はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ヤッター初掲載

2017-09-12 06:32:54 | はがき随筆
 ヤッター。あれから約1年。2.3日おきに3から5句を投稿し続けてきた。それが今朝、ついに掲載されているではないか。勇躍大歓喜。驚いた。
 私は昨年の9月から「仲畑流万能川柳」への投句を始めたが没ばかり。やめようかと思ったが意地になって続けている。これを2月「密かな挑戦」と題して「はがき随筆」に書いた。
 7月21日。「傘寿過ぎガンの検診止めました」愚凡法明。これが私の「万柳」デビューである。句の出来ばえより、掲載されたことに意義があるのだ。早速随友から祝詞が来る。没にめげぬ忍耐力はこれに限る。
  志布志市 一木法明 2017/9/12 毎日新聞鹿児島版掲載

白背広の天使様

2017-09-12 05:37:15 | はがき随筆
 昨年10月、高校の喜寿同窓会が京都であった。私は不参加のお詫びに小筆で故郷の歌を描き、ウサギの絵を入れ、おのおのに謹呈した。感動されたらしく、代表Tさんより催しの様子と記念写真が届いた。満面の笑顔で楽しそう。今年8月13日、予告なしにTさんが帰郷のついでに私宅を訪問された。驚くやら慌てるやらで応接間へ案内。白髪に白背広は天使のごとし。堂々たる風貌で、常識にあふれ、兵庫県市議としての言葉の巧みさは対応に気遣う。夫と3人で固く握手して友情を誓った。帰り車上からの手振り。また来て下さい。白背広の天使。
  肝付町 鳥取部京子 2017/9/10 毎日新聞鹿児島版掲載

宇宙空間下駄歩行

2017-09-12 05:30:36 | はがき随筆
 妻のみやげの下駄にはガッカリした。値は高い。が、下駄の歯は差し歯ではない。接着剤で付けてあり歩いても音が悪い。
 梅雨明けの早朝、その下駄でゴミ出しに行く。クマゼミの声を聞きながら歩く。足裏は心地よいが、音はさっぱりダメだ。カラン、コロンと鳴らない。右はもうヒビ割れていて、低い音、左はやや高い音だ。音痴下駄の伴奏でゆっくり歩く。と、鋭い鳴き声でヒヨドリが流星のように眼前を横切る。ここは宇宙空間だ、とイメージしながらゆっくり歩く。腹いっぱい空気を吸いながら歩く。頭上でのんびりしたカラスの声――。
  出水市 中島征士 2017/9/9 毎日新聞鹿児島版掲載

高校3年生

2017-09-12 05:23:12 | はがき随筆
 小雨降る蒸し暑い夜チャイムが鳴り、娘の長男、孫のK君が立っている。「お母さんとけんかした!」とぽつり。30分歩いてきたらしい。「さーさー上がって」と明るく振る舞い着替えを渡した。まずは腹ごしらえからと有合わせを並べると、もくもくと食べる。部活も終わり進路などで衝突したのだろう。親子の胸の内はお見通しだ。でも祖父母宅に駆け込んだKくんの心をほぐす気の利いた言葉が浮かばない。「ばあちゃんも怒ってばかりいた」というと、ニキビの顔が苦笑い。10時過ぎ居場所のメールに安堵した母親の迎えに素直について行った。
 薩摩川内市 田中由利子 2017/9/8 毎日新聞鹿児島版掲載