褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 炎のランナー(1981) 実在した二人のランナー 

2017年06月24日 | 映画(は行)
 オリンピックにしろ、各競技の世界選手権におけるアスリートたちの凄さはテレビを見ていても伝わってくる。その中でも俺が観戦していて、本当にこの人たち俺と同じ人間かよ!なんて驚嘆するのが陸上競技のアスリート達。あの研ぎ澄まされた身体、極限にまで高められる集中力、そして人間離れした記録。彼らのメダルを目指して、この一瞬にかける日々の努力の結果を羨望の眼差しで俺は目撃するわけだ。

 しかし、アスリート達はピカピカのメダルを獲るためだけに、日々のストイックな練習に耐え続けるわけではない。彼らにも生き様があり、我々が想像できない熱い想いを持っていることがわかる映画が今回紹介する炎のランナー。ちなみに本作はアカデミー賞作品賞受賞作だ

 実在した二人のイギリス人ランナーを描いているが、彼らはいったい何のために走るのか。オリンピックで金メダルを獲得するため以上の熱い想いで走る彼らのストーリーの紹介を。
 1919年のイギリスのケンブリッジ大学に入学したハロルド・エーブラムス(ベン・クロス)は自分がユダヤ人であることから偏見にさらされていることを強く意識する。人種差別に対する反発心が彼をひたすら走らせる。
 その頃スコットランドのエディンバラではエリック・リデル(イアン・チャールソン)がラグビー選手として活躍していたが、彼の走りは陸上関係者の中でも注目の的。しかし、彼の本業は宣教師。走ることにのめり込むエリックに対して妹のジェーン(シェリル・キャンベル)は早く本業に打ち込んで欲しいと彼に訴えるが、彼は自分の脚が神から与えられた賜物だという信念から走り続ける。
 そんな二人は1923年の競技会において100mで直接対決をするが、わずかの差でエリックが勝利する。
 そして1924年のパリオリンピックに二人とも出場することになるのだが、思わぬ事態がエリックに降りかかる。それは彼の信仰心が試される出来事だったのだが・・・

 表面的にはスポ根ドラマのサクセスストーリーを装っているが、人種偏見、宗教といったテーマが打ち出されている。
 一人は人種偏見を見返すために走り、もう一人は神から与えられた才能を示すため、そして神から与えられた試練をクリアするために走る。彼らはオリンピックでメダルを獲ることよりも、もっと熱い想いを心に秘めて走っていたのだ。
 しかし、この映画の価値を高めているのが、比較的最近に行われたロンドンオリンピックでも流されていた音楽。主にスローモーションで選手たちが砂浜を走るシーンで流れるのだが、これが観ている者のハートを熱く燃えさせる。さあ、これから戦うぞ!みたいな感じ。
 
 そして本作はイギリス映画であり、時代背景も第一次世界大戦が終わった後の話。今やすっかり老大国となってしまったイギリスだが、世界においてイニシアチブを発揮することができず、スコットランド独立騒動、EUを離脱としようとするなど迷走に陥ってしまっている。まさにこの時から大英帝国の没落が始まったことを考えると、歴史的観点からも興味が惹かれる映画だ。
 何かとロクでもないことばかりが最近続くイギリスだが、この映画を製作した当時は少しばかりのプライドを感じさせる。他にも今観ると色々と発見できる炎のランナーを今回はお勧め映画として挙げておこう。

炎のランナー [DVD]
ベン・クロス,イアン・チャールソン,イアン・ホルム
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント





 
コメント (2)
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