頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

ドラマ「タンブリング」第一回

2010-04-18 | film, drama and TV

TBS系列土曜19:56より放送。

新体操に燃える男子高校生とヤンキーたちの融合・友情・根性というような物語。なんてまとめ方は怒られそうだが。

うーん。私には楽しめなかった。大人気だったROOKIESやクローズZEROのように、私はどうもこういう(どういう?)青春系の映像作品は向かないようだ。木更津キャッツアイ、がんばっていきまっしょい、乙男、ゆうひヶ丘の総理大臣など青春モノ全体は好いておるのだが。不良物語だったら私立極道高校、嗚呼!!花の応援団とか好いておるのだが。

スポ根とか不良モノが喰わず嫌いであるということではないと思うのだが、ここ数年映像メディアが描こうとする、<不良>なんだけど<筋が通ってる>そして<頑張ってる>子達がどうにもこうにもステレオタイプにしか見えない。視聴のターゲットとしている層があまりにも限定されすぎているように思う。ストーリーは決して悪くないのに、それ以外が(私には)こてこてすぎて美味とは感じられない。

小説でもそうだが、特に味わうのにハードルが低いドラマなどの映像作品は、成功したか否かいや、高い評価を得るか否かは、狙った層以外にどれだけ楽しんで貰えたかにかかる。この人たち以外しか面白くないというような作品は一過性のものであって、ビジネスとしては成功するかも知れないが、長く作品として余韻を残すことにはならないと思う。あくまでも一般論なので「タンブリング」に当てはめようという事ではないけど。

まあドラマとしては「Mother」や「チェイス~国税査察官」が面白かったのであまりにも面白い作品が多いと録画がたまって困るという側面もあったりなかったり。そうそう。ドラマ「素直になれなくて」が意外と視聴率が低くてちょっと驚いた。


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NHKハーバード白熱教室がいい

2010-04-17 | film, drama and TV

4月11日(日曜)18時から教育テレビで放送があった。毎週同じ時間で放送があるようだ。調べてみると、マイケル・サンデル教授による、ハーバード大学の法哲学(政治哲学?)の授業JUSTICE(=正義)が全24回の講義を6月20日まで放送されるとのこと。

物凄く面白かった。生徒1000人(教室にそんなに入るか?)とサンデル教授が交わす対話方式の授業、知的刺激に満ちている。政策ディベートでは欠かせないCost/Benefit Analysisをディベーターたちが雑に普段扱っているそれとは次元が違う高いレベルで提供してくれる。知り合いの日記を読んでいたら、これを見たという人を何人か見かけた。その内の一人は彼が通っていた某国立T大学のロースクールよりも(特に喋り方が)優れた授業であるというような事を書いていた。なるほど。

授業内で映像を流して、シェークスピアとバラエティ番組とザ・シンプソンズを見せてどれが好きかという生徒たちの反応も面白かった。私はあまりザ・シンプソンズは好まないのだが、ハーバードの学生にも人気なのか。


NHKのオフィシャルサイトからそのまま引用させて頂くと

Lecture1 犠牲になる命を選べるか
あなたは時速100kmのスピードで走っている車を運転しているが、ブレーキが壊れていることに気付きました。前方には5人の人がいて、このまま直進すれば間違いなく5人とも亡くなります。横道にそれれば1人の労働者を巻き添えにするだけですむ。あなたならどうしますか?サンデル教授は、架空のシナリオをもとにしたこの質問で授業を始める。大半の学生は5人を救うために1人を殺すことを選ぶ。しかし、サンデル教授はさらに同様の難問を繰り出し、学生が自らの解答を弁護していくうちに、私たちの道徳的な根拠は、多くの場合矛盾しており、そして、何が正しくて、何が間違っているのかという問題は必ずしもはっきりと白黒つけられるものではないことを明らかにしていく。

Lecture2 サバイバルのための殺人
サンデル教授は、19世紀の有名な訴訟事件「ヨットのミニョネット号の遭難事件」から授業を始める。それは、19日間、海上を遭難の後、船長が、乗客が生き残ることができるように、一番弱い給仕の少年を殺害し、その人肉を食べて生存した事件だった。君たちが陪審員だと想像して欲しい。彼らがしたことは道徳的に許容できると考えるだろうか?この事例を元に、哲学者、ジェレミー・ベンサムの功利主義「最大多数の最大幸福」についての議論を戦わせていく。


という初回は見逃してしまった。今回は

Lecture3 ある企業のあやまち
ベンサムの功利主義の中心となる考え方である「効用の最大化」、つまり最大の喜びをもたらすものこそ最善である、という論理をさらに具体的に考える。「すべての便益の合計から、代償を差し引いたとき、幸福が苦痛を上回るだろうか」というこの論理は、「費用便益分析」という名で、昔から企業や政府でよく使われてきた。サンデル教授は、事例をいくつか挙げる。政府がたばこの消費税率を上げようとした時、あるたばこ会社は費用便益分析を行い、「政府は、国民の喫煙によって得をする」という結論を出した。1970年代には、アメリカの自動車メーカーが、人の命に値段をつけて、リコール問題における費用便益分析を行った。多数派が残酷で、卑劣であっても、私たちは常に多数派の幸福をより重視すべきなのだろうか?すべての価値をお金のような共通の基準を用いて足し合わせ、比較することは可能なのだろうか?

Lecture4 高級な「喜び」 低級な「喜び」
サンデル教授はもう一人の功利主義の哲学者、ジョン・スチュワート・ミルを紹介する。ミルは、道徳性の高さは効用の大きさで決まると考え、「望ましいものとは、実際に人が望むものである」と述べた。さらに、功利主義が高級な喜びと低級な喜びを区別することが可能だと論じている。区別する方法とは、両方を経験した人が選ぶほうが、より好ましい喜びだ、というのだ。その実証のため、サンデル教授は学生たちにシェイクスピアと、人気のアニメや TV番組を比較させる。さて、高級な喜びに選ばれたのは・・・?



AなのかNOT Aなのか常に選ばねばならない立場にいる経営者さんや、物事を考える枠組みにヒントが欲しい学生さんたち、もっと面白い授業がしたいと望む教師さんたちなど観て何か得るモノが多い人たちはたくさんいると想像する。

しかし放送が始まったばかりの18時頃に友人たち7名に「これ面白いよ。まだ間に合うから見れば?」とメールしたのに、誰からも返信がなかった。はっはっは。




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ドラマ「警部補 矢部謙三」第一回

2010-04-16 | film, drama and TV

山田と上田のドラマTRICKからのスピンオフ。4/9(金)の初回放送分について。警視庁公安課の敏腕刑事矢部謙三(生瀬勝久)。部下のアキバ君(池田鉄洋)とふざけた捜査をしながら解決に。初回はテロリスト赤い狼を追うということで、なぜか庶務係の鈴木浩介と貫地谷しほりが捜査に絡む。潜入捜査専門の原幹恵、参事官として昔矢部の部下(TRICKの時)だった姜暢雄がいる。

矢部が領収書の「上様」を強引に「警視庁様」と書き換えたり、温泉のおかみとして、「温泉へ行こう」の加藤貴子が出てきて「大原ルリ子でございます」と言っていたりして小ネタはあちこちにばら撒かれている点はTRICKと変わらない。

矢部のヅラにやたらと拘るのがしつこいと言えない事もないが、全体としては笑えるし悪くないと思う。劇場版とドラマのスペシャルが5月にあるそうなのでたったの6回で終わってしまうのは残念だ。

テレビ朝日のオフィシャル・サイト



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ドラマ「素直になれなくて」第一回

2010-04-16 | film, drama and TV

ツイッターで知り合った若い男女の物語。以上。じゃ短すぎるか。

女の子を撮るという仕事が不満のカメラマン、瑛太。高校の国語の非常勤講師が上野樹里。雑誌編集者、玉山鉄二。CAだと偽っている関めぐみ、医者だと偽っているジェジュン。

ツイッターで知り合って、飲んで仲良くなって、それで・・・瑛太は井川遥とたぶん不倫中でお揃いのタトゥを入れていて上野は弟がたぶんドラッグアディクトで玉山は上司の渡辺えりからセクハラを受け関は不倫中でしかも妊娠したかも知れずジェジュンは医療機器メーカーの営業マンだが成績不振&妹は参考書万引き・・・

華やか/地味にフツーな見かけでも裏ではみんな大変なんだよというメッセージを感じた。ツイッターという極めて現代的でつい最近出たばかりの流行を使用したドラマなのに内容はある意味コテコテだ。コテコテであるという事は必ずしも悪い事ではなく安心して見ていられるという大きなメリットがある。この手のドラマでは両刃の剣かと思うが。

犯罪もしくは反社会的行為に没頭しているキャラクターが多いのでその辺の始末をどうストーリーの中でつけていくのかという事に一応期待する。瑛太の父親の吉川晃司が怪しすぎるのと、ジェジュンの妹が木南晴夏(20世紀少年で小泉響子役)、24歳で女子高生を演じるのが気になる。

この手の役をやらせたら瑛太はやはり巧い。まだ何かに成りきっていない成長途中とか、○○見習いとか、モラトリアム期間中とかそんな役。それと最初のシーンで上野樹里が着ていた白い上と紺のキュロット。だいぶ古いファッションだと思った。最近流行っているのだとしたら知らなかった。古いファッションが狙いだとすれば、彼女=イナたい(死語?)人であるということだと思った。しかし後のシーンでは特にそうでもないのであのファッションの意味が不明。誰か教えて。

イケメン編集者の玉山が編集長渡辺えりから路上で「キスして。しないと仕事おろす」と脅され仕方なくキスするというややおぞましい(?)セクハラを受ける。しかしあれ?と思った。一昔前なら男性上司がよく女性部下や、あるいは男性クライアントが女性営業にしていた事だ。(私はしていないぞ!私の記憶が確かならば)(最近記憶が曖昧だが)男女が入れ替わるという昨今の現象を思わぬ形で見せてもらった。うーむ。

私は東方神起に全く詳しくないのだが、先日解散したとか。そのメンバーであるジェジュンが、ドラマの中ではかなり上司にいじめられ、さらに医者にいじめられる役を演じていて、彼のファンから相当の怒りを買う事にならないのだろうかという余計な心配をしてみたりする。その辺りの心理を理解するために、私の好きな女優さんがドラマ内で猛烈にいじめられていたりすると想像してみよう。その場合、自分がいじめているという錯覚に陥りサディスティックな快感を感じる・・・可能性はある。あるいは俺の○○をいじめるな!と一緒にいじめられているマゾヒスティックな快感を感じるかも知れない。

いじめという行為をSかMに還元して考える私はいかがなのかという気もするけれど。

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ドラマウイークなのであと数日はドラマレビューが多くなる予定。レビュー予定は「警部補 矢部謙三」「新参者」「タンブリング」「アイリス」「ヤンキー君とメガネちゃん」「チェイス~国税調査官」

週刊新潮に「始まる前からコケそうな実写版『怪物くん』誰が見る?」とあったがこういう書き方はどうなのかな、なんて事も思った。「読む前から何書いてあるか分かる『週刊新潮』」とか「見出しを見るだけで売れないと思う『週刊新潮』誰が買う?」というような批判を自分たちが受けるという事は想像できないのだろうか?

おっと。辛口になる予定はなかったのに。では最後に、ドラマのタイトルに戻って。

いつもメイクをバッチリきめているあの娘が言った。

「素顔になれなくて・・・」


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『エデン』近藤史恵

2010-04-15 | books

「エデン」近藤史恵 新潮社 2010年(初出新潮ケータイ文庫DX2009年)

大薮春彦賞受賞と本屋大賞2位に入った、自転車ロードレース小説「サクリファイス」の続編。私「サクリファイス」読んでないんだけど・・・表紙は実在のコフィディスというチームの選手の写真、裏表紙の黄色いジャージはアスタナのアルベルト・コンタドールではなかろうか?・・・

ツールドフランスに出場するフランスのチーム、パート・ピカルディ。そこでエースをアシストする役目をしている日本人ロードーレーサー白石誓。愛称はチカ。チームのスポンサーが下りてしまうので就職活動も兼ねてツールではいいところを見せなければならない。ツールドフランスという世界一過酷なレースを闘うということ、チームの駆け引き、役割分担。読むだけでツールドフランスが分かってしまう凄い小説。

という大雑把な要約で大体当たっているように思う。前作を読んでいないことは特に障害にはならなかった。ケータイ小説だからか、字がやや少ないのが不満。もっともっと読ませて欲しかった。まあ軽く読もうと最初から思って読めば良かったのだろう。

なぜゆえにツールドフランスが世界一過酷なレースだと言われるのか。期間が長いのと毎日毎日長時間自転車を漕がないといけないのと、無理しても食べないといけないのと・・・実際に自分が出場しないと分からないのだろうが、しかしそれは無理だ。小説の醍醐味は自分には出来ない事を疑似体験出来る事であるので、特に「エデン」ではそれを顕著に味わう事が出来る。

スカパーで観る事が出来る人にはぜ観戦をお薦めしたいし、それは無理でも過去のレースについてはDVDも出ているので、人間というより神の領域に近い男ランス・アームストロングの偉業について観てみると<ああ生き神様だ>とつぶやいてしまうかも知れない。そんなわけないか。


全然関係ないんだけれど、横浜にエデンの園という老人ホームがオープンするそうだ。そのネーミングはどうだろう。おじいちゃんとおばあちゃんが禁断の果実を口にするのだろうか。それとも天国に近い楽園なのだろうか。貴方どこにお住まいなの?エデンの園でございますの、おほほ。なんて言ってみたい。いやみたくない。




エデン
近藤 史恵
新潮社

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水曜ドラマ「Mother」第一回

2010-04-15 | film, drama and TV

日本テレビ系列毎週水曜22時

室蘭。冷たい感じのする小学校教師、松雪泰子。不本意なのに3学期だけ担任を受け持つ事に。学校で飼っていて死んでしまったあひるのために手紙を書かせようとすると「あひるさんは字が読めないでしょ」と書こうとしない女の子、怜南(芦田愛菜)不本意ながら怜南と関わりを持つようになると彼女は虐待を受けている事が分かる。彼女は実に健気な子で、松雪に帽子をくれる。いらないと断ろうとするが、後に我々は、松雪の後頭部に小さなハゲが出来ているのを見て、なぜ帽子をあげようとしたのか分かる。

怜南が「健気である」という表現をしたり誰か登場人物に言わせるのではなく、我々が健気である「と思う」ような描写をしてくれているのが実にいい。さすが坂本裕二による脚本。

全く期待しないで観たのに非常に良かった。松雪泰子が虐待されている子を救う為に誘拐するに至った心境の変化の経緯をどう描くのかなと思って観ていた。日テレの作るやや暗いドラマの中で最高到達点に至ったと言ってしまったら言い過ぎだろうか。初回だけではあるが、無理な部分やここは変えた方がいいのになと思うようなポイントは何一つ見つからなかった。これは毎週必ず観る。

昔、虐待というと背中に般若や鯉などに絵画をプリントしたような人がするようなイメージがあったが、現在はフツーに人たちがする事のようである。

ヤクザはヤクザらしい格好をしていた昔の方が、ヤクザとホストの区別がつかない今より、私は好きだ。


日テレのオフィシャル・サイト



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『ロスト・シンボル』ダン・ブラウン

2010-04-14 | books

「ロスト・シンボル」(上下)ダン・ブラウン 角川書店 2010年
THE LOST SYMBOL, Dan Brown 2009

ラングドン・シリーズ第1作「天使と悪魔」第2作「ダ・ヴィンチ・コード」に続く第3作。

スミソニアン協会会長のピーター・ソロモンはフリーメーソンのメンバーでもある。彼から依頼を受け講演することになるが、ピーターは拉致されてしまった・・・フリーメーソンの謎とは何か・・・

うーん。私はあまり楽しめなかった。ダ・ヴィンチ・コードという傑作の後に読むと期待が大きくなるという事もあると思う。もしこのようなタイプの小説を読んだ事がなくて初めて読むなら評価できるのかも知れない。(しかし初めて読んだのではないというのが現実なので、そこで反実仮想しなくてもいいのかしら)

アルブレヒト・デューラーがADだとかその他暗号解読がこれでもかと出て来る。その解読の過程にカタルシスを感じる事が出来なくて、頁をスイスイと捲る事が出来ないのはなぜだろう。単に私の問題なのか。暗号の登場とその解決を楽しむには読みながら「その暗号が解かれて欲しいなー」と思う事、「その暗号が解かれないと困るなー」と感情移入する事のどちらかが必要だが、どちらも感じなかった。感じるようにmotivateしてくれなかった。(motivateの使い方が間違ってるかも知れない。)良かった点を挙げれば、謎の刺青男マラークが何者なのか、このような事をする動機は何かが分かった時にへぇと思ったのだが。それは必ずしも本作の本筋ではないと思う。ラストの謎解きもプロセスじゃなくて結果に不満。

以上が第一回感想。もしかして自分の読み方が間違っているのかと再読した。

ふむ。どうも、脚本を読まされているような感覚がした。映像が浮かぶのだ。しかし小説を読んでいるのであって、脚本を読んでいるわけじゃないし、脚本は演じる者演出する者たちのための道具だろう。いや脚本と言うと言いすぎか。映像を意識し過ぎた小説と言えば良いか。映像が浮かぶ事自体は悪い事ではないんだが、それが過剰だとかえって読みにくいように思う。もちろんその方が読みやすいという人も多くおられるのだろうとは想像するけれど。

第二回は肝心の謎解きに読み落としがないか、謎解き以外に何か面白い事があるかと探しながら読んだ。謎解き以外の要素で読むべき所はどうにもこうにも私には見つける事が出来なかった。伊坂幸太郎「オー!ファーザー」には謎解き以外で読む所だらけなのと対照的だ。


まあ小説に限らず人間関係でもあまりにも期待が大きくなってしまう事や、○○しか求めない△△しか求められないのはあまり良い事をもたらさないってことなのだろう。




ロスト・シンボル 上
ダン・ブラウン
角川書店

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三谷ドラマ「わが家の歴史」三日目だけ観た

2010-04-13 | film, drama and TV

フジテレビ開局50周年記念が視聴率が振るわなかった「不毛地帯」に続いて昭和史ドラマ。

初日と二日目は録画してあるのだがまだ観てない。三日目だけ観た。

最初は、糸川英夫だの、洞爺丸だの昭和史がパラパラと出て来る、細切れ昭和史を学ぼうドラマだと思った。八女家のドラマはややそっちのけの。しかし我慢しつつ観ていたら、ちゃんと柴崎コウ中心のドラマへと移っていって、結構悪くなかった。

なぜあの役が柴崎コウなのか、竹内結子ではダメなのか、壇れいではダメなのか、伊東美咲ではダメなのか、よく分からなかった。ただ感情を表に出さないやや淡々とした人物をうまく演じているなとは思った。

内野聖陽演じる無職人と公園で出会う西田敏行。何か仕事がないかと尋ねる内野に西田は何が出来ると尋ねる。内野は指を上から下へ下ろす仕草をするので(麻雀か?と思ったら)将棋だった。西田は自分も強いぞと自宅で指そうと誘う。内野が将棋が強いのに西田はあんたは将棋で食っていけるぞと言う。その時点で、(内野のこの歳でこれから奨励会に入ってプロの将棋指しになるのは無理だよな・・・)と思った瞬間「あ!升田幸三だ!」と思わず叫んでしまった。

後で西田がテレビを見ていたら、内野が将棋を指していて、それが升田幸三。相手が大山康晴だと分かって西田が驚くというシーンがあった。

自分が面白いなと思うのは、自分は将棋マニアでも何でもないし、升田幸三の顔なんて覚えていないのだ。調べてみたら似てない。でも、彼だと思ったわけだししかも当たっていたわけだ。演じる側あるいは作る側が凄いのか、分かる私が凄いのか。誰も凄くないのか。


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『オー!ファーザー』伊坂幸太郎

2010-04-12 | books

「オー!ファーザー」伊坂幸太郎 新潮社 2010年(初出河北新報他新聞2006年3月~2007年12月)

最新作は新聞連載されていたもの。しかしもう4年も前。どうして単行本化が遅れたのか。

誰が遺伝学上の父親かはっきりしない、はっきりさせようとしないので4人の父親と同居する由紀夫は高校生。たぶん成績は悪くない。たぶんもてる。たぶん性格も悪くない。でもどこかクール。ストーリーは、地元で開催されているドッグレース、今真っ盛りの県知事選挙、地元に現れたアイドル、登校拒否する同級生、特に付き合っているつもりはないのに向こうは付き合っている気分の女の子、奔放な父親たち、それらが中心に進んでゆく・・・

いやいやいや。もっと早く単行本になって欲しかった。遅れた理由はあとがきに書かれてはいるけれど。ご本人は以後の作品群とは違うと言うが、どこを切っても伊坂ワールド炸裂。金太郎飴状態だと思う。私が思うに、伊坂のこの作品は好きなんだけどあの作品はあまり好きでなくて、と作品ごとに違う評価をするよりは、伊坂幸太郎世界が好きだからどれも読むか好きじゃないからどれも読まない、という人が多いように思う。私は前者。

そもそもこの作品は何が言いたいのか、ストーリーの行き先がどこなのかなかなか分からない。しかしラストで収斂する様は流石。そう来たか。メインがそれ(ネタバレはしないです)だってことに驚く。あれじゃなくてそれ。いやそれはあれと関係があったのか。うーむ。

まるで目の前に映像が繰り広げられているような感覚で読んだ。ドラマ化や映画化されたらぜひ観てみたい。気に入りすぎの作品は必ずしも映像で観たくない。文章による作品世界が壊されるのが嫌だからだ。しかし「オー!ファーザー」に関しては、由紀夫をそして4人の父親を誰が演じるのかすごく興味がある。

気に入ったのはラストだけじゃなく、アイドルの名前が田村麻呂だったり(光GENJIがアリなのだからそれもアリか)、「あなたがいないと生きていけないの」と携帯で喋っている女性について「喋ってる相手は酸素じゃないか?」と言ってみたり、そういうディテールだ。こういうディテールが私は本当に好きだ。

物事の本質を掴むことはとても大切な事だし、それは間違っていないはずなのに、伊坂幸太郎の作品だけは、本質=ラストのオチだとすれば、本質以外に(も?)大切な事があると思わせる。あるいは、彼の作品はあちこちにばら撒かれているディテールにこそ本質があるのだろうか。

なんて事を言っているとと、自分自身のこれが本質であると自分は思っているにもかかわらず。私と接触のある人たちは、髪型がどうとか今日はシャツがピンクだとか時計がゴツイとか靴下に穴が空いてるとかそういうディテールしか見ていないのかも知れない、とふと思った。





オー!ファーザー
伊坂 幸太郎
新潮社

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店名にツッコンでください13

2010-04-11 | laugh or let me die


はがくれ
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アバクロ銀座に行ってきた

2010-04-10 | days



巷ではアバクロと呼ばれるAbercrombie & Fitch、が昨年末銀座に上陸した。いつだったか渡米した(米を渡した?)ときに見かけてなかなか良いなーでもちと高いなーアウトレットには出店してないなーという記憶だけ残っていた。上陸したこともすっかり忘れていたのだが、ザギンに行ったので寄ってみた。

入っていきなり、上半身裸の兄ちゃんと写真を撮ってくれる。その辺りから意味が分からない。そして店内は爆音。

そしてだいぶ上までずっと階段。混んでいるからか(土曜の夜8時過ぎてたけど)昇りで途中までしかエレベに乗せてくれない。下りは乗せてくれない。エレベに。

そして、各階に店員が数人。みながハーフっぽい。そしてくねくねと踊っている。クラブか?

そして階段を降りると壁画が半裸の男性ばかり。そういう系か?

そしてどっかのフロアでパツキンの姉ちゃんに「ブエノス・ディアス」と言われた。俺は何人に見えるのだ?仕方ないので「キャメロン・ディアスは好きではありません」と答えておいた。

そしてジーンズは2万9千円ぐらい、ポロシャツで8千円くらい。安くはないけど激高とも言えない。全体ラルフ・ローレン的な感じなんだがラルフより安いかな。モノも悪くないっぽい。

そして何も買わないで帰ってきた。彼と撮ったポラだけを握りしめて。









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『ヒルクライマー』高千穂遥

2010-04-09 | books

「ヒルクライマー」高千穂遥 小学館 2009年

サラリーマン大作はメタボだった。しかしある日見かけたヒルクライムレースも見て、ハマる。元マラソン選手で大学を中退していた礼二、死んだ元自転車ロードレーサーの知り合いからの形見として乗っていたLOOKの調子が悪いので、行った自転車ショップで、(中略)ハマる。

SB=坂バカ。安田大サーカスの団長がその一人だと言えばピンと来る方もおられるだろうか。ツールドフランスのような自転車ロードレースにはキツイ山道を登ったり下ったりする日がある。それが見ていて面白いのだが、この本はその日だけをフィーチャーしたような小説だ。

テレビのスポーツを結構みていた時期があった。ラグビー、NBA、NFL、MLB。ラグビーは高校時代から早明戦を観に行ったりしてた。大橋巨泉がNFLの解説をしてた(今はどうか分からない)けれども、死ぬほど観ていてかつ研究していた頃のNBAなんて私にも解説出来るんじゃないか?巨泉が出来るのならと勘違いするほどだった。出来るわけないけど。しかし最近はめっきりさっぱり観なくなってしまった。ワールドカップイヤーなのにサッカーすら観ていない。

今でも観ているのはテニスを少々(ウィンブルドンは割りと)と、毎年燃える闘魂を持って観ているのはツールドフランスをはじめとする自転車ロードレースだけになってしまった。そのためにスカパーに入ったのだ。

今年はランス・アームストロングのチームが参入、昨年は日本人選手がなんと二人もツールに出場するし、そういう事に興奮している私が「ヒルクライマー」に血沸き肉踊らないわけがない。しかし自転車に興味がない人が読んで面白いのかよく分からない。「マルコ・パンターニになりたい!」と叫ぶ女性がいるのだが、パンターニが何者か説明を読まなくても話の流れに乗ってそこでクスッと笑ってしまうようでないと楽しめない・・・のかどうかな・・・しかしボクシングをあまり知らなくても「はじめの一歩」をみな楽しんでるわけだし、恋愛した事がなくても恋愛小説を、不倫した事がなくても、銃を撃った事がなくても、宇宙に行った事がなくても・・・なわけだから、たぶん大丈夫なのだろう。

自転車ブームがやや中途半端に来ている。良い言い方をすればじわじわと来ている。車道の左側を走るというのが、走る方からすると当然なんだけど、車運転する側からするとそんなに当然じゃなかったりする。のが中途半端。もっともっとブームが来て、自転車側も車側も自転車が左側を走るのが当然であるというような時期がくれば居心地がもっと良くなるはずなんだけれど。




今日のおまけ

ヒルクライマー
昼でも
暗いまーとは
これいかに






ヒルクライマー
高千穂 遙
小学館

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差別は日常に宿る

2010-04-08 | days
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『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

2010-04-07 | books

ピューリッツァー賞受賞の「ザ・ロード」どうしても途中までしか読めない。頭が悪いせいなのかこういう物語が全く脳の入っていかない。従って同じ作者の「ブラット・メリディアン」を読もうと思っていたのをやめることにした。勿論面白いと思う人は多いのだと思う。書評家で絶賛してる人も多いし。

全くテイストもディメンションも違う作品ではあるが、同時期に読んで入らなかったのが、

「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウは同じく私には苦手だ。バレーボール部で優秀な桐島君が部活をやめるという周辺で生徒たちがそれぞれどう揺れたかが連作っぽく描かれる。

第22回小説すばる新人賞受賞!
「かつて高校生だった」人なら誰もが共感できる
時代や世代を越えた青春小説の傑作

ということだそうだ。かつて高校生だったはずの私が共感できないのはなぜだろうか。

1.私が通っていたのは実は高校ではなかった。
2.それは旧制中学だった。
3.高校には通っていたのだが、私は高校生ではなかった。
4.高校には通っていたが、私は給食のおばさんだった。
4.かつてではなく今現在高校生だ。
5.しかもミニスカートをはいている。

以後キリがないので割愛する。明確に思うわけじゃないのだが、本当にかつて高校生だった作者がそれから時間が経過してから書いたモノとついこの間まで高校生だった作者が書いたモノでは、私は前者しか(?)面白いと思わないからかも知れない。

あるいは現役大学生が書いたというのでその才能に嫉妬でもしたのだろうか。それと、かなり具体的にモデルの写真が表紙に使われている本はちょっと苦手なんだ。しかし「桐島、部活やめるってよ」というタイトルは秀逸だと思う。









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日本は破綻させた方がいい?

2010-04-06 | days

4月1日付けの朝日新聞朝刊で「こうする!日本再生」という特集が。経営共創基盤CEO(どんな会社だ?)の富山和彦という人が、

もう20年も停滞しているのに、いまだに危機感が薄い。この国は一度、破綻させた方がいい。

と言っている。

いやいや大丈夫。我が家の前は既に破綻してるから。ずっと毎日破綻してるから。





















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