阿刀田高の小説が好きで、時折は読んでいる。
「猫を飼う女」はそんな小説の一つ。
その中で、主人公の『私』に面白いことを言わせて
いる。
またくの話、男が女に接するときには、”国士
無双`型と”四暗刻`型とがあるようだ。
国士無双は一か八かの危険な賭だ。途中で
ほかの役にかえるのはむつかしい。
恋もオール・オア・ナッシング。大胆に、直截
に、「あなたが好きです」と宣言する。
断られたら、それでおしまい。あきらめるより
ほかにない。
もう親しい友だちに戻ることもむつかしい。
その点、四暗刻は融通がきく。
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低いところから始めて、ハイエナのように
油断なく少しずつ高みを狙う。
・・・・・・最後の狙いが十であるにしても、
三でも五でも七でも、望みを小さくまとめ
る道がある。
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”国士無双`や”四暗刻`は麻雀の上がり手。
上がれば高い得点となるが、かなり難易度が高く、
危険度も高い。
私なら、麻雀自体から引き下がる。
つまり、始めから戦わない。
今にしてみれば、戦いは億劫だ。
もはや勝ち目もない。