はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ミツバチの聴聞

2014-06-24 10:59:43 | 岩国エッセイサロンより
2014年6月23日 (月)

    岩国市   会 員    片山 清勝

 地元の寺で5月下旬にあった「親鸞聖人降誕会」。本堂でのお勤めの後、聖人の話を聞いていた。すると、後ろのほうから羽音がした。私の横を通り過ぎて、前の席へと飛んで行った。
 それは1匹のミツバチ。どうして本堂へ入り込んだのかと思っていると、女性がすぐ、「話を聞きに来たんじゃけえ殺生しちゃあいけんよ」と、聴聞の人たちに静かに優しく呼び掛けていた。降誕会の会場にふさわしい声掛けで、心根の優しい方だろうと思った。羽音が近づくと、本堂にいる誰もが優しい手つきで払っていた。
 ミツバチは作物の受粉、蜂蜜の生産と、人間の生活とも深い関わりがある。最近、その減少が著しいという。自然環境の変化で大きな問題になっている。このミツバチもどうしたものかと困り果て、お寺を頼って来たのではないかとも思えた。
 講師は、近年、過疎や高齢化の影響もあって寺へのお参りが減っていると話していた。寂しいことだ。私にとって、お寺は身近で、生きていくヒントを教わることができ、心も安らぐ場所。ミツバチの聴聞をいいヒントに、ふらりと訪ねて見る人が増えれば、お寺が再び活気づくのではないか。

    (2014.06.23  中国新聞「明窓」掲載)岩国エッセイサロンより転載
 

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2 コメント

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題材に恵まれて (tatu_no_ko)
2014-06-25 08:37:17
いつも転載していただきありがとうございます。
夏場の聴聞で蚊に悩まされることはありますが、ミツバチのお参りは初めて経験しました。
優しい声掛けが投稿のヒントになりました。
梅雨前線の北上の季節のなりました。
お気をつけください。
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tatu_no_koさま (アカショウビン)
2014-06-26 22:23:07
いつもコメント有難うございます。

ホントに優しい声かけですね。
お人柄が偲ばれます。
周りもホッとあたたかくなる素敵な場面です。

毎日の大雨警報ですが、予報ほどの雨にはならず、何とか無事に過ごしています。

でも、関東の雹には驚きました。
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