庭に桃色のさるすべりの花が、きれいに咲いている。さるすべりの木の幹は、さわってみると、ろうをぬったようにつるつるしている。
「さるがのぼろうとするのだけれど、つるっつるっとすべって、なかなかのぼれなかったそうな。それで、さるすべりという名前がついたそうな」
と、優しかった祖母が、よく語ってくれた。子ざるたちがさるすべりの木の下で、キャッキャッと言いながら、のぼりっこをしている姿を思い描きながら聞いていた。さまざまな思い出をのせて、今年もさるすべりの花がきれいに咲いた。
出水市 山岡淳子 2017/9/25 毎日新聞鹿児島版掲載