kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

買ってはいけない高配当銘柄

2020-05-26 04:03:27 | 日記
キャノン、日産、ソフトバンク、日本郵政さてこれらに共通する点
は何でしょう。高配当利回り銘柄として過去注目された銘柄です。
前期決算で大幅な減配に追い込まれた日産を除けば配当利回りは
3社とも6%を超えています。

高利回り銘柄として一定の人気があっても不思議ではないのに同業
各社よりも株価が堅調なのかというと答えはNOです。企業は稼いだ
お金を研究開発や従業員への還元、設備投資やM&A、そして配当や
自社株買いといった株主還元に充当します。

株主の立場からは自社株買いや増配は歓迎されることですが株価の
上昇という点では不十分な点が目立ちます。例えばキャノンは2015年
から5期連続で還元率は7割を超えています。2016年と2019年は稼い
だ金額企業を配当に回し還元率は100%を超えています。

株主還元に積極的な企業としては合格かもしれませんが、株価は5年
前の半分を割り込んでいます。原因は本業の柱であるデジカメと複写
機が不振です。それも一過性ではなく両事業ともイノベーションによ
り市場が縮小する典型的な分野です。

キャノンも次の柱の育成を狙って欧州のネットワークカメラ大手や
商業印刷大手を買収しました。東芝からは医療機器事業を巨額な金
額で買収しました。露光装置や有機ELパネル向け事業もあります。
これらの新規事業は売り上げを伸ばしていますが2本柱の利益減を
補うところまでは大きくなっていません。

会社側の誤算は予想以上のスピードで主力事業の市場が縮小し大き
く収益が減少したことです。積極的な自社株買いでキャノンは自社
が2割を握る筆頭株主です。会社側は習得した自社株を消却しない
理由を企業買収での対価に使うと説明していますが、現時点では実
現していません。自社株買いした過去の株価に比べ現在は10年来の
安値圏で推移していますから会社側のメリットは殆どありません。

日産とソフトバンクは親会社の意向が同業他社に比べて配当性向が
高いことと無関係ではないでしょう。日本郵政は成長ストーリーが
描けない状態で政府の資金調達が優先され公開したために高配当だ
けでは株価を支えられませんでした。

どんな事業にも成長の限界があります。祖業にしがみ付かず柔軟に
事業構造を変えられた企業が生き残ります。残念ながら配当利回り
が高いというこのソフトバンクを除く3社は変われない或いは変わり
切れない企業だったようです。

経営者は稼いだ利益をどんな配分にするのかが最も重要な判断です。
稼いだお金は成長投資に重点配分する企業の方が魅力的なのでしょ
う。株価対策で配当性向が異常に高く高配当している企業は市場か
ら長期的には評価されないことは明白なようです。成長することに
よって業績がアップし無理なく配当も増やせるというのが重要です。

各社の現在の株価水準から余程の事がない限り一段と下値を切り上
げる展開は考えにくく指数が上昇すれば小反発は期待できるでしょ
う。しかし長期投資に耐えられる銘柄かというは疑問符は付きます。
やはり利益成長がなければ配当利回りが高くても持続的な株価の上
昇は期待できないというのが結論です。
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ダウ型日本の限界点

2020-05-24 04:48:59 | 日記
弱気な見方も多かった5月の株式市場でしたが、予想外の堅調さが
続いています。このまま堅調な展開で5月相場が締めくくれるので
しょうか。また25日から始まる5月相場最後の週で6月相場繋がる
何らかのヒントが出てくるのでしょうか。

相場上昇に対して懐疑的な見方もあるのは事実です。むしろ強気派
よりは弱気派の方が多数なのかもしれません。弱気筋の読みは経済
再開が果たせたとしても当面感染予防が優先され多くの企業で売り
上げの回復は鈍いという見方をしています。

売り上げの回復が芳しくないのにコロナ対策での費用がかさみます。
米国経済の強みだった個人消費主導の経済の主役は外食や観光、エ
ンタメ、小売りなどですが対面での接触が制限される状況で消費の
本格回復が遅れるという見方があります。

内需系企業の回復が遅れれば雇用の回復も遅れ周り回って米国の消
費がコロナ以前に戻るにはかなりの時間が必要になります。追い打
ちをかけるように中国との関係が再び悪化する兆しがありグローバ
ルにビジネスを展開している企業への影響も懸念されます。秋の大
統領選挙を控え中国との関係改善は大きく期待できないとの見方も
あります。

日本では米国ほどの急激な雇用悪化は心配しなくても大丈夫なよう
ですが、雇用と引き換えに所得環境は厳しそうです。特に今年の夏
の場のボーナスもかなり厳しいものになりそうです。インバウンド
消費にも当面期待できず国内消費の低迷は長引きそうです。日米と
も一部の企業以外は業績面の厳しさから大きな先高期待は持てない
状況です。

需給面では海外投資家の売り越し基調が続いています。一部には原
油価格の大幅な下落で財政の厳しくなった産油国の政府系ファンド
の売りを指摘する向きもあります。いずれにしても順張り投資の多
い海外投資家の買いが戻られなければいずれ日本株の戻りも限界に
達します。

一方強気筋は中央銀行の超緩和政策は当面続きカネ余りが相場を支
える利回りの急低下で債券投資では収益が余り見込めず株式しか投
資対象が見当たらない。投資家の多くは2番底を警戒しているために
足元では待機資金が高水準に積みあがっている。

カネ余り相場が続く中でアフターコロナでこれまでの行動が見直さ
れ恩恵を受ける代表例のGAFAMの5社中心に今後も高い成長が期待
できる大型ハイテク銘柄が選好される。NYダウに比較して圧倒的に
戻りが鮮明なナスダック市場にはGAFAM以外にもエヌビディアなど
半導体関連で有望銘柄が多く上場されていることが背景としてある。

一方米国株でもJPモルガンなど大手金融株や中国関連のキャタピラー
それにコロナ前から深刻な経営問題を抱えていたボーイングも戻りは
鈍いままです。米国株でもハイテク産業の多いナスダック優位が続き
景気敏感株が多いNY市場の不振が鮮明です。

残念ながら日本株はナスダック指数ではなくNYダウ指数に連動する
構造になっています。大型ハイテク銘柄が不在であること。世界の景
気敏感株という位置付けは今も変わりません。各国が経済再開を果た
しV字回復が期待できるのならともかく現状ではそのシナリオは描け
ません。景気敏感株で成長余力が乏しい企業の多い日本市場の戻りは
鈍いのではないでしょうか。

次回の更新は26日を予定しています。
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賞味期限の見極め

2020-05-21 13:50:34 | 日記
富士フィルム、デンカ、、塩野義、中外薬、島津、任天堂、日清食品
東洋水産などコロナ関連、巣ごもり関連と言われていた銘柄の多くが
高値を付けたのは3月末から4月末までの1ヶ月間でした。尚も高値圏で
推移している銘柄もありますが、高値から1割以上も下げている銘柄も
あります。

株式市場というところは飽きっぽく、絶えず新鮮なネタを欲しがって
います。いくら好材料でも多くの場合1年を超えて人気が持続するケー
スは稀です。新型コロナウィルスに関してはまだまだ未知な部分も多く
治療薬やワクチンも簡単には開発が進みません。

治療薬やワクチンが世にせるためには効果だけでなく安全性も重要です。
世界的な課題となったことで新型コロナウイルスの治療薬もワクチンも
通常の場合よりも早く製品化が出来る可能性は高いでしょうが、市場が
期待するよりも時間は必要です。

期待先行、人気先行で上昇した関連銘柄もやがて投資家の関心が薄れます。
依然市場はコロナ問題を軸に動いていますが、既に人気銘柄はコロナ後も
業績を伸ばせる銘柄に移っているようです。株式市場で賞味期限を見極め
る難しさを痛感します。

設備投資関連銘柄でもキーエンスやダイフクのように10年来高値を更新す
る銘柄がある一方、アマダのように収益の急低下から減配を発表する銘柄
も出ています。自己資本比率が8割近くあり、手持ち資金も過去5年平均
1年分の経常利益分を確保している財務基盤のしっかりしているアマダが
減配するほど先行きに不安があるのでしょうか。

これだけ金利が低下しても株式市場で高利配当銘柄の人気に火がつかない
のも不思議です。高利回り銘柄の代表格だった日産が減配に追い込まれた
り日本郵政が中間配当を見送り年間配当も未定としたことが影響している
のでしょうか。

両銘柄とも元々配当性向の高いことが高配当の背景でした。業績不振が鮮
明になると減配ということが現実のものとなり、やはり高配当銘柄も持続
性の有無が投資家にも無視できないようになりました。そういえば1部上場
企業はPBR1倍が下値の目途というのも過去の話です。

今では上場株の半分が1倍割れしていますし、0.5倍や中には0.3倍なんて銘
柄も出ています。高配当利回り銘柄物色というのは既に賞味期限が遥か昔
に切れてしまったテーマになってしまったようです。

明日は都合により更新はお休みします。
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粘り腰の背景は

2020-05-21 05:48:18 | 日記
NY市場が390ドル下落したことで下落も予想された20日の東京市場
でしたが、終わってみれば161円高と予想外の粘り腰をみせました。
国内の感染者の減少を受け経済活動再開への期待が相場を支えてい
ると市場では言われているようです。

年初には米中の緩和ムードが広がっていましたがここへきて再び
対立激化に繋がるニュースが出ています。ファーウエイに対しては
一段と包囲網が強化されました。早速台湾の半導体受託最大手の
TSMCはファーウエイにからの新規受注を停止しました。

ファーウエイは民間企業ですが中国政府が推進する半導体産業の
強化・育成の核になる企業です。5G向けの基地局設置では世界最
大手です。またスマホでも激しく世界首位のサムスンを追いかけ
ています。

中国が世界一の経済大国に登りつめるための1丁目1番地が半導体
産業の育成です。軍事力にも繋がる半導体産業の優勢性維持は米
国としても譲れない部分です。秋の大統領選までは少なくとも米
中摩擦は緩和しないでしょう。世界経済には大きな不安材料です。

WHOが中国寄りの姿勢を是正しなければトランプ大統領はWHO
からの脱退も仄めかしています。ここでも問題の根っこの部分に
米中対立があります。

コロナの感染地域は中国から始まり欧州そして米国さらに5月に
入りブラジルやロシアの新興国での感染者が急増しています。
人口が多く医療体制が脆弱な新興国での感染者の増加は経済を
一段と悪化させます。現在は余り大きなニュースにはなってい
ませんが世界経済へのマイナスの影響は無視できません。

これだけ悪材料が山積しているにも拘わらず日本株は堅調です。
このところの粘り腰の背景にあるのはどんな理由なのでしょうか。
相場というものは摩訶不思議です。多くの市場関係者が当面上値
は限定的だという見方をしているにも拘わらず下げそうで下げま
せん。

経済が再開したとしても当面感染拡大第2波懸念は払しょくされず
とても正常化とは程遠い状況が続きそうです。経済の不透明感を
考えれば上値は追い辛いと思えますが、弱気の見方から待機資金が
多ければ下げそうで下げないシナリオもあるのでしょうか。

コロナ対策で世界の中央銀行が未曽有の金融緩和を当分続けそう
な状況です。債券の利回りが低水準で投資対象として魅力が低下
したことで業績の先行き不透明感はあっても投資資金に向かう構
造が続くのでしょうか。
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コロナショックが有っても無くても

2020-05-20 06:11:14 | 日記
19日の東京市場は2ヶ月半ぶりの高値で引けましたが、寄り直後に
2万600円を越えた後は次第に売り物に押され上値が重くなりました。
結局上昇率はNYダウの4割程度に止まりました。上値での買い手不
在は明らかなようです。

皆さんは最近キーエンスのチャートを見たことがありますか?では
日鉄のチャートはどうでしょうか?キーエンスのチャートからは既
にコロナショック前の1月の水準近くまで回復しています。

一方日鉄の株価は1月の水準を4割も下回ったままです。両社とも製
造業です。売り上げ規模は圧倒的に日鉄が大きくキーエンスの10倍
です。しかし利益率は日本屈指の高さを誇るキーエンスが4割で日鉄
は遠く足元にも及びません。

今期はコロナショックによる世界的な景気悪化でおそらく日鉄は前
期に赤字転落しましたが、今期も赤字基調から脱出できないでしょ
う。対するキーエンスは前期決算では1割ほど利益が減少しましたが
落ち込みは少なく、今期は増益に転じるという予想も出ています。

この2社の極端なケースかもしれませんが、コロナショック前から
キーエンスの将来は引き続き明るい見通しがあり日鉄は沈みゆく
船であるという現実です。コロナショックでより両社の収益に差が
出てくるというのを株価が示しているようです。

投資の常道は安く買って高く売るというものです。日鉄株でも幸運
に恵まれ大きく下落した底値を拾うことが出来れば短期的には利益
が出るでしょう。しかし持続的に株価上昇が見込めるかというと可
能性は非常に低いものになりそうです。

栄枯盛衰は世の常です。今回のように世界的なショック安が発生す
れば多くの企業が大なり小なり影響を受けるでしょうが、その後の
回復力の大きな差が出ます。東京市場は残念ながらキーエンス型の
企業が少なく、日鉄型のような企業が多いという事実です。

三菱重工、川崎重工業、IHIも日鉄型で既に株価はアベノミックス
相場がスタートした時点の水準に戻ってしまいました。日経平均が
当時の2倍を超えていることを考えればこの期間に企業価値向上が
進まなかったことが窺えます。

重厚長大産業だけでなく日本経済にとってより心配なのは日本のお
家芸だった精密企業のなかでも不振企業が目立つことです。キャノ
ンやニコンの株価はアベノミクス相場スタート時よりも低いことで
す。両社の不振は主力事業が時代の変化で市場が縮小したことや
新規事業がまだ柱に育っていないことです。

新陳代謝が上手く機能している米国市場はエネルギー株や金融株が
大きく沈んだ状態ですが、GAFAMのような成長を続ける企業が旧
来型の企業に取って代わって市場の柱となっています。これらの企
業は今回のようなショックにも耐性を示しています。

コロナショックは従来から不振の続いていた企業が一層苦境に陥り
伸びている企業はさらに強さを際立たせました。コロナショックが
有っても無くても伸びる企業は成長を続け衰退する企業はなかなか
その罠から抜け出せない事実です。
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