“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「利己的な遺伝子 利他的な脳」(ドナルド・W・パフ著/集英社)

2024-08-06 09:35:01 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:利己的な遺伝子 利他的な脳

著者:ドナルド・W・パフ

訳者:福岡伸一

発行:集英社

 「利他」を科学的に論じた名著が、福岡伸一訳で登場。コロナ禍を経験し、他者への配慮が求められる社会になったことで、「利他」への関心が高まった。自己の利益よりも他者の利益を優先する「利他」は、「利己的遺伝子論」からすると、生命のあり方と矛盾するように見える。しかし同書は、脳神経科学の知見をもとに、人間にはもともと利他性が備わっていると主張する。「利他」が発揮されるメカニズムを科学的に解明し、その仕組みを知ることで、利他的行動がスムーズに行えるよう手助けしてくれる。同書は、脳神経科学の第一人者が書いた「利他的な脳」を知るための科学書でありながら、対立する人間関係の改善や、ビジネスでの交渉など、困難な状況を乗り越えるためのヒントを与えるものであり、よりよく生きるための指南書でもある。【目次】第1部 利他的脳の科学的根拠 第一章 利他主義の進化論的ルーツ 第二章 利他的脳のメカニズム 第三章 利他的脳の科学的解明 第四章 利他的行動を促す神経とホルモン 第五章 利他的脳理論と普遍的倫理のつながり 第2部 利他的脳を向上させる 第六章 利他的脳理論によって何が変わるか 第七章 なぜ利他的脳が重要なのか? 第八章 利他的脳理論を社会に活かす 第九章 利他的行動を促進するには
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「AWSではじめる生成AI」(Chris Fregly、Antje Barth、Shelbee Eigenbrode著/オライリー・ジャパン)

2024-08-06 09:34:34 |    人工知能(AI)



<新刊情報>



書名:AWSではじめる生成AI~RAGアプリケーション開発から、基盤モデルの微調整、マルチモーダルAI活用までを試して学ぶ~

著者:Chris Fregly、Antje Barth、Shelbee Eigenbrode

技術監修:本橋和貴 、久保隆宏

訳者:久富木 隆一

発行:オライリー・ジャパン

発売:オーム社

 生成AIを使いこなすための必要十分な前提知識を1冊で学べる。モダンな生成AI一般を使いこなすための必要十分な前提知識を1冊で学べる、コンパクトな入門書。前半で生成AI一般について知るべきトピックを章ごとに解説していき、後半ではAWS上の大規模システムに生成AIを組み込んで、有用なアプリケーションを構成する方法について解説。2023年9月にリリースされた、外部APIを通じて様々な生成AI基盤モデルをAWSで利用できるようにする「Amazon Bedrock」、また日本語版付録として、生成AIを手軽に利用できるアプリケーションサービス「Amazon Q」の解説も収録。
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●科学技術ニュース●産総研とマクルウ、押出し加工を利用したマグネシウム合金スクラップ材のリサイクル技術を開発

2024-08-06 09:33:55 |    化学
 株式会社マクルウ(本社:静岡県富士宮市)は、産業技術総合研究所(産総研) マルチマテリアル研究部門 千野靖正 研究部門付、斎藤尚文 招へい研究員、中津川勲 招へい研究員との共同研究により、押出し加工を利用したマグネシウム合金スクラップ材のリサイクル技術を開発した。

 同技術は、産総研が有する「固相リサイクル法」に関する技術的ノウハウと表面分析技術および組織解析技術をもとに、令和3~5年静岡県先端企業育成プロジェクト推進事業費補助金を活用し、開発したもの。

 杖や車いすをはじめとした福祉機器への採用など、最軽量金属であるマグネシウムへの注目が高まる中、環境負荷低減などの観点でマグネシウムのスクラップ材のリサイクル技術が求められている。

 マクルウは、産総研との共同研究により、マグネシウム合金スクラップ材を直接押出し加工して固化・再生する「固相リサイクル法」を活用したリサイクル技術を開発した。

 同技術は、リサイクル工場に回収され再生されるものと異なり、低エネルギーでリサイクルが可能であり、かつリサイクル品の品質が劣化しないことが特徴。

 同開発を通じて、「固相リサイクル法」により再生したスクラップ材(パイプ材)が、再生前の素材とほぼ同じ機械的特性および耐食性を示すことを確認した。

 今後、同技術を活用したリサイクル材の加工を通じて、マグネシウム合金再生材の構造材としての利用に加えて、機能材への採用を目標とした事業展開を進める予定。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術ニュース●パナソニック、脱炭素社会の実現に向けて純水素型燃料電池の熱を吸収式冷凍機(空調機)で活用する実証を開始  

2024-08-06 09:33:21 |    ★炭素ニュース★
 パナソニックは、燃料電池工場の生産に必要な電力を再生可能エネルギーで賄う実証施設「H2 KIBOU FIELD」(滋賀県草津市)において、純水素型燃料電池の発電時に発生する熱を吸収式冷凍機(空調機)の熱源として活用する実証実験を開始した。

 これまで、純水素型燃料電池から回収できる熱(最高60℃)と吸収式冷凍機に必要な熱源(最低80℃)には20℃の乖離があり、純水素型燃料電池が発電時に発生する熱を吸収式冷凍機の熱源として活用することが困難であった。

 今回、純水素型燃料電池と吸収式冷凍機双方で温度差を10℃ずつ歩み寄る改良を施し、70℃の熱で燃料電池と空調機を繋ぐ新たな連携を可能にした。

 H2 KIBOU FIELD内で、出湯温度の改良を施した純水素型燃料電池10台を用い、新開発の低温廃熱利用型吸収式冷凍機1台を新設し、新たな熱利用の実証実験として施設内管理棟の冷暖房に活用する。

 実証実験を通じ、燃料電池のコージェネレーション(熱電併給)によるエネルギー効率の向上と冷暖房設備としての消費電力低減を図り、熱連携ソリューションの市場性や有効性について検証を行う。

 今回、新たに実施する熱利用の実証実験では、純水素型燃料電池内の発電部に現在開発中の新規触媒を搭載するとともに、本体の耐久性を高める改良を実施し、回収できる熱の温度を60℃から70℃へ10℃上昇させている。

 今回の実証実験により、電力に加え熱も同時に利用することでエネルギー効率95%を実現していく。

 また、給湯・暖房が中心であったこれまでの熱利用が、吸収式冷凍機を通じて冷房として活用することが可能となり、産業用途におけるコージェネレーションシステムとしての実用性を高め、熱利用の新たな可能性を追求する。<パナソニック>
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