褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 自転車泥棒(1948) 戦後イタリアの不況のどん底を描く

2017年06月17日 | 映画(さ行)
 日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国であるイタリア。その後における両国の目覚ましい経済発展、やがて訪れる不況の波。何となく現在に至るまで同じような歩みを感じるのは俺だけか。
 戦後の不況のどん底状態のイタリア社会を描いた映画が今回紹介する自転車泥棒ネオリアリズモを代表する名作だ。

 冒頭から職を求めて職業安定所に殺到する人の多さにもびっくりするが、自転車の多さにもびっくりする映画だ。
 今や歩いて5分ぐらいしか掛からないようなコンビニへ行くのにも車を使っている俺。よく考えたら自転車って30年近くも乗っていないことに気がついた。しかし、本作に描かれている戦後の間もないイタリア社会は自転車があるか、ないかは大きな死活問題の状況。盗まれた自転車を必死の思いで探し続ける父と少年の姿に泣けてきた。

 さて、こんな貧困の時代が日本にもあったんだと感じさせるストーリーの紹介をしよう。
 数年間仕事に就けなかったアントニオ(ランベルド・マジョラーニ)は、ようやく役所のポスター貼りの仕事を得ることができた。しかし、そのためには自転車があることが条件。ところが生活苦を続けていたアントニオは自転車を質に入れていた。彼は女房と相談してベッドのシーツを数枚を質に入れて、自転車をとり戻す。
 仕事初日、ポスター貼りの仕事をしていたアントニオだったが、一瞬のスキをつかれて、自転車を盗まれる。自転車を買う金もないアントニオは、息子のブルーノ(エンツォ・スタヨーラ)を連れて、自転車を探し回り、ついに犯人らしき男を見つけ、問い詰めるのだが・・・

 この世の中、必ずしも正義が勝つとは限りない不条理な世界。真面目にやっても報われないどころか、なぜか次々と災難が自分の身に降りかかる時がある。しかし、そんな時にこそ自分の真価が試される。
 本作のお父さんがまさにソレ!残念ながらこのお父さんは誤った方向に導かれてしまう。しかし、人間なんて100%心が清い人なんかいない。俺なんかいつもニコニコ、どこからどう見ても善い人にしか見えないが、実はけっこう腹黒い。
 そして、このお父さんのある行動を完全な悪人として批判できる奴がいるのか?だいたい自分を良い様に見せている奴の方がもっと信用がならない。

 そして観ている最中は「あ~、これはロクな結果にならないな~」と何となく感じる。しかし、どこにでも神様って居るんだよな~と思わせてくれるラストシーンに心が洗われる。このお父さんの場合は息子が神様だ。
 決してハッピーエンドではないが、暗闇の中にも小さな希望の灯が薄っすらと光る映画。どんな辛いことがあっても、わずかな希望を持ってさえいれば生きていける!そんな気分になれる映画として、今回は自転車泥棒をお勧め映画として挙げておこう

自転車泥棒 [DVD]
ランベルト・マジョラーニ,エンツォ・スタヨーラ
ファーストトレーディング


 監督はイタリアを代表する名匠ヴィットリオ・デ・シーカ。多くの名作を遺したイタリアのみならず彼の映画は日本を含め、世界中に愛されている。
 モンゴメリー・クリフト、ジェニファー・ジョーンズ競演の終着駅、マルチェロ・マストラヤンニ、ソフィア・ローレン競演のひまわりがお勧めです。





 
 






 

コメント (3)
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