休日の早朝、仮り払い機と耕運機の音。作物を植えるためではなく土をかえし除草の作業なのだ。元気だった耕作者も年をとり畑に手間をかける体力をなくす。休耕地には瞬く間に雑草が茂り、油断すると背丈ほどに伸び厄介。若い者には耕作の時間も気持ちもなかろうし、考えれば買う方が安い。
低くうなる機械音は何ともいらいらしく耳についていたが、新聞を読むうちに忘れ、いつしか作業は終わっていた。新鮮な土と青草の匂いがたち、かすかに農作業着の父の姿や畑の隣人の元気な声が脳裏をよぎる。「刈草の清しく匂う夏さかり」
熊本県阿蘇市 北窓和代(63) 2018/9/20 毎日新聞鹿児島版掲載