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はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

植物のフシギ

2018-03-11 17:04:08 | はがき随筆
 プランター3個に粗粒中粒細粒の鹿沼土を3層に敷きつめて庭の片隅に置いている。植物と遊ぶためだ。今、さし木したキンメヤナギとツバキは立派なつぼみを付ける。楽しいものだ。新芽が伸び始めたらキンメヤナギも輝くような姿に成長する。うれしい!
 庭木を剪定したら適当な枝々を必ずさし木にする。植物クローンと言えるが、その生命力に驚かされる。さし木には新芽の方が活着によいものと充実した枝がふさわしいものとがある。
 日当たりの良い所で毎日観察している確かな喜びがある。
  出水市 中島征士  2018/3/11  毎日新聞鹿児島版掲載

寒さの冬なれど

2018-03-11 16:55:34 | はがき随筆


 「うわぁ、まっ白だ」
 今年はいつもより雪の降る日が多く、通勤に苦労した。
 それでも、庭のスイセンは凛として咲き誇り、大寒に福を呼ぶと言われている万両も、赤い実をいっぱいつけている。梅もいっぱいつけたつぼみを、一つまた一つと開き始めている。すっかり葉を落としたコブシも桜もアジサイも芽をつけている。厳しい寒さの冬を、それぞれの場所でそれぞれに「負けるな、頑張れ」と一生懸命まっすぐに生きている。
 私は、庭にいっぱい咲いたスイセンをどっさり切って生けた。優しい春の香りがした。
  出水市  山岡淳子  2018/3/10  毎日新聞鹿児島版掲載

米じゃ米じゃ

2018-03-11 16:49:09 | はがき随筆
 「米じゃ米じゃ米の飯じゃ、うんまかぁ」と小5の腕白坊主が肘を高くあげて飯を食う。
 豊かな世の孫には西郷どんの映像はとても衝撃だったようだ。「ごはんもみそ汁もなかったの、なんで米が大事だったの」と質問攻め。一株の5.6個の芋が当時どれほど貴重な食糧であったのかも分かったらしい。
 最近ゲームに熱中する姿が気になっていたが、先人の偉業に感動する純粋な目と心を持っていてくれてうれしかった。
 「子供は国の宝」というせりふが何度も出てくる。こたつで宿題をする姿に、ガンバレと熱い視線を送るのである。
  出水市 塩田きぬ子  2018/3/9 毎日新聞鹿児島版掲載

心を読んだ犬

2018-03-11 16:38:56 | はがき随筆
 犬が好きだ。外で犬を見かけるとつい撫でてしまう。あちらも私に吠えることはまずない。犬が好きオーラでも出てるのだろうか。
 ただ、忘れられない犬はかわいくなかった。飼い主さんと歩いてくる姿に「わぁ、こんなにおブスな犬がいるのか」と、つい顔に見入ってしまった。するとすれ違う瞬間、吠えかかってきた。飼い主さんがすぐにリードを引いたので噛まれずにすんだが、肝をつぶした。私の心の声にムカッ腹を立てたに違いない。以来、犬の悪口は心の中でもご法度だが、あれほどのおブス犬にはその後出会わない。
  鹿児島市  種子田真理  2018/3/8  毎日新聞鹿児島版掲載

4年間の生き方

2018-03-11 16:24:57 | はがき随筆
 7年間の壮絶な闘病の末、夫が静かに逝ってしまったのは、4年前の2月23日の早朝。テレビではソチ五輪のフィギュアスケートのエキシビションの中継中だった。そしてまた冬のオリンピックが始まっている。ケガをしながらも、神と言われるような演技をした金メダリストの羽生君。飄々としてみえる銀メダリストの宇野君。4年間しっかりと生きて結果を残した若い2人の姿に、何一つ努力もせず、ただ生きてきただけの自分の姿が恥ずかしく思える。夫も心配しているだろう。4年に1度、どう生きたかと問われている。たくましく前に進みたい。
  鹿児島市  萩原裕子  2018/3/6  毎日新聞鹿児島版掲載