真木悠介著作集

2012-10-27 10:17:25 | 本の話
電子書籍の時代になりつつあるとか。
本の整理整頓に場所や時間をとるよりも
優れた面がありそうですね。

母の家に置いたままの(=捨てた)多量の本を思い出すと
紙の文化の限界も感じます。

では私がこれからモバイルでの読書をするか?
時の流れにオンチな人間ですから、ありえません。
普通の本の方が頭に入り易いような気がするのです。

ご飯で育った人間がパンでは物足りないようなものでしょう。

ただ、何らかの形で情報ストックは必要かもしれません。
紙での整理は限界があるし、頭はガタガタだしね。


『真木悠介著作集 Ⅰ』が先日届きました。
岩波の本は高いのですが、欲しくて欲しくて・・

若いころ読んだ真木の文章が印象深いのですね。

冒頭からぶっとびます。
「何て名文なんだろう、はあ~!ふ~。」

思想的な中身が濃くて、それでいて叙情的で。
充実していますね。

本の出来も宜しい。
読みやすいですね。

こんな本を手に取ると液晶画面で読書ということが
いかにもお手軽に(薄っぺらく)思われます。
頭に入りそうに思えないのですね。
旧時代人のノスタルジーかもしれませんが。


似た感覚の本を思いうかべました。

芳賀徹著『與謝蕪村の小さな世界』中央公論社
昭和61年に上梓されています。

内容もツクリも大変に品が良い本ですね。
『真木著作集』も近い雰囲気がありますが
出来はやはり違いますね。

こんな本だと、本棚を眺めては落ち着きます。
持っているだけで嬉しいのです。
もちろん折に触れ読み返します。

芳賀先生も「あとがき」で、出来るならば
「あまり大きすぎず、分厚すぎず、といって薄くもなく、
手に持ってちょうどいい重さの四六版で、しかも
その装丁にも中身にも・・(蕪村らしさが漂う)」
そんな本を作りたかったと書いておられます。

今、仮に出版しておくが・・と謙遜されていますが
素敵な本です。
こんな本を手にすると文庫本が好きな私も
優劣を認めなければなりません。

活字だけが本ではなく、本の存在が人に訴えるものがある
それを実感できます。
文庫本の手軽な「手のひら感覚」も悪くはないですが。


日ごろ古本を読むことの多い私ですが、たまには
新しい本も読みます。
読むのが、はかどりますね。

やはり新鮮さがあるのでしょう。
新しいとオイシイのは食べ物と似ているかもしれません。

今野真二著『百年前の日本語』岩波新書

百年ほど前の「書き言葉」の事情を学者らしく簡潔に
纏めて頂いています。
(課題があるかどうかは私ごときには分かりません)

頭の中が整理されますね。

私の少ない読書歴から言うので例によってアヤシイのですが
この本が(一点集中)で日本語を解き明かして頂けるならば
より幅広い視点での分かりやすい本もあります。

樺島忠夫著『日本語探検』角川選書

日本語の表記について基礎的な知識を得られます。
勉強になりますね。

これをまず読んで、次に『百年前・・』が
学生の勉強としては入り易いと思います。


ただ、漢字とか、言葉のありかた、などを勉強するだけではなく
日本文化というものを捉えるヒントがあるように思います。
・・上記の2冊とも。

それがあるから良い本だといえるし、頭に入り易い。


上記4冊、お勧めの本であります。
なお「与謝蕪村・・」は文庫もあるようです。


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