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はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ハプニング

2019-08-14 21:42:34 | 岩国エッセイサロンより

2019年8月 9日 (金)

   岩国市  会 員   森重 和枝


 おいの結婚式に姫路まで行った。帰りの新幹線の中でのことだ。途中から、若い外国人男女10人が乗ってきた。その中でも年若くみえる女性3人は、通路を行ったり来たりしていた。
 そのうち、3人とめいの子で中2と高1の姉妹で会話が始まった。姉は英語が得意で、今日の披露宴でも伯父へのお祝いメッセージを英語で書いていた。広島までの短い聞だったが、にぎやかな笑い声が聞こえ、楽しそうだった。
 若い人たちのチョットした国際交流。このハプニングに疲れ気味だった気持ちもすっかり明るくなれた。めいの子に工―ル!
 (2018.08.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載


父の話重なる赤い絵

2019-08-14 21:41:01 | 岩国エッセイサロンより

 

   岩国市   会 員   片山清勝

 5日付広場欄で広島の高校生が描いた原爆の絵に関する投稿を読み、入市被爆した父の話を思い出した。
 父は原爆が投下された日、業務連絡で広島へ自転車で赴いた。惨状を目にしたはずだが、聞いても語らなかった。ただ一つ「防火用水に人も犬も頭から漬かって亡くなっていた」と話してくれた。その話はモノクロで記憶していた。
 ある年、原爆展で「水を求めて」という一枚の絵の前で足が止まった。父の話と同じ光景だった。違うのは熱線で焼けた体が赤く描かれていたこと。その赤は今もまぷたに残っている。
 投稿によると、生徒は証言者の記憶に最も近い絵に表現しようと努めているという。筆者は「あの日の被爆者の様子を写した写真はわずかだ。生徒たちの描いた絵は限りなく写真に近い貴重な記録となるに違いない」と述べている。
 被爆者の語り部の活動と絵画による被爆の悲惨さを伝える活動が携え合い、核兵器禁止運動の糧となることを心から願う。
     (2019.08.09 中国新聞「広場」掲載)


アイスキャンディ

2019-08-14 21:39:26 | 岩国エッセイサロンより

2019年8月 2日 (金)

    岩国市  会 員   吉岡 賢一


 瀬戸の夕凪と言われる暑い夏の夕暮れは、あのアイスキャンディの素朴な昧を思い出す。
 市場で競り落とした新鮮野菜を積み込んだリヤカーを引き、1里半の道のりをものともせず行商に出かける母ちゃん。朝は早いし帰りは遅い。姉たちが夕飯の支度を始める頃、小学3年のボクはそっと家を出て、母ちゃんの帰る道を走る。空のリヤカーを引き受け、今日一日の話をする。
 小さな親孝行のご褒美は、水色の氷に割り箸を突っ込んだアイスキャンディ。貧乏な世の中で「小さな贅沢と束の間の母ちゃん独占」。遠い昔の懐かしい味である。
  (2019.08.02 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


夕立ちはどこへ

2019-08-14 21:38:03 | 岩国エッセイサロンより

2019年7月31日 (水)

     岩国市  会 員   角 智之


 子供の頃、夏休みになると毎日のように川遊びに興じた。
 宿題もそこそこにいとこたちと遊んでいると、急に空か真っ暗になり、大粒の雨が降り始めた。川の近くで大工をしている叔父の家へ避難すると、激しい雷が鳴り始めた。
 帰りたくても怖くて動けない私を見て、叔父は長めのカンナくずでヘソの周りを数回巻いて腰のあたりで強く結び、「ヨシ、これでせわあない……」と。
 雨も小降りになって、一目散に家まで走ったのを覚えている。異常気象で夕立も来なくなったのだろうか。真夏が近づくにつれ、あの頃を思い出す。
   (2019.07.31 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


大きくなあ-れ

2019-08-14 21:33:33 | 岩国エッセイサロンより

2019年7月30日 (火)

   岩国市  会 員   横山 恵子


 「えっ、この桃作ったの?ワー感動した」と友に言われ、心の中で「ヤッター」と叫ぶ。桃の木を植えて十数年だが、満足になったのは数回のみ。今年こそはと思ったが、またもアブラムシの被害。思い切ってそれらの枝を処分した。
 残りにニンニクなどを入れ煮出した木酢液を朝夕吹き付ける。少しずつ大きくなり台所用の水切りネットをかぶせたら、太陽の光を浴び、赤く色づき始めた。
 傷やアリなどの被害もあったが「瑞々しくておいしい」との言葉に苦労も吹き飛ぶ。収穫40個あまり。動画も撮った。かくして「桃狂騒曲」は終わる。 
 (2019.07.30 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


チェンジ!

2019-07-25 21:00:17 | 岩国エッセイサロンより

2019年7月23日 (火)

岩国市   会 員   片山清勝

 月1回、日曜日のくらし面に掲載される「チェンジ! なりたい自分になる」を楽しく読んでいる。昨年6月から始まった、読者をファッションで変身させる企画だ。米子市の理容師・Hさんが登場したこともある。投稿欄でよく名前を拝見する方で企画への親しみがぐっと増した。

 自分はどんなふうに変身したいのか、200字ほどにまとめ、写真と合わせて応募する。イメージコンサルタントによる外見診断でチェンジが始まる。
 毎回、「なりたい自分」に変身した満足そうな登場者の顔がいい。Hさんの「古希超えて渋く格好良く」は、帽子に手を置いた姿。仕事着のイメージが湧かない。ファッションとはこうも気分を変えるのか。
 わが装いを振り返る。
 高校を出て定年まで化学会社に勤務した。職場では会社貸与の作業服、通勤は車なので普段着、外勤や出張では無地の紺かグレーのスーツで困らなかった。着る物にさほど気遣いをせず仕事一筋、そのため着る物へのセンスが育たないまま定年を迎えたようだった。
 妻はクローゼットにある色や柄とは違う物を何度も見立て、勧めてくれる。悩んでも結局は私好みの地味系に落ち着く。昔ながらの着る物から脱却できない。
 まもなく八十路。老け込まずに少し粋に装ってみるか。派手でも華美でもなく自然風。仕上がりは年相応と「なりたい自分」を考えてみる。だが、具体的には示せない。諦めず紙面を見ながらじっくり考えよう。
  
      (2019.07.23 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)


梅いろいろ

2019-07-25 20:56:33 | 岩国エッセイサロンより

2019年7月 8日 (月)

        山陽小野田市  会 員   河村 仁美

 「今年からあなたが漬けなさい」のしゅうとめの一言で始まった梅干し作りも四半世紀。買うのはもったいないと庭に梅の木を植えてからは、サボりたくてもサボれなかったのが本音だが、毎年の恒例行事となった。
 昨年、自分の家の梅でさえ持て余しているのに、主人が梅をもらってきて3年分ぐらいの梅干しを漬けた。しめしめこれで少しは休めると思っていたら、今年は梅酒と梅ジュースを作ってみたいと主人が言い出した。とりあえずへたを取ると主人がいそいそと作り始めた。
 今年の夏は、主人お手製の梅ジュースで乗り切れそうだ。
      (2019.07.08 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


お礼参り

2019-07-25 20:54:57 | 岩国エッセイサロンより

2019年7月 6日 (土)

お礼参り

  岩国市  会 員   沖 義照

 奥さんと庭に出てガーデンランチをとっていた。その時「あっ、シジュウガラが鳴いているわよ」と指を差す。見ると、フェンスの上で、1羽のシジュウガラが「ツッピン ツッピン」と鳴いている。「あのシジュウガラに違いないわ」と断言した。
 前日のことである。手作りした巣箱の中でかえり、2週間がたっていた8羽のヒナが忽然と姿を消した。めでたい巣立ちなのに、何の挨拶もなく飛び立たれたことが胸に引っかかっていた。きっとお礼参りに来てくれたのだと思い、「ヒナロス」に陥っていた私は吹っ切れた気持ちになった。 
  (2019.07.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


祥月命日

2019-06-25 17:57:40 | 岩国エッセイサロンより

   岩国市   会 員   片山清勝

 わが家の祥月命日は全て奇数月。3月は母、5月は祖父、7月は祖母、9月は父だ。祖母、祖父、父そして母の順で亡くなった。祖父母と父の五十回忌、母の三十三回忌はいずれも済ませた。
 私たち夫婦の金婚式は過ぎた。妻は父と祖父母に関して、母から聞いたことしか知らない。それでも命日に、それぞれの好物を供えてくれており感謝している。
 命日には近くに住む姉妹たちがお参りに来る。命日以外でもそうなのだが、姉妹は妻と日頃のあれこれを話す。その会話は、実家の嫁というより実の姉妹のよう。目をつむって聞いていると、母娘の会話のようにも聞こえることがある。長男としてうれしいことだ。
 命日が近くなると、私は毎月している墓掃除を命日前に済ませることが役目。仏壇の掃除はいつもだが、妻が支度する仏花などがそろえば、ほこり払いや具足磨きなどから始める。
 4枚の遺影は仏壇の横のかもいに掛けている。この家に引っ越してきて二十数年。一番いい部屋に飾っているが、居心地はどうなのだろうか。額を拭きながら、わが家の様子をどんな思いで眺めているのだろうかと思う。
      (2019.06.17 中国新聞「明窓」掲載)


探し物

2019-06-25 17:56:32 | 岩国エッセイサロンより

2019年6月14日 (金)

    岩国市  会 員   林 治子


 「探し物はなんでしょうね。どこにあるんでしょうね」。昔、テレビドラマの主人公が口ずさんだフレーズが思わず口をついて出てくる。ただいま探し物の真っ最中。月一で通う教室で使う色紙。いくら探しても見当たらない。
 偶然訪ねてきた友が「なにしとるん」。「探し物」と返事。「あんたのことじゃけん、認知症言われたらかなわんと必死になっとるんと違う? そうゆう時はしばらくほっとくのよ。思わぬ所から出てくるもの」と慰めてくれた。とうとう聞に合わず店へ走る。
 ほっとしたけど途端に探す気力もうせ、まだ見つかっていない。
    (2019.06.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


抜いた歯へ

2019-06-25 17:55:49 | 岩国エッセイサロンより

   岩国市  会 員   片山 清勝


 ヂクッとした痛みが始まり、延び延びにしていた抜歯と義歯を入れる治療を始める。まず抜歯、診療台が後ろに倒されはじめ、ちょっとした覚悟をして目を閉じる。だが、あっけないほどの短い時間で、苦痛もなく処置が終わったのは歯科医の腕か。 
 抜いた歯が思ったより小さくて驚いた。「歯の健康は全身を守る」というが、小さな姿で七十数年ものわがままな食べ方を受け入れ、健康を守ってくれたのか。感じたことのない「ありがとう」の強い気持ちが自然に湧き出た。
 私より先に寿命がきた歯に、残りを守る8020を誓う。  
   (2019.06.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


最後の同窓会

2019-06-25 17:54:32 | 岩国エッセイサロンより

2019年6月11日 (火)

    岩国市   会 員   吉岡賢一 

 きっかけは、中学校卒業から35年が過ぎて50歳になった節目に開いた同窓会だった。「人生の小休止」と銘打ち、同級生は282人のうち92人、恩師は担任と専科を合わせて13人と、多くの方に参加いただいた。
 同窓会はその後、3年から4年置きに開き、還暦、古希を経て今回、喜寿の記念同窓会を迎えた。50歳の「人生の小休止」から数えて8回目となる。
 ただ、回数を重ねるたび参加される恩師の人数が減った。同級生も年々、案内状発送枚数の減少に比例して参加者も少なくなった。
 「来し方行く末」をさかなに談笑するお膳立て役の幹事団も、最初は20人近くいた。それが1人またI人減り、とうとう7人になった。エネルギーもパワーも減退する中での人数の減少である。今後の開催を約束できないため、案内状には「今回が最後となる」ことを明記した。
 同窓会を振り返れば、多くの人間ドラマがあった。印象深いのは、主人を亡くした奥さまから「写真で参加します。皆さまと一緒に乾杯を」と会費とともにすてきな写真を送ってもらったことだ。「天国からの出席者」として紹介した。
 さまざまな思いを秘めて開催する私たちの中学最後の同窓会。自分のことは自分でできる人は元気なのだと訴えたところ、思いのほか多くの方が参加してくれた。
 まだまだ先のある人生、今回の出席率によって「最後の同窓会宣言」を撤回できれば、うれしい。

      (2019.06.11 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)


見ていてね

2019-06-25 17:53:43 | 岩国エッセイサロンより

2019年6月 7日 (金)

   岩国市  会 員   横山 恵子


 亡き父は退職後、庭の一角を耕して畑にした。「畑作りは土作りじゃ」と言って堆肥を作り、大根やトマト、つくね芋にも挑戦。亡き母の好物の文豆は毎年作った。
 しかし7年前、突然の事故で急死。畑が広く感じられた。傷心の日々の中、戸棚の隅に文豆の種を見つけた。秋にまいたら翌春、実がなった。小粒の豆がいとおしく、込み上げるものがあった。
 今年は豊作。早速豆ご飯を仏壇へ。父の後ろ姿を思い出しつつ、試行錯誤の野菜作り。空からはらはらしながら見ていた両親も「おーやっとるなー」と少しは安堵しているだろうか。
   (2019.06.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


児童の心理ケア必要

2019-06-03 01:10:56 | 岩国エッセイサロンより

2019年6月 2日 (日)

    岩国市   会 員   片山清勝

 近くの小学校の運動会振り替え休校の翌朝、登校する児童らを見送りながら「今日も一日安全に」と願った。私の日課の一つで、明るい話し声からいつも元気をもらっている。
 それから1時間もたたずに川崎市で登校中の児童を襲う凶悪な事件が報じられた、先ほどまで見ていた児童と重なり、身震いすると同時に強い怒りを覚えた。
 犯人の自殺で動機の解明は困難だろうが、再発防止に向けた関係者の最善策を願っている。
 急がれる一つは児童へのケアだろう。ショックを受けた子らには急な腹痛や頭痛、無表情や不眠など、これまでとは異なる様子が現れるという。事件現場に居合わせた児童はもちろん、全校生へ細やかな対応を図ってほしい。
 また、事件現場で手を合わす子を含む大勢の姿を映像で見ながら、被害児童の学校以外の子どもらにも、ケアの必要が発生していないかと心配している。
 翌日の児童の登校には付き添いの親が増えている。


聞かぬが花

2019-06-01 14:08:34 | 岩国エッセイサロンより

2019年6月 1日 (土)

  岩国市  会 員   吉岡 賢一


 山笑う青葉若葉のすてきな季節に、防災スピーカーから「クマの親子発見、要注意!」の予期せぬ警報が発せられた。幼稚園や小・中学校が多くある地域だ。
 「子どもたちを守らねば」と色めき立った。
 孫君の小学校でも、数日間保護者の送り迎えが義務づけられた。「母さん、何かあったら大変じゃけー来なくていいよ。その代わりじいちゃん迎えに来てよ」。4年生にして、母親はこの世で最も大切な存在であり、看護師という仕事が忙しいことを知っている。
 ならばじいちゃんはどうなん? 聞かぬが花、言わぬが花。孫君に幸あれ。
   (2019.06.01 毎日新聞「はがき随筆」掲載)