コロナ禍で出かけるといっても、病院と近所のスーパーくらい。気が晴れない日々の中、毎朝の新聞連載小説が楽しみだ。
今は「無月の譜」。将棋の駒師だった、大叔父の遺作と思われる駒を追ってシンガポールへ。国境のジョホール海峡を渡り、隣国マレーシアへ。
派手ではない、節度ある心地よい筆の運びにすっかりはまってしまった。一緒に異国を旅し、熱帯の風と人情を感じている。
次の旅の行き先は決まった。夢はしばらくポケットの中に。時々触って確かめ、たまに取り出し、にんまりしよう。今日、さぼっていた散歩を再開した。
宮崎県日南市 矢野博子(71) 2021.9.25 毎日新聞鹿児島版掲載
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