JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

眠れない夜にジャケットを想う

2007年11月30日 | p-r

今日は期待以上に青空が拡がり、そこそこ暖かい一日でした。「毎日の気温差に体調を崩し風邪をひいてしまう」てな事も多いと思います、十分ご注意下さいませ。

昨晩は変に寝付かれず、布団からむくむく起き出して、半纏にヘッドホン、ロックグラスにストレートという、なんだか懐かしいようなスタイルでレコードを聴いておりました。
そんな旧式スタイルとともに、薄暗いスタンドの明かりだけでジャケットを眺めていると、昔をついつい懐かしんでしまうのは私が歳をとったせいなのでしょう。

こうして見てみると、それぞれのジャケットもそれぞれに歳をとりました。なかには背表紙が破れ、筒状になりかけているものもあります。まぁ、ぞんざいに扱ってしまった私のせいでありますから、これ以上の老化はなんとか避けてやりたいと思っています。
そこで今日はレコード・ジャケットの話でもしようかと・・・・・

またまた古い話ですが、私がジャズ喫茶でアルバイトを始めた当初、最も緊張したのはレコード盤とオーディオの扱いでした。そっとジャケット(お店によってはジャケットを別保存され、レコード盤だけを専用のジャケに入れているところもありましたが、私のバイト先ではオリジナル・ジャケットをそのまま使ってました。)からレコードを取り出し、ターンテーブルに乗せて針を落としボリュームを上げる、この動作にドキドキ、逆も同じで、ターンテーブルからレコードを外しジャケットにそっと戻す、これですら緊張したものです。だって、扱いが悪いと、レコード、オーディオはもちろん、ジャケットにも影響するでしょ、お客さんに出す珈琲を入れるときよりも気を遣いましたっけ(笑)

それがそこそこ慣れてくると、扱いも悪くなるんでしょうねぇ、ある日ママに
「バブ君、今、手を拭かずにレコード触ったでしょ」
洗い物の途中で、次のレコードをセットしていないことに気付き、急いでいたときだったと思います。よ~~く覚えてます。セットしたのはブルーノート盤でした。
余談ですが、レコードのセンターレーベルには水溶性インクが使われたものが多いのをご存じでしょうか?
ブルーノートのあの青もまさに水溶性、ママに言われて右手の中指を見てみると、うっすらと青く染まっておりました。

おっと、話はジャケットのことでしたね。

レコード・ジャケットというと、デザインを楽しんだり、ライナーノーツ等のセンターレーベルにはけして書ききれない情報を提供してくれるアイテムとして、私などには絶対に必要なものですが、レコード盤の保護も重要な役割です。

レコードマニアには、初版本収集に熱を上げる本マニアのごとく、初プレス、いわゆる初版盤にこだわる方も多くいらっしゃいます。
もちろん、音の観点からもしごく当然なのではありますが、「プレス枚数はじつはジャケット枚数で決まっていた」という事をご存じだったでしょうか?

プレスされたてのレコードは、そのまま横に重ねておくと変形して売り物になりません。ですから、プレス後すぐに内袋に入れジャッケットに収めることが必要でした。つまり、ジャケットの生産枚数で、レコード生産枚数が決まるということになるのです。
そんななか、「レコード保護が最大の目的であるなら、もう少し丈夫なジャケットにして欲しかったなぁ」てなLPも沢山ありますよね。


こちらが段ボールの後ろ貼り

こちらが組み立てタイプ

二枚のボール紙を上質紙でくるみ貼りしたものと、すでに印刷済みの厚手の紙を組み立てたもの(ヨーロッパではこちらが主流で、当初日本でもこれが採用されていたようです。)の二種類がありますが、それぞれに一長一短があります。
背表紙が抜けかかっているなんてぇのはボール紙方式に多いかな?でもジャケット全体としてはボール紙方式の方が丈夫で重圧感があります。
その点からするとインパルスの二つ折りジャケットが良いか?背表紙も見やすいし・・・・・でもその分色の劣化が一目で分かってしまう、だって、背表紙だけ見るとあの赤がそれぞれ違う色を使ってるんじゃないかってくらい違いますもん。(笑)

そうそう、以前紹介したクリフォード・ブラウンの「STUDY IN BROWN」なんて、私の所有盤は上紙がずれて貼ってあって、なんだかとっても寂しいジャケットなんですが(おかげで背表紙に文字がない)、ああいったミスはボール紙方式に多いのでしょうか?

ボール紙方式といえば、上紙の張り方が『前貼り』と『後ろ貼り』のものがあるじゃないですか、あれってどうしてなんでしょ?

ちょっと前にブルーノートの1500円シリーズっていうCDが出ましたよね(他にも格安盤がバンバン出ましたけど)あの時、CDでありながら「裏ジャケが気に入らない」と文句を付けてました。でも、レコードでもヴァンガードの「ヴィスカウント・レコード・シリーズ」なんかのように、真っ白のジャケットにシールを貼っただけみたいなのがありましたよね。
あれは、ジャケット・コストを抑えるためだったんでしょうが味気ないものでした。

あはははははは、眺めているだけで、こんだけいろいろ出てくるジャケット、やっぱり良いもんです。私もこれからは、老化が進まないように大切に扱っていくことにしましょう。

さて、今日の一枚は、ソニー・ロリンズです。
このアルバム、じつは買い直しをした一枚でありまして、私は以前間違いなく「WAY OUT WEST」もこのアルバムも持っていたはずだったんですよ。ところが、何故か今日の一枚だけ何処かへ行ってしまったのです。

ここで今日の話に戻るんですねぇ、私が買い直したこのアルバムのジャケットは『後ろ貼り』です。ところが、以前持っていたのはたしか『前貼り』だったと思うのです。
所有されているあなた、それは『前貼り』ですか?『後ろ貼り』ですか?(笑)

ロリンズがコンテンポラリーに残したアルバムは2枚、とうぜんながらレーベル的にいってもその内容はウエスト・コーストとの融合『カリフォルニア・シャワー』であります。
「WAY OUT WEST」にしても、今日のアルバムにしても「ロリンズ、あんた少しふざけすぎじゃない?」ってくらいリラックスしきったロリンズ、これを良しとする人とそうでない人とハッキリと分かれるアルバムかもしれません。(なかには「ウエスト・コーストをバカにしくさってる」なんて人もいますが)

私は、ウエスト・コーストの軽過ぎるほどのノリに、ちゃっかり乗っかっちゃったロリンズも悪くないと思っています。
やれテクニックがどうの、やれこのフレーズがどうのなんて考えないで、ロリンズと同じようにノリながら楽しんじゃえばそれでOK、そういうアルバムではないでしょうか。

SONNY ROLLINS AND THE CONTEMPORARY LEADERS
1959年10月20-22日録音
SONNY ROLLINS(ts) HAMPTON HAWES(p) BARNEY KESSEL(g) LEROY VINNEGER(b) SHELLY MANNE(ds) VICTOR FELDMAN(vib)[4]

1.I'VE TOLD EVRY LITTLE STAR
2.ROCK-A-BYE YOUR BABY WITH A DIXIE MELODY
3.HOW HIGH THE MOON
4.YOU
5.I'VE FOUND A NEW BABY
6.ALONE TOGETHER
7.IN THE CHAPEL IN THE MOONLIGHT
8.THE SONG IS YOU