はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

福が来た

2018-09-05 16:46:14 | はがき随筆


 「じいちゃんネコぱこうて(飼って)」と小学生の孫娘から電話。「おばちゃんに赤ちゃんがうまれるからしばらくは飼えません」と私。すると「うちが赤ちゃんのときはネコがおったよ」と痛い所をついてきた。
 そう言われてしまえば仕方がない。「分かりました」と完敗である。しかし、ネコがいなくなって1年、そのうちにと思っていたので良い口実ができた。早速譲渡会に出かけ、2週間後に1歳の女の子「福」がやってきた。
 孫が遊びに来たときの第一声は「ふくうー」である。
 熊本市北区 岡田政雄(70) 2018/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載

まごとじいの話

2018-09-05 15:45:44 | はがき随筆


 ひさしぶりに孫たちが千葉から帰ってきたので、その足でハカメイ(墓参り)に出かけた。太陽がまぶしい。ご先祖さまに手を合わせる孫たちの姿にじい、ばあもついほほ笑む。墓参りが終わると、墓の中が気になってしかたがない。思い扉を開け「あのつぼにご先祖さまが眠っているんだよ」。すると「あ~そうなんだ。じいももうすぐあそこに入るんだね」。「う~ん」と言いながら「あそこの空いた隅がじいの席だよ」と指を差していた(笑い)。人は死んだら骨になり、骨つぼに入るという現実と生を孫との会話で再認識させられたことに感謝だ。
 鹿児島県さつま町 小向井一成(70) 2018/9/4 毎日新聞鹿児島版掲載

保育園に行く

2018-09-05 15:36:06 | はがき随筆
 誘われて地元の保育園に園児との交流に行った。園児は5歳3歳2歳の3人だ。一方応援組は50、60人は来ていた。保護者と私たちのような地元の者で、他集落の人との久しぶりの出会いは思いがけない喜びだった。
 園児は相撲をまねて赤、青、黄のまわしで所作を入れたお遊戯は涙が出るほど可愛かった。園児は10人くらいは居るかと思ったが少ない。若者がいないので子供もいない。
 帰り道で思った。今より20年後は年寄りの大半は亡くなり、子供は巣立ち、田舎は今より人口減となる。行きはよいよい返りは怖いことになってしまった。
 宮崎県延岡市 逢坂鶴子(91) 2018/9/3 毎日新聞鹿児島版掲載

眠れぬ時

2018-09-05 15:28:17 | はがき随筆


 もうどのくらいたつのか、右に左に寝がえりをうってもらちが明かぬ。時計を見ると1時半、深夜なり。え~い、起きて気になる用事を済ませるかとパソコンへ向かう。
 蒸し暑いから窓を開けると、虫の声が聞こえ秋近しと教えられる。あれはクツワムシ? コオロギ? しばらく手を止めて耳を澄まして時を稼ぐふり。
 このまま起きていてもかまわぬ身ゆえ眠気を待とう。さぁ、今日は夏祭り。キャベツ1個半を焼きそば用に切らねばならない。フラダンスの衣装の用意もある。少々空腹感が。ここて食べたらいかん、いかん。
 熊本県八代市 鍬本恵子(72) 2018/9/2 毎日新聞鹿児島版掲載