褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 外人部隊(1933) ラストシーンが素晴らしい

2017年06月13日 | 映画(か行)
 フランスの外人部隊といえば、そこに集まってくる人間の背景は色々。純粋に軍人として入ってくる人間よりも、犯罪者が最後の逃げ場としてやってくるイメージが俺にはある。そんな外人部隊の中で過去に傷を背負った者同士が友情でつながることはあっても、お互いの素性については暗黙の了解で干渉してはならない。今回紹介する外人部隊は、そんな内情が描かれている事にも興味が惹かれるが、実は男女の微妙な心理が描かれている人間ドラマ。
 タイトル名にもなっている外人部隊だが、実は単なる背景としての役割を与えられているに過ぎない。男女の恋愛模様及び男女関係がメインテーマとしてあるのだが、その中でも男の馬鹿っぷりが凄すぎる。しかし、多くの男性はその馬鹿さを自らに照らし合わせ、確かに俺もそうだよな~!なんて妙に納得するだろう。
 本作はメチャクチャ古いフランス映画であり、俺も色々と多くの映画を観てきたつもりだが、ラストシーンが最も印象に残っている映画と言えば本作になる。それは何故か?

 さて、決してラストシーンが素晴らしいだけでなく、人生の厳しさを描いている点にも惹きつけられるストーリーの紹介をしよう。
 ピエール(ピエール・リシャール・ウィルム)はパリでフローランス(マリー・ベル)と贅沢三昧の遊びを楽しんでいる。とことんフローランスに貢ぎまくるのだが、実は会社の金を横領していた。
 そんなピエールの悪行もついにバレてしまい国外へ逃亡する羽目になってしまうのだが、金にしか興味のなかったフローランスは彼の頼みも聞き入れることなく、彼に付いて行くことなく姿を消してしまった。
 すっかり自暴自棄になってしまったピエールはアフリカのモロッコでフランスの外人部隊に入る。地獄のような暑さと厳しい行軍の毎日に嫌気がさしていたが、そんな彼の慰めの拠り所は外国人部隊で知り合い友人になったニコライと行軍中の休憩場として訪れる酒場でいつも慰めてくれる女将のブランシュ(フランソワーズ・ロゼー)。
 ある日のこと、ピエールはニコライと酒場で飲んでいると、フローランスとそっくり顔立ちのイルマ(マリー・ベルが二役)と出会い、二人は愛し合うことになるのだが・・・

 冒頭からダメっぷりを発揮してくれるピエールだが、そんな彼にも幸運が舞い降りる。ようやく外人部隊での厳しい日々をイルマと一緒に抜け出せるかと思ったのに、なぜ神は悪戯な状況をピエールに作り出してしまうのか?しかし、男なら馬鹿丸出しのピエールの気持ちがわかるよな~。昔、愛した女性の面影は男をとことん狂わせる。
 一人二役を髪の色、声、性格を変えて熱演するマリー・ベルのカワイ子ちゃんには確かに惹かれる。
 しかし、それ以上に興味深いのが年増の域に入っているフランソワーズ・ロゼー演じる酒場の女将。実はダメ男のピエールを支えていたのはコッチの女性。彼女の優しさはまるで聖母マリア様のようである。彼女の得意のトランプ占いはイカサマもインチキも無くて当たりまくる。このトランプ占いがラストシーンで抜群の効果を発揮する。そして、観ている者の想像力を刺激するエンディングは本当に素晴らしい。
 1930年代から40年代にかけての甘く切ないフランス映画が好きな人、今まで名作と呼ばれる映画を何本か観たがどれも面白くなかったと感じている人、人生を感じさせる映画を観たい人等に今回は外人部隊をお勧め映画として挙げておこう

IVC BEST SELECTION 外人部隊 [DVD]
マリー・ベル
IVC,Ltd.(VC)(D)


 監督は戦前を代表するフランス映画界を支えたジャック・フェデー。本作にも出演しているフランソワーズ・ロゼーは彼の奥さん。彼女を出演させた作品に名作が多い。ミモザ館女だけの都がお勧めです。 
 

 
 
 
 
 
 
 





 


 

 


 
コメント (1)
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