クララ・ハスキル

2009-10-04 10:44:16 | 塾あれこれ
本の話ばかりですからタマには音楽のこと。

写真は2枚組みCD
クララ・ハスキルのモーツアルトのピアノ協奏曲集。

番号が若い順に、13、20,23,24、27番が
収録されています。
(CD内の順番は別)

指揮はパウムガルトナー、イーゴリ・マルケビッチ
フリッチャイなど。
録音は1954~1960です。

確か、少し安かったので買ったと思います。
彼女の写真が良いでしょう?
飾り気がなくて。
(若い頃は楚々とした美人)


クララ・ハスキルは1895~1960

CDのノートによって以下書きますと
9歳でデビュー、コルトーやブゾーニに師事し
10代後半にはヨーロッパ各地でコンサートを開き
活躍しています。

病弱で体力などに問題があり暫くして活動が
できなくなったようです。
(コルセットが必要だったとか)

20代前半は第一次世界大戦
40代前半が第二次世界大戦
ユダヤ系で迫害から逃れる生活でした。

1942には脳腫瘍の手術も。

大変に苦労をし、貧しくもあったようです。
大戦が終わり50歳を過ぎてやっと自分自身の
ピアノを持つことができたのです。

そうして戦後、有名になるのですが
年齢が高めになってから脚光を浴びるのは
フジ子さんみたいと思われますか?

でも、ピアノは随分と実力の差がありそうです。
クララは稀代のモーツアルト弾きでした。
モーツアルトのピアノ協奏曲をここまでの人気に
したのは彼女の力があって大きいのでは?

しかしまたもや悲劇が襲い1960年、突然に
亡くなってしまいました。
TRAGICな事故死と書いてあります。

偶々、私の祖母が亡くなったのが同じ1960年
今年は50回忌にあたります。

つまりクララは来年、没後50年となるのですが
少しは有名になるかしら?


私が大好きな彼女の音楽について一言。

透明感があり、十分にロマンチックです。
現代的ではないかもしれませんがモーツアルトと
近い感性を持っていたようです。

誰かがモーツアルトを「哀しみの疾走」と表現しました。

若い頃の私は、彼の明るさや饒舌が嫌いでしたが
ある年齢ころからモーツアルトの哀しさが分るような
気がしてきました。

モーツアルトのピアノ協奏曲でいえば27番の第二楽章
が一番甘くかつ哀しい。

知る限りではギレリスの弾く第二楽章の透明感、最高ですね。
甘くて、涙が滲みます。

たとえれば、雪と氷だけの真っ白な世界。
音が光に変わる哀しさ。
見上げれば真っ蒼で、空が見えない・・・

それに比べクララ・ハスキルの#27、第二楽章は
透明感が少ない。ほんのわずかだけれど。
どこかうっすらとベールがかかっています。

けれどもその分、かすかに寂しさがある。

このほうがモーツアルトに近いのです。