頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『宰領 隠蔽捜査5』今野敏

2013-08-13 | books
警察庁長官官房の課長から大森署の署長に左遷された変わり者竜崎。

今回の事件は同期の警視庁刑事部長伊丹の電話から。衆議院議員の秘書から連絡があって、議員が行方不明になったとのこと。議員は、女性関係のことなのか、たまにどこかに消えることがあるので、大事にはしたくない。羽田空港から車に乗って、そこから先の足取りが分からない。すると大森署管内で議員が乗った車を発見。中から遺体が。議員ではなかった。誘拐事件か…

というような話。スカッとして痛快。竜崎の「歩く正論」ぶりは相変わらずで気持ちいい。そしてこのシリーズ(今野敏作品全体)の特長、読んでも後に何も残らないもまた同じ。

私は基本的には本に後に残るものを求める。スカッとしてそれで終わりじゃなく、じゅくじゅくジトジトと焦らされ、後になって思い返したい。あるいは心に傷跡を残して欲しい。あるいは、読後の自分の行動に小さい/大きい影響を与えて欲しい。(俺はMか?他力本願か?)

しかし後に何も残らない方がいいという考えも充分に理解できる。そっちの方が正しいようにも思う。

後に何か残って欲しいと願う私は、日常生活の中では何も後に残らない、空虚な時間を過ごしているに違いない。色即是空空即是色。

今日の一曲

空しいという言葉ですぐに連想するのはCarlie SimonのYou're So Vain
オリジナルが発表されたのは70年代で、ずっと知らなかったのだけれど、Guitar Songsというコンピレーションアルバムに入っていて、それで知った。メロディだけじゃなくて、歌詞がすごくいい。なんというか、身につまされるというか。途中からコーラスでMick Jaggerが入って来るのもまたたまらない。



では、また。

LINK
コメント    この記事についてブログを書く
« 『常識にとらわれない100の講... | トップ | 『わたしをみつけて』中脇初枝 »

コメントを投稿