JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

酒がいちばんいいね

2007年04月06日 | g-i

昨晩は晩酌もせずに、テレビドラマ「1ℓの涙」でもゆっくり観ようかと思ったのですが、風呂あがりにMさんから電話が入り、結局は梯子酒。まったくしょうがないオヤジであります。

飲み過ぎの翌日は、何故か麺類を欲する私、今日の昼食は蕎麦をいただいてまいりました。
天ざるを注文して、ちょっと日本酒でもいきたいところをグッとこらえ(当然です。)、そば茶をすすっておりますと、雑誌の棚に『古今亭志ん生』の顔が見えます。雑誌『サライ』の4号でした。

「ふむふむ」
志ん生の生涯や逸話、落語にひっかけた食事どころの紹介、「私と落語」と題された山下洋輔の文なども載っておりましたが、なにしろ蕎麦を待つ間の時間だけでしたから、すべてを読むことはできませんでした。(かといって明日また行って続きっていうのもねぇ・・・)
「くっそう!失敗したなぁ・・・あれだけ本屋には行っているくせにどうしてこの雑誌を見逃していたのか・・・・・・」
バックナンバーを取り寄せるか、迷っています。

というわけで、夕食後は志ん生の落語を楽しみました。といっても『たぬさい』一噺だけですけど。志ん生の語り口はいつ聴いても、やはり名人芸ですねぇ。
そして、今は『志ん生半生記 なめくじ艦隊』を引っ張り出し、レコードでも聴きながら読み返してみようかなと思っています。

酒がいちばんいいね。酒というのは人の顔を見ない。
貧乏人も金持ちも同じように酔わせてくれるんだ。

関東大震災の時、みんなが逃げまどう中、志ん生は真っ先に酒屋へ飛び込んだそうで、
「オヤジ、揺れで酒がこぼれちゃもったいない」
「いいよいいよ、好きなだけ飲んどくれ、私たちは逃げるからね」
「そうかい」
てんで、一斗樽から一升五合ほど飲み干し、千鳥足で帰って行ったのだそうで、あげくは両手に二升かかえていたってんですから、豪快じゃありませんか。
飲んべえが、そんな志ん生のお言葉を聞くと、じつに重みを感じます(笑)。
もちろん、私だって酒に感謝しながら、毎日飲んでますよ。でも志ん生の域に達するまでは、まだまだ修行が必要なようです。

さて、今日の一枚は、レッド・ガーランドが長期休養(?)に入る前、最後に吹き込んだ一枚です。

今日は あの娘の亡骸に
逢いに来たのさ セント・ジェームス医院

おっと、これは浅川マキの詩でしたね(笑)

ともかく、このアルバムの「St. JAMES INFIRMARY」は大好きです。いわゆるテンポ溢れるガーランドとは、まったく違う一面を見せる演奏ですけど、これ以上早くても遅くてもこの味は出ないというほど、絶妙なテンポの一曲。仮にガーランド嫌いの人でも納得いく演奏ではないかと思います。

WHEN THERE ARE GREY SKIES / RED GARLAND
1962年10月9日録音
RED GARLAND(p) WENDELL MARSHALL(b) CHARLES PERSIPS(ds)

1.SONNY BOY
2.MY HONEY'S ARMS
3.St. JAMES INFIRMARY
4.I AIN'T GOT NOBODY
5.BABY WON'T YOU PLEASE COME HOME
6.NOBOBYKNOWS THE TROUBLE I SEE

おまけ、
『セント・ジェームス医院』は16世紀のイギリス、ウェストミンスターにあった、女性レプラ患者救済病院がそれで、その病院もヘンリー8世がこの地にセント・ジェームス宮殿を建てたときに取り壊されたのだそうであります。
この病院を歌ったフォーク・ソングが幾つかあり、これがアメリカに渡ってこの曲が生まれたのだそうですよ。

ちなみに、『レプラ』というのは、らい病、つまりハンセン病のこと、病院というよりは女性専門の収容施設がここにあったのでしょうね。