「福は内ィー！鬼は外ォ－！」
多少の照れはあったが、どの家からも、子供の甲高い声があがった。
女所帯の家からは、やや躊躇いがちな女の声。
長男だったので、豆撒きは私の役目だった。その内、弟にも少し権利を譲ったりした。
３０年ほど前までは、都心のマンションでも、「福は内」の声が聞けた。
現在、我が家の周辺で豆撒きをしている家はない。少なくとも、声を聞くことはなくなった。
節分やお面の奥の気弱な眼 ひよどり 一平
なんのかのと言ってはいたが、今日は節分だ。
季節の巡りは早い。
冬萌えやいのちは斯くもかぐはしく ひよどり 一平
