初夏の山道にシソに似た大きな葉を広げるイラクサがはびこる。触れるとさされる痛みを感じるのでこの名がある。
新聞紙に挟んで仕上げたたくさんのイラクサ標本を取り囲んで植物研究会が始まった。熱気のこもった討論の中、分類が進む。延々3時間。やっと仲間に入れてもらった私は雰囲気に圧倒される。標本を挟んだ茶色に焼けた古新聞がめくられていく。
突然、リーダーが新聞紙にメモられた筆字に「おやじの字だ! 俺7歳」。1974の日付だ。戦後間もないころに研究を始められていたお父様に続く先輩。情熱のお裾分けを頂いた。
宮崎市 川畑昭子(77) 2020/8/27 毎日新聞鹿児島版掲載
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