“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「イノベーションの世界地図」(上原正詩著/技術評論社)

2024-08-02 09:32:37 |    企業経営



<新刊情報>



書名:イノベーションの世界地図~スタートアップ、ベンチャーキャピタル、都市が描く未来

著者:上原正詩 

発行:技術評論社

 未来の世界を牽引するイノベーションは、どこで、どのようにして生まれるのか?コロナ禍、相次ぐ戦争、米中対立など、この数年の世界情勢の先行きは予測困難を極めた。メタバースや生成AIなどの新技術が人々を驚かせた時期でもあった。一方で眼前の日本社会には少子高齢化や経済の低迷などの課題が山積したまま。停滞する現状を打破すべくイノベーションに期待する声は小さくないが、「未来」を想像することが困難な時代において、イノベーションの行く末をどのように見定めればよいのか。同書では「ベンチャーキャピタル(VC)」と「都市」の二つに注目し、イノベーションの原動力となる「スタートアップ」がいかにして生まれ成長してきたか解説し。VCとスタートアップはともに成長を重ねた存在であり、リスクをとって投資先を見極めるVCの動向は技術の未来を示す道標となる。そしてスタートアップ、なかでも評価額が巨額な“ユニコーン”は特定の都市に偏在する性質がある。ユニコーンが生まれる都市には“生態系”の秘密がある。イノベーションはどのようにして生まれたのか。未来はどこに向かうのか。そして日本はいかにすべきなのか。同書はその秘密と疑問を解き明かす。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「線形代数とグラスマン多様体」(高崎金久著/日本評論社)

2024-08-02 09:32:14 |    数学



<新刊情報>



書名:線形代数とグラスマン多様体

著者:高崎金久

発行:日本評論社

 射影幾何学から誕生し、線形代数の言葉で定義できるグラスマン多様体。その構造や性質を紐解きつつ、応用面まで幅広く解説する。【目次】第1章 グラスマン多様体 第2章 グラスマン多様体の分割 第3章 無限次元グラスマン多様体 第4章 ツイスター理論と超幾何函数への応用 第5章 リッカチ方程式・バーガース方程式とKP階層への応用(注)グラスマン多様体とは、線形代数や幾何学における重要な概念で、具体的には、あるベクトル空間の部分空間全体の集合を表す。 
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●科学技術ニュース●岡山大学など、結晶中のトリウム229原子核アイソマーをX線で制御に成功し超高精度「固体原子核時計」実現に向けて大きく前進

2024-08-02 09:31:40 |    物理
 岡山大学異分野基礎科学研究所の吉村浩司教授、吉見彰洋准教授、平木貴宏研究助教、高輝度光科学研究センター(JASRI)の依田芳卓主幹研究員、永澤延元研究員、京都大学複合原子力科学研究所の瀬戸誠教授、北尾真司准教授、理化学研究所の山口敦史専任研究員、重河優大特別研究員、羽場宏光室長、玉作賢治チームリーダー、大阪大学大学院理学研究科の笠松良崇教授、産業技術総合研究所(産総研)の渡部司上級主任研究員、ウィーン工科大学のThorsten Schumm教授らの共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」(兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す理化学研究所の施設)の高輝度X線を用いて、固体結晶中のトリウム229をアイソマー状態に励起し、それが基底状態に戻る際の光を観測することに成功した。

 この際、アイソマー状態のほぼすべてが光を発して遷移することを確認し、その寿命とエネルギーを測定した。

 さらに、X線照射によってアイソマー状態の寿命を10分の1程度に短くできることを発見した。

 これは、固体結晶中のアイソマー状態を外部から制御できることを示すもの。

 これらの成果により固体原子核時計の実現に向けて大きく前進が期待される。

 同研究の意義のひとつは、固体結晶中に埋めこんだトリウム229をX線によって励起することに成功し、その脱励起光を観測した点にある。

 固体結晶中に埋めこむと、光を出さずに電子を放出する遷移(内部転換過程)で脱励起する可能性もあったが、今回の観測により、ほぼすべてのアイソマー状態が光遷移で基底状態に戻ることが示された。

 またX線照射によりアイソマー状態の寿命が制御可能なことが分かった。

 これらは固体原子核時計の実現に必要な情報であり、その実現に大きく前進したということができる。

 今後、この手法を進化させて、さらにその詳細を明らかにして、高精度のレーザー(開発中)と組み合わせることで、原子核時計を実現していくことを目標にしている。<産業技術総合研究所(AIST)>
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●科学技術ニュース●3DプリンターのNTTデータ ザムテクノロジーズと英Alloyed社、株式および業務提携を締結

2024-08-02 09:31:09 |    機械工学
 NTTデータは、世界有数の冶金研究者を有し、合金設計技術と、それを活かした3Dプリンターによる先進的な金属部品の設計、製造を強みとする英Alloyed社への出資を内容とする株式引受契約を2024年7月23日付にて締結した。

 また、3Dプリンターによる高度な製造技術を持つ株式会社NTTデータ ザムテクノロジーズとAlloyed社との間で資本業務提携を行うため、NTTデータとAlloyed社との間で株式譲渡契約を、NTTデータ ザムテクノロジーズとAlloyed社との間で業務提携契約をそれぞれ同日付にて締結した。

 NTTデータは、樹脂や金属の粉末を一層ずつ重ねていくことで3次元の造形物を製造するAM(アディティブ・マニュファクチャリング)技術をベースに新しいものづくりを実現するNTTデータ ザムテクノロジーズを2020年5月に設立し、各種事業を展開している。

 持続可能な社会の実現を目指す流れが加速している中、NTTデータは今回の提携を通じ拡大するAM市場を見据えAM技術とデジタル技術を組み合わせた「サプライチェーン改革」をはじめとする製造業DXを推進していく。

 NTTデータ ザムテクノロジーズは、3Dプリンターの輸入販売・保守サービスを行うとともに、航空宇宙、産業機械、モータースポーツなどの分野向けに3Dプリンターを用いた先端金属部品の開発・製造を行うことで、部品の高機能化、高性能化、開発リードタイム短縮などの価値をユーザーに提供している。

 NTTデータ ザムテクノロジーズとAlloyed社は、2020年以来、協力関係を構築してきたが、この度、合金開発領域で世界最高水準の技術力と3Dプリンター利用技術を有するAlloyed社との関係を発展させるために、資本業務提携を行うことに合意した。

 今回の提携強化により、NTTデータ ザムテクノロジーズは技術力の一層の強化を図り、ユーザーの抱える先端技術部品設計・製造の課題へのソリューションを提供し、事業拡大を支援する。<NTT>
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