頭の中は魑魅魍魎

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『物語のおわり』湊かなえ

2014-10-29 | books
イヤミスの女王のようなイメージがあるけれど、「山女日記」のような、そうでもない作品もある湊かなえ。連作短編集の本作。

地方のパン屋の娘。本を貸してくれる高校生の男子の影響で本が好きになった。小説家になりたい。その男性も好きになった。パン屋を継がなくてはならない、しかし小説家になりたいという葛藤を描く、最初の短編。次の短編は、別の主人公が何かに悩むことと、それと関連して冒頭の彼女が書いた小説をその主人公が読むという形式をとっている。

面白い形態だと思ったのだけれど、相変わらず湊かなえらしく、テクニックが先に来てしまっていて、ストーリーの不自然が鼻につく。ああ駄作だなと思いつつ読んでいた。しかししかし、そう思った私が間違っていた。全部で8篇ある中で4つ目辺りから面白くなってきた。いや面白いというよりも、ええ話やなーと思ったり、各短編の関連性の付け方が巧いなーと思ったり。

今までの「泣ける」とか「感動する」にはもう飽きた。エキセントリックな形で感動したいと心の中で叫び続ける人に薦めたい。

ドラマ「Nのために」の放送が始まった。原作を読んだはずなのに、何ひとつ覚えていない。もしかすると湊かなえの、奥深いところにある価値は、読んだ人に内容をすぐ忘れさせるところにあるのかも知れない。エンターテイメントはそれでいいのだよ。たぶん。

物語のおわり

今日の一曲

物語は終わる。逆に物語は終わらない。と言えばNever Ending Storyなのだけれど、オリジナルではなく、E-girlsのカバーで。



E-girlsはK-POPのコピーに過ぎないよという知り合いがいて、また彼女らはかわいくていいじゃんと言う知り合いもいる。K-POPのことはよく分からないのだけれど、どうなのだろう。

では、また。
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