褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 パンズ・ラビリンス(2006) 大人向けのファンタジー映画 

2017年06月06日 | 映画(は行)
 普通はファンタジー映画と言えば子供が楽しめるとしたものだが、今回紹介するパンズ・ラビリンスはRG12指定をくらっているため小学生は観ることができない。そりゃそうだ、なぜならファンタジーのくせに残酷な暴力描写が多いから。よって小さい子供がいるお母さんは間違っても本作を一緒に観ようと思って手に取ってはいけない。
 そうは言っても映画自体の内容は本当に素晴らしい出来である。大人の中にもちょっと痛いシーンは苦手という人もいるが、そんなことで本作を敬遠していたのでは非常に勿体ない。だいたい人間なんていうのは真の痛みを経験してこそ、他人の気持ちを理解してあげることが出来るのだ。

 さて、早速だがストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 1944年のスペイン内戦が舞台背景。内戦で父親を亡くした少女オフィリア(イバナ・バケーロ)は身重の母カルメン(アリアドナ・ヒル)と再婚相手でありフランコ独裁政権を支えるヴィダル大尉(セルジ・ロペス)の居る駐屯地に向かう。
 このヴィダル大尉がとんでもなく残虐であり、しかも母カルメンに対しても何の気遣いもない。すっかり嫌気がさしてしまったオフィリアは何とかして、この場所から逃げ出したいと願っていた。
 ある時オフィリアの前に妖精が現れる。オフィリアは妖精の後を附いていくと迷宮にたどり着く。そこで番人であるパン(ギリシャ神話に出てくる牧羊神のこと)出会い、意外なことを聞かされる。オフィリアは地底の王国の王女であることを。
 すっかりその気になったオフィリアだったが、パンは王国に戻る条件として彼女に三つの試練を与えるのだが・・・

 スペイン内戦のフランコ政権の軍と森に隠れているゲリラの戦いの様子が、非常に激しく描かれている。ヴィダル大尉がゲリラ及びゲリラと間違って捕まえてしまった親子でさえも、容赦なく拷問及び処刑。観ている者の痛覚に反戦メッセージを植えつけるシーンだ。昔の時代を描きながらも今を生きる我々にも大いに通じる部分がある。
 オフィリアが現実逃避しておとぎ話の世界にのめり込んでしまうが、彼女は決してメルヘンチックな少女ではなく、極めて現実を冷静に見ていたことを今ブログを書いていて強く思う。
 そして本作の特徴が怪奇的なクリーチャー達。妖精と言っても見た目は昆虫だし、化け物さながら巨大カエルが登場したり、パンの姿も牧羊神という割にまるでプレデターを更にグロテスクにした姿であり、そして真っ白けの化け物が手に目を埋め込んで追いかけてくる奴が怖い。そして、何処かで見たことがあるような気がするマンドラゴラの根の使い方が非常に巧みだ。
 それにしても、どうしてこんな厳しい試練に少女が立ち向かわないといけないのか!と心優しい俺なんかは思うのだが、泣いてばかりいるようでこの少女は本当に逞しいし、勇気もある。とにかく悲惨な状況に居座らずに、自らの手で現状を打破しようとする実行力は大人の俺も見習いたいところだ。
 ファンタジーでありながら大人だからこそ色々と考えさせられるパンズ・ラビリンスを今回はお勧め映画として挙げておこう

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 監督はメキシコの俊英ギレルモ・デル・トロ。ホラータッチの物からアメコミ、アクションと幅広い分野で独自の作風を見せつける監督。本作と同じくスペイン内乱を背景にしたデビルズ・バックボーン、アメコミのヘルボーイ・シリーズ、ホラーアクション映画ブレイド2、そして世界中で最も日本人が楽しめそうな怪獣映画パシフィック・リムがお勧めです。
 
 
 
 
 

 
 

 

 

 

 

 

 
 
 







 
 



 

 

 







 
 

 

 

 

 

 

 

 

 



 
 
コメント (2)
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