反転対称性の破れ(外部磁場や磁化の存在)が必要であると考えられているが、今回の結果は、超伝導ダイオード効果が必ずしも時間反転対称性の破れを必要としない可能性を示唆している。

 今後は、さまざまな空間反転対称性の破れた超伝導体における超伝導ダイオード効果の観測や、理論的な微視的機構の解明、さらには超伝導ダイオード効果の巨大化(正および負の臨界電流の差の拡大)が期待される。<理化学研究所(理研)>
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●科学技術ニュース●東レ、農作物の光合成に必要な可視光を透過しハウス内気温を上昇させる赤外光は遮蔽する農業用遮熱シートを開発

2024-08-21 09:39:01 |    生物・医学
 東レは、ビニールハウスに被覆することで農作物の光合成に必要な可視光を透過し、ハウス内気温を上昇させる赤外光は遮蔽する農業用遮熱シートを開発した。

 同シートの効果により、農作物の高温に対するリスクの軽減と、ハウス内作業従事者の熱中症リスクの回避・軽減等の労働環境の改善が期待される。
 
 2025年春の本格販売を目指し、2024年7月から農業者へサンプルを提供し、モニター評価を開始する。

 近年の温暖化傾向により、ビニールハウス内が高温となる夏季の作型については、農作物の品質低下や収穫量の減少が顕在化している。特に、ハウストマトは夏季に裂果や着果不良といった高温障害が発生し、収穫量が減少する課題がある。

 東レでは、2018年から石川県と公益財団法人いしかわ農業総合支援機構、石川県内のトマト農家とともに「新たな遮熱資材を活用した高収益施設園芸モデル構築コンソーシアム」を組織し、農業用遮熱シートの開発と実証試験を進めてきた。

 コンソーシアムでは、東レが中心となり、可視光の透過性が高く、赤外光を吸収・反射する遮蔽性に優れた機能剤を見いだし、それを添加したフラットヤーン(フィルムを短冊状に裁断した糸)を開発した。

 加えて、製品重量や取り扱い性も考慮した織物を設計し、2023年に高採光性と高遮熱性を両立する本シートを実現した。

 東レの調査では、同シートは、トマト栽培において、石川県内で多く使用されている既製品(可視光、赤外光を一律に遮蔽)を使用した場合と比較して、夏季のハウス内日中平均気温(6時~18時)を最大約3℃、最高気温では最大約5℃低下し、トマトの裂果や着果不良といった高温障害の発生が軽減されることを確認した。

 2025年春の本格販売に向け、実証点数を増加し、遮熱効果、トマトの収量性、資材の展張性や収納性などについて評価する計画。

 また、同シートはトマト以外の施設園芸作物や、明るさと遮熱性を両立するオーニングやシェードへの応用、展開も目指す。<東レ>
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