褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 太陽がいっぱい(1960) 格差社会の悲劇を感じます 

2017年06月20日 | 映画(た行)
 先日、アラン・ドロンが映画、舞台から引退するとの意向を示した。かつての美男の代名詞だった彼もすでに80歳を超えた。さすがに現在の姿からは今でいうイケメンからは程遠い容姿になってしまったが、昔の彼はメチャクチャ格好良い。
 顔が良いのは勿論だが、スマートな服の着こなし、上着のジャケットを肩に掛けて歩く姿は昔の男性のみならず俺だって真似するし、煙草は吸わない俺だが彼の煙草を吸うシーンの格好良さを見ていると、40歳半ばを過ぎているのに今から煙草デビューをしようか!なんて本気で思う。

 数々の名作に出演しているアラン・ドロンだが、その中でも最もお勧めしたい映画が今回紹介する太陽がいっぱい
 最近もキャロルなど多くの作品が映画化されているミステリー作家であるパトリシア・ハイスミス女史の原作の映画化作品だ。
 今や格差社会なんて言葉がすっかり定着してしまっているが、本作がまさにソレ。大金持ちの御曹司の傲慢な男、そして貧乏ですっかり卑屈になってしまっている男。そんな格差社会の両極端にいる2人の出会いが、アラン・ドロン演じる貧乏人の男の野心に火をつける。
 
 巧みな知恵、涙ぐましい必死の努力によって完全犯罪を目指すアラン・ドロンの運命を描いたストーリーの紹介を。
 大富豪の息子フィリップ(モーリス・ロネ)はアメリカを飛び出し、ヨーロッパ中で遊びまくっている。フィリップの父から高い報酬で彼を連れ戻すように依頼を受けた貧しく孤独であるトム・リプリー(アラン・ドロン)は、フィリップにアメリカに帰るように説得を試みるが、彼は帰ろうとする意思が全くない。それどころかトムはフィリップに金が無いことを見越されて自分の手足のようにこき使われ、美しいフィリップの恋人であるマルジュ(マリー・ラフォレ)とイチャついているところを見せつけられる。
 ある日のこと、トムとフィリップ、そしてマルジュの3人はヨットで友人のパーティーに向かう。ヨットの中でも酷い仕打ちを受けたトムは、マルジュをヨットから降ろすことに成功。ヨットの中でフィリップと2人きりになったトムは彼をナイフで刺し殺し、死体をロープで縛り海へ放り出す。
 そして、トムは完全犯罪を成立させるためにあらゆる細工を施す。苦労の末に完全犯罪を成立させ、しかもマルジュを自分の女にし、フィリップの遺産もマルジュを通して手に入れて、すっかり幸せな気分に酔いしれていたトムだったのだが・・・

 最近の映画を観ていて時々思うのが、犯罪者がニコニコし過ぎ。その挙句に捕まってもニコニコしながら刑務所に入ってそのまま終了~なんて映画を見かける。映画の中の話であっても犯罪者は必死になって逃げる気を見せないと観ていてシラケた気分になってしまう。その点では本作のアラン・ドロンからは充分に必死さが伝わる。
 フィリップを殺害した後に、彼に成りすますためにサインの筆記を真似るのに猛練習したり、電話での会話の口調もバレないように声も真似し、偽造パスポートの作り方も手抜きがない。
 そしてチョイチョイやばい場面に出くわすのだが、必死に逃げるの当然で、さらには殺人の犯行を重ねてフィリップがやったように見せかける。そんなアラン・ドロンを見て何故か「頑張れ~」なんて声援を送ってしまいそうになっている俺がいる。必死になっている人間を見ると応援したくなるのは誰もがみんな同じ!なんて言っている俺ってアホか。
 ニーノ・ロータの哀切漂う音楽はしっかりマッチしているし、犯罪場所が太陽が燦々と輝く海のど真ん中っていうロケーションが妙に印象的で、ラストでも効いてくる。アラン・ドロンの犯罪者になってからの目つきがやばいし、それを写し出すカメラワークも抜群だ。そして格差社会や同性愛的な怪しい雰囲気もあったりで、古い映画だがむしろ現在の方が内容は受ける感じがある。
 サスペンス映画の名作のド定番の本作だが、まだ観ていない人は勿論だが、既に観たことがある人も色々と新しいことを発見できるかもしれない。ってことで今回は太陽がいっぱいをお勧め映画として挙げておこう

太陽がいっぱい [DVD]
アラン・ドロン,マリー・ラフォレ,モーリス・ロネ
パイオニアLDC


 監督はフランス映画界の名匠ルネ・クレマン。哀切漂う音楽で有名な禁じられた遊び
、凄すぎる豪華キャストを集めた戦争映画の大作パリは燃えているかがお勧めです。

 アラン・ドロンの他の出演作品ではルキノ・ヴィスコンティ監督の若者のすべて山猫、ジャン・ギャバン競演の大金強奪映画地下室のメロディー、クールな殺し屋を演じたサムライ、チャールズ・ブロンソン競演の男の友情が理解できるさらば友よ、アドヴェンチャー、恋愛、友情、アクションを混ぜ合わせたような冒険者たちがお勧めです。
  
 
 
 

 

 



  


 


 



 

 

 
 

 

 

    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする