毎日のできごとの反省

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蟹の横這い

2009-11-13 22:42:08 | 政治

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産経新聞の11月10日の1面に某大学教授の論説が載った。タイトルは「外交の内政化」で民主党批判である。普天間飛行場の県外移設は、鳩山内閣の閣僚の誰かの選挙区移転でも考えない限り不可能であるというのだ。逆に言えば日本の国内のどこかの地域住民が同意すれば移設は可能であると言っているのだ。某教授は果たしてアメリカが日本のどこかが受け入れれば移転に同意するとでも思っているのだろうか。まさに教授自身が沖縄の基地問題を国内問題に矮小化している。つまり蟹のお母さんである。沖縄の基地の重要性は、世界地図を見れば一目瞭然である。台湾と沖縄の距離は500km程度であろう。

 九州と沖縄の距離はそれよりずっと遠い。普天間基地の県外移設となれば、台湾までの距離は1000kmを遥かに超える。軍用機の往復を考えればこの距離の差は大きい。この事は台湾に中共軍が侵攻しようとした場合に、米国が対抗する事が現在よりも遥かに困難になるのは間違いない事を意味している。沖縄の米軍が減る事は、中共の台湾侵略を容易にするが故に戦争の誘発を招く。平和主義者が戦争を招く、の典型である。戦争を招かないまでも、中共の軍事的脅威から、台湾は中共に戦争なくして屈伏して呑み込まれる事もあり得る。台湾国民が中共に併合されて幸せになれようはずがない。某教授は自分自身が外交的な危険も考慮しないで民主党は外交を内政化しようとしていると批判している。

 沖縄から米軍が出られない理由はそればかりではない。沖縄はフィリピンと台湾に対する距離が似ている。しかし米軍はフィリピンの基地反対運動で撤退した。つまり沖縄は台湾に対する唯一の防衛の要となったのである。なぜ米軍はフィリピンから出て行ったのか。それはどの評論家も言わないが、フィリピンの反米感情は我々が思うより遥かに強いからだ。原因はフィリピンを植民地にしている間に悪逆の限りを尽くしたからである。例えばフィリピンを併合する機会となった米西戦争(アメリカとスペインの戦争)の際に、フィリピン独立の指導者に米国の味方をして、スペインと戦えば戦後フィリピンを独立させると約束した。米国はスペインに勝つと約束を反故にした。

 そればかりではない。その指導者を捉えて、足を銃で打って動けないようにして、血を流してもがき苦しむのを放置して1週間生かして、散々苦しめてから殺したのである。同様な殺害シーンはロボコップのパート1でも見られたからこうした拷問殺人は米国人の得意とするところだったのだろう。これは1例に過ぎない。米国はフィリピンで暴虐の限りを尽くしたから反米運動が起きたのである。大東亜戦争でフィリピン人が米国の味方をしたのは米国が圧倒的に強く、日本に味方をしても何の益もないと判断したからであって米国に好意を持っていたからではない。つまり米国は日本より怖かったのである。

 さて沖縄の米軍駐留は日本にとっても利益が多い。フィリピンから米軍が出て行って何が起きたか。フィリピンと中共は南沙諸島つまりスプラトリーの領有を争っていた。中共はフィリピンから米軍が撤退すると同時に、スプラトリーに軍隊を送って支配してしまった。フィリピンは米軍の撤退によって領土争いに何もせず負けたのである。日本も沖縄付近に尖閣諸島と言う島があり、中共はそれを自国領だと主張している。また東シナ海のガス田について中共と権利を争っている。沖縄の米軍が減れば、尖閣諸島にも軍隊を派遣して奪い、ガス田は全て自分のものとして日本の言う事を聞くはずはない。沖縄の米軍の撤退はそんな危険をはらんでいる。それどころか中共は沖縄は自分の領土だと主張しているのだ。

 それでも沖縄から出ていけ、と言う人に言おう。日本が領土を失わず台湾侵略を防ぎ、米軍に沖縄から出て行ってもらう方法はある。それは日本の軍隊が米軍に代わって沖縄に駐屯して中共の軍事力に対抗して東アジアの安定を保つ事である。それも嫌だと民主党政権は言うから何もできないのである。アジアの力の空白を埋めて中共の侵略を防ぐのは日本の他にない。



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