昨晩、またしても飲み過ぎた私は、午前中一人散歩へと出かけました。1時間ほど歩いてきたのですが、良い天気に良い加減で汗もかき、アルコールがスーっと抜けていく感じ、たまに散歩も良いものです。
渓谷行きを断念したこともあり、少しでも秋を感じられる場所はないかとキョロキョロして歩いてきましたが、銀杏の葉も紅葉には、まだしばしの時が必要なようです。
それにしても、我が家のすぐ近くだというのに、いつも通らない場所を歩くと新しい発見があるもので、赤い屋根の電話ボックスも「使う人がいるのかなぁ?」と思うような所にポツリと寂しそうにたたずんでおりました。
以前はよく利用させていただいた電話ボックス、携帯の普及でとんとご無沙汰です。
「時に、愛をささやく若者の声を聞き、女房にバレバレのいい訳をする旦那の声を聞き、ポケット・ベルで呼び出された営業マンが深々と頭を下げる姿を見てきた、この赤い屋根の電話ボックスは、今、滅多に来ない人を恋しくて恋しくて、だだ待ちこがれているのだろう。」なんて勝手に思ったりして。
住宅裏の細い路地を抜けると、普通の一軒家の門柱に「手作りパン」の文字、これまた普通の玄関ドアから、その家のご主人らしき人が
「あのう、すいません、パン売ってらっしゃるんですか?」
「あっ、いらっしゃいませ、嫁さんが趣味のように焼いているパンなんですけど、そんなんでよければ」
「おじやましまーす」(おもわずそう言ってしまうほど、普通のお宅なんですよ)
種類は少ないけど美味しそうなパンが幾つか並んでいます。
(「そういえば一昨日の「鶏のトマト煮」がまだ残っていたはずだ」)
ドイツパン風の硬いパンを1つ、包んでもらい
「ちょっとした散歩だったのに、良いおみやげが出来ました。」というと
小さなクロワッサンを2つサービスしてくれました。
なんだか、とてもトクをしたような。
ウキウキしながら自宅へともどり、残り物の「鶏のトマト煮」ととても美味しいパンの昼食をいただきました。
さて、「今日は休肝日かなぁ」と思っていたら、「BLUE HOUR」なんてかけちゃったものだから、結局、グラスに琥珀色の液体が
「このジャケットを見て、スタンリー・タレンタインのサックスを聴いちゃったら、ねぇー
そりぁー、飲まないわけいかないっしょ!」(......苦しいいい訳)
「スタン、頼むから行かないでおくれ」と泣く母を抱きしめ、
「いつか私を誇りに思えるような日がくるさ」と言って、バンドと共に黒人専用の店以外入ることが出来なかった、50年代の南部へと16才のタレンタインは旅立ちました。
苦労を重ねた彼の「BLUE」は、ブルースであり、黒人感情でもあります。彼のサックスはそれを雄弁に語ってくれます。
BLUE HOUR / STANLEY TURRENTINE & THE THREE SOUNDS
1960年12月16日録音
STANLEY TURRENTINE(ts) GENE HARRIS(p) ANDREW SIMPKINS(b) BILL DOWDY(ds)
1.I WANT A LITTLE GIRL
2.GEE BABY AINT I GOOD TO YOU
3.BLUE RIFF
4.SINCE FELL FOR YOU
5.WILLOW WEEP FOR ME