「二十五の瞳」樋口毅宏 文藝春秋社 2012年
小豆島にまつわる物語。IT富豪とニュースキャスターに話「あらかじめ失われた恋人たち」、高峰秀子にインスパイアされた「『二十四の瞳』殺人事件」、尾崎放哉と澁澤榮一が出て来て、朝鮮に保険会社を作る「酔漢が最後に見たもの」、公害がテーマの「二十五の瞳」…どこまでが史実でどこからがフィクションなのかよく分からないまま読む。樋口の妻が出て来る序章と終章が一番読ませると言ったら怒られるだろうか。
「さらば雑司ヶ谷」、「雑司ヶ谷R.I.P」、「民宿雪国」と読者を明後日の方向に連れて行く作品たち。作者が信じる方向に付いて行かないとさっぱり楽しめない。付いて行ければ、ちょっと比肩するものがない読書体験になる。
本作では、半分くらいしか付いて行けなかった。それでも、彼の作品はまだ読み続けていくけれど。
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