はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ミカン作りねぎらう

2017-12-27 17:10:42 | 岩国エッセイサロンより
2017年12月24日 (日)
   岩国市   会 員   横山恵子

 下関から地元の岩国に帰って、はや38年。その間、亡夫の教え子のご両親から、毎年ミカンが送られてきた。
 先日、その中に「今年をもって、ミカン作りを終えることにしました」という手紙が添えてあった。
 数年前から年齢を重ねて作業が難しくなったと話されていたので、やはり来るべき時が来たと一抹の寂しさを感じた。
 賞を取ったこともあるミカン作り。夫は「あのミカンはひと味違う」と毎年楽しみにしていた。
 下関時代には、出荷で忙しい時など、猫の手くらいだったが夫も休日に手伝っていた。当時、赤ん坊だった息子をミカン箱に入れて作業していたことを、懐かしく思い出す。
 下関を離れても、教え子の結婚式に夫婦で招かれたり、6年前には息子一家と訪れて昔話に花を咲かせたりと、思い出は尽きない。
 半世紀以上ものミカン作りは、ご苦労があったと思う。お体に気を付けて、ゆったりと過ごしてくださるように願っている。

     (2017.12.24 中国新聞「広場」掲載)

健康守って社会人に

2017-12-27 17:09:53 | 岩国エッセイサロンより
2017年12月18日 (月)
   岩国市   会 員   片山清勝

 13日付ヤングスポットの「就職まで学業も全力」は、就職試験前の緊張と内定の喜び、卒業までの心構えと周囲への感謝などが簡潔に書かれていた。
 読みながら、現役の頃、高卒採用担当として受験生に接し、強く印象に残っていることを思い出した。
 それは手を膝の上で握りしめ、顔を紅潮させ、正面を向いて懸命に答えてくれる面接試験での姿だ。
 背筋を伸ばし、真摯な姿に接すると、全員を採用したいと思ったこともある。
 筆記試験の感想を問われると、謙遜か学校の指導なのか分からないが、高得点なのに自信たっぷりの答えはあまりなかった。
 投稿者は「残りの学生生活は学業も手を抜かず全力で楽しむ」と結んでいる。
 経験からこれに一つ加えるなら、健康管理を十分に果たしてほしい。今年の就職内定率はこれまでにない高さという。みんな健康で明るく第一歩を踏み出してほしい。

     (2017.12.18 中国新聞「広場」掲載)

年賀状 年重ねても続けたい

2017-12-27 17:09:09 | 岩国エッセイサロンより
2017年12月16日 (土)


   岩国市  会 員   林 治子 



 近所のスーパーで、古くからの知人を久しぶりに見かけた。
 数年前に年賀状のやりとりが途絶え、気になっていた方だ。

 声をかけて年賀状の話を持ち出すと、「もう80をと~うに超えたのよ。 まだ書けって言うの」と言われた。意外な反応に、怒らせてしまったのではと心配した。

 数日後、同世代の友人から電話があった。 電話より手紙、という筆まめな人なので珍しく感じた。

 年賀状の話題になり、彼女は「書くのが億劫になってきた。今年はどうしょうかと思う」とこぼした。気力や体力が追いつかないらしい。
 私は書くことは億劫ではないものの、気持ちはわかった。 同じ理由で、用事を先延ばしにしたくなることが増えたからだ。 スーパーで会った知人もそうなのかもしれない。
  「年に一度だし、頑張って書いて『元気』とアピールしようよ」。
 自分自身にも言い聞かせるつもりで、友人を励ました。

(2017.12.15 読売新聞「私の日記から」掲載)