はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

選挙に行こう

2009-08-25 17:41:22 | かごんま便り
 「自公政権か民主軸か」(毎日) ▽「政権選択 論戦火ぶた」(朝日)▽ 「政権選択 決戦の夏」(読売)――。第45回衆院選の公示を伝える19日朝刊の1面に踊った各紙の見出しである。そもそも衆院選というのは政権を選ぶ選挙だ。それでも今回のように、このキーワードが特別な重みを持って取り上げられた衆院選は過去に例がない。

 4年前の「小泉郵政選挙」で自民党は記録的大勝利を収めた。頂点を極めてしまえば改選で目減りするのは必至。問題はどこまで減らすかだが、各紙の情勢報道を見ても自民党は「がけっぷち」の様相だ。中選挙区制最後となった93年の第40回衆院選、細川連立政権の誕生で自民党は結党以来初めて下野したが、この時でさえ守った第1党の座が危うくなっている。

     ◇

 前任地の西部本社報道部時代、本欄同様のコラムで投票参加を呼びかけた際「納得できる選択肢がないなら白票を投じればいい」という趣旨の一文を書きかけた。先輩記者から「白紙投票の奨励と誤解される」とたしなめられ、思い直して書き改めたが、言いたかったのは「棄権よりはまし」ということ。日常生活すべてに政治の影響が及ぶ以上、選挙に無関心では済まされない。どんな形であれ投票することは権利以前に義務ではないかとさえ私は思っている。

 かつて「無党派層は寝ていてくれれば」とほざいた元首相がいた。為政者のそんな身勝手を許さないためにも、投票所に足を運びたい。仮に投票した候補者が当選しなくても、それは「死に票」ではなく、当選者への立派な批判の声である。

 それでも政治や選挙は小難しくて苦手だという人は、見方を変えてこう考えてはどうだろう。競馬中継を見る際、馬券を買わないより買った方が当然、興味は倍加する。テレビやラジオの開票速報や新聞の選挙報道を見る時だって同じだ、と。

鹿児島支局長 平山千里
2009/8/24 毎日新聞掲載


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