kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

コロナショックが有っても無くても

2020-05-20 06:11:14 | 日記
19日の東京市場は2ヶ月半ぶりの高値で引けましたが、寄り直後に
2万600円を越えた後は次第に売り物に押され上値が重くなりました。
結局上昇率はNYダウの4割程度に止まりました。上値での買い手不
在は明らかなようです。

皆さんは最近キーエンスのチャートを見たことがありますか?では
日鉄のチャートはどうでしょうか?キーエンスのチャートからは既
にコロナショック前の1月の水準近くまで回復しています。

一方日鉄の株価は1月の水準を4割も下回ったままです。両社とも製
造業です。売り上げ規模は圧倒的に日鉄が大きくキーエンスの10倍
です。しかし利益率は日本屈指の高さを誇るキーエンスが4割で日鉄
は遠く足元にも及びません。

今期はコロナショックによる世界的な景気悪化でおそらく日鉄は前
期に赤字転落しましたが、今期も赤字基調から脱出できないでしょ
う。対するキーエンスは前期決算では1割ほど利益が減少しましたが
落ち込みは少なく、今期は増益に転じるという予想も出ています。

この2社の極端なケースかもしれませんが、コロナショック前から
キーエンスの将来は引き続き明るい見通しがあり日鉄は沈みゆく
船であるという現実です。コロナショックでより両社の収益に差が
出てくるというのを株価が示しているようです。

投資の常道は安く買って高く売るというものです。日鉄株でも幸運
に恵まれ大きく下落した底値を拾うことが出来れば短期的には利益
が出るでしょう。しかし持続的に株価上昇が見込めるかというと可
能性は非常に低いものになりそうです。

栄枯盛衰は世の常です。今回のように世界的なショック安が発生す
れば多くの企業が大なり小なり影響を受けるでしょうが、その後の
回復力の大きな差が出ます。東京市場は残念ながらキーエンス型の
企業が少なく、日鉄型のような企業が多いという事実です。

三菱重工、川崎重工業、IHIも日鉄型で既に株価はアベノミックス
相場がスタートした時点の水準に戻ってしまいました。日経平均が
当時の2倍を超えていることを考えればこの期間に企業価値向上が
進まなかったことが窺えます。

重厚長大産業だけでなく日本経済にとってより心配なのは日本のお
家芸だった精密企業のなかでも不振企業が目立つことです。キャノ
ンやニコンの株価はアベノミクス相場スタート時よりも低いことで
す。両社の不振は主力事業が時代の変化で市場が縮小したことや
新規事業がまだ柱に育っていないことです。

新陳代謝が上手く機能している米国市場はエネルギー株や金融株が
大きく沈んだ状態ですが、GAFAMのような成長を続ける企業が旧
来型の企業に取って代わって市場の柱となっています。これらの企
業は今回のようなショックにも耐性を示しています。

コロナショックは従来から不振の続いていた企業が一層苦境に陥り
伸びている企業はさらに強さを際立たせました。コロナショックが
有っても無くても伸びる企業は成長を続け衰退する企業はなかなか
その罠から抜け出せない事実です。
コメント
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