はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

挿絵の風景

2008-10-25 19:36:53 | はがき随筆
 絵本作家・八島太郎の原画展を生誕地ゆかりの根占図書館に見に行った。墨絵に淡い水彩を施したような挿絵と同じモノトーンの小雨の日だったせいか、昭和初期の風景と人々の暮らしが走馬燈のようによみがえってきた。絵本の主人公「からすたろう」が山奥の炭焼き集落から素足で木造の小学校に通ったころは、水清き大川にアーチ式四連石橋が架かり荷馬車が通り、貯木場もあったという。街には荒物屋や薬屋や宿屋などもありにぎわっていた。八島は13歳で故郷を離れ、激動の昭和史に翻弄されながら31歳で渡米。85歳で波乱の生涯を閉じている。
  鹿屋市 上村 泉(67) 2008/10/25 毎日新聞鹿児島版掲載

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