はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆10月度

2020-11-14 21:02:01 | はがき随筆
 月間賞に田原さん(宮崎)
佳作は道田さん(鹿児島)、相場さん(宮崎)、橋本さん(宮崎)
 
 はがき随筆10月度の受賞者は次の皆さんでした。
【月間賞】3日「千曲川」田原雅子=宮崎市
【佳作】17日「トンボ」道田道則=鹿児島県出水市
▽18日「独り言」相場和子=熊本県八代市
▽25日「再会」橋本京子=宮崎県延岡市

 「心に感じたことを書く『随筆』。情景は心を揺さぶる」と田原さんは書きます。かつてのはがき随筆への投稿「千曲川」を振り返り、しみじみ思ったことを今回も同じタイトルで投稿しました。
 「千曲川」といえば私たちは何を思い出すでしょう。一般的には長野県に流れる一級河川。雅子さんのはがき随筆「千曲川」を連想して同じ名前の楽曲をハーモニカで吹くのを楽しみにしていたというはがき随筆の愛読者の方が、昨年の千曲川の堤防決壊で死者まで出たという大被害を報道で目にしてから、その曲を吹けなくなったと伝えられ、「音楽は心を育てる」と。心に感じたことは怖いことも、楽しいことも思いにつながり、雅子さんに随筆を書く機会をまた与えてくれました。ハーモニカの「千曲川」。穏やかな心で吹けるようになられます。あなたの随筆を大事に読んでくださる方ですもの。きっとです。
 今年「最大限の警戒」レベル4と予想された台風10号。安全を求めて、被害を最小にするため気象庁のかつてないほどの警告に万全を期した私たち。学校や公民館、ホテルへの避難、非常品に備蓄と余念がありませんでした。
 道田さんは避難した家にトンボが飛び込んできた顛末を読みました。台風一過。段ボール箱に捕獲して避難させていたトンボを解き放した時の情景が目に浮かびました。自然に優しい道範さんに乾杯。
 竹藪の竹の一節に語りかける相場さんの独り言にひとりうなずいています。10年ひと節、私もたくさんの友人を亡くしました。星のように消えて逝きました。納得いかないものが交差します。芽が出て花が咲き、次の世代を作る大自然の摂理の偉大さ。和子さんのこの独り言をどれだけ多くの方が読み、共感していることか……。
 はがき随筆に投稿する。そこから訪れる思いもかけない「再会」。橋本さんの投稿を目にして電話連絡があったのは中学校の同級生で三十数年ぶり。令和、平成、昭和へとワープ。当時の名前で呼び合った、京子さんのおさげ髪を想像しています。
 日本ペンクラブ会員 興梠マリア

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