JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

手の音

2005年11月13日 | a-c

「みなさん、ここバードランドでは今夜、特別な趣向が用意されております・・・
ブルーノート・レコードによる録音です・・・
どこで拍手しても、あなたの手の音がそのまま録音されますよ。ですから、繰り返し繰り返し全国各地でレコードが聴かれるうちに、いつかどこかで気づくかもしれません。あっ、これ、バードランドに行ったときの俺の手の音だ、なんて・・・
みなさん、今夜はステージに大アート・ブレーキーと、彼の素晴らしいバンドを迎えます。トランペットに気鋭のクリフォード・ブラウン、ピアノにホレス・シルバー、アルト・サックスにルー・ドナルドソン、ベースにカーリー・ラッセル・・・
さぁ、いよいよアート・ブレーキーの登場です。盛大な拍手で迎えましょう。アート・ブレーキーに拍手をどうぞ!サァーン・キュー!!」

「A NIGHT AT BIRDLAND」のとっぱじめに録音されている、ドアボーイ兼名物司会者、小男ピー・ウィー・マーケットのアナウンスであります。

この場に居合わせたお客さんは、まさにこの歴史的一夜を生で堪能し、そして全国どころか全世界のいたるところで自分の手の音を確かめることが出来たのです。

こういった場に偶然にも立ち会えるということは、幸運のなにものでもありませんが、みなさんは自分の手の音が聞こえるアルバムってありますか?
私は、あるんですねぇ(ちょっと自慢げ)
1979年7月26日、田園調布の駅にほど近い、「田園コロシアム」に私はおりました。この日「田園コロシアム」に現れたのは「V.S.O.P」であります。
1976年のニューポート・ジャズ・フェスティバルのメイン・イベントとして企画されたバンド、ハービー・ハンコック、フレディー・ハバード、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスのクインテットです。
(当初は、マイルスを引っ張り出すためのバンドでしたが、マイルスには聞き入れてもらえず、ハバードが参加したといういきさつもありますが)

大雨の中、アンコールのハンコック、シューターのディオ演奏まで、それはすごい盛り上がり、「Live Under The Sky '79/V.S.O.P. The Quintet」というアルバムになっていますので、その中に必ずしや私の手の音が入っているはずなのであります。(ははははは.....「A NIGHT AT BIRDLAND」の拍手みたいにわかりやすいといいんですけどね、あの人数ですからそれはちょっと....)

「それはすごい演奏だった。客はみんな熱狂していた。ホレスがブルースを弾きはじめたときだった。バーに立っていた男が妙なアクセントで"r"を転がしながら興奮した言葉を発しているのが聞こえた。その男はこう言っていた。"Yeah, dot's fenky, cherchy-grroovy."ドイツ人のあの男、アルフレッド・ライオンだった」
これは、バードランドに居合わせたジャズ評論家アイラ・ギトラーのことばです。

これから先、こういった場に自分が立つことは望み薄ではありますが.....
それにしても、ライブ行きてぇー、生聴きてぇー!!!!!

A NIGHT AT BIRDLAND Vol.1 Vol.2/ ART BLAKEY
1954年2月21日録音
CLIFFORD BROWN(tp) LOU DONALDSON(as) HORACE SILVER(p) CURLY RUSSELL(b) ART BLAKEY(ds)
Vol.1
1.SPLIT KICK
2.ONCE IN A WHILE
3.QUICKSILVER
4.A NIGHT IN TUNISIA
5.MAYREH
Vol.2
1.WEE-DOT
2.IF I HAD YOU
3.QUICKSILVER(Alternate Master)
4.NOW'S THE TIME
5.CONFIRMATION

おまけ、
クリフォード・ブラウンは、チャーリー・パーカーと一週間共演しています。
ブレーキーがフィラデルフィアに行くと聞いたパーカーは、
「おい、トランペッターは連れて行かなくていいよ。あそこにはものすごいペット吹きがいる、そいつを使えばいい。名前?えーとたしかクリフォード・ブラウンとかいったな」