頭の中は魑魅魍魎

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『ゴールデン街コーリング』馳星周

2019-01-27 | books
80年代、北海道から横浜市立大に入学した坂本が、ゴールデン街のバー「マーロウ」でバイトをしながら体験したことを描く自伝的小説。

多分ほとんどが実話のように読める。馳星周自身がゴールデン街の「深夜プラス1」で働いていたし、作中で「本の雑誌」でライターデビューするとあるけれど、それも自身のこと。本名の坂東齢人を坂本に変えたのと、オーナーでコメディアンで書評家の内藤陳さんが、顕さんに変わっているけれど。

顕さん(=陳さん)が凄まじく酒癖の悪いことに驚く。何度となく描写されるのに飽きないのは表現が巧いからか。

一応殺人事件があってその謎を解くという体裁はとっているけれど、ミステリーというよりとも青春小説という感じ。なかなか面白かった。

昔、「深夜プラス1」に行ったことがある。時期的に既に馳星周氏は辞めてしまった後らしい。何回か行ったけれど、陳さんも一度も見かけなかった。バーテンの男性と何か最近読んだ本の話をしたような記憶と、ボトルを入れた時の名前を呉一郎にしたことは覚えてる。(この店はボトルの名義はハードボイルド小説の登場人物にしなければいけない。「ドグラマグラ」がハードボイルドかという問われれば違うだろうけど、大抵の有名な小説の登場人物は全員既に使われているので仕方ない。)

話を本に戻すと、坂本青年の恋の話がなかなかだった。妙にリアリティがあるので、実話じゃないかと思うのだけれど、どうなのだろう。


ゴールデン街コーリング
馳星周
KADOKAWA




今日の一曲

昔よく聴いていた。Fourplayで、"Bali Run"



では、また。
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