頭の中は魑魅魍魎

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『デートクレンジング』柚木麻子

2018-05-23 | books
佐知子35歳は義母を手伝って、喫茶店で働いている。夫も義母も大らかでいい人たち。学生時代からの親友、すごく美人な実花はアイドルグループ「デートクレンジング」のマネージャーをしていたが、グループは解散してしまった。すると、実花は最近急に結婚に焦り始めた。佐知子からすると、実花の結婚に対する見方はなんだか変な感じがするし、こんな風で彼女が幸せになれるだろうかと心配になる。そしてそれに拍車をかける実花の知り合いのライター、芝田。結婚できない者=負け犬、既婚者=勝ち組みたいなステレオタイプな見方をする人。佐知子とは違う考えの持ち主の、芝田にに実花は洗脳されているような気がする。アイドル業界、佐知子の妊活などもストーリーに絡みつつ・・・

中谷美紀、玉木宏、ユースケサンタマリア、木村多江出演のドラマ「あなたには帰る家がある」に共通している。すごく面白いというわけではないのに、なぜか観てしまう、読んでしまうということ。

デートクレンジングとは、デートをしなければならないという呪いをぶっ飛ばせという意味で使っているそう。デート(恋愛、結婚)をしなくてはいけないという考えは極端だけれど、デートなんてどうでもいいという考えもやはり極端なものだと思う。その中間にあるのではないだろうか。何が?

「今時、『マッドマックス』もザッハトルテも知らない上に、面倒な性格の男の人にそこまでして、好かれなきゃいけないの?」

はっはっは。そんな必要はないだろう。

たぶん、あの日、彼女は身をもって教えてくれたのだ。感情に従って何かに心ゆくまでのめりこむことが、理不尽な世の中に対抗する唯一の方法なのだ、と。

ふーむ。

スクラップブックにはまる佐知子。

ぬかるみに引っ張られそうになったら、切り抜いて貼る、それが佐知子のルールになった。

これってわかるぅー。(なぜ20代前半女性風?) 何かの作業をすることがざらついた心を滑らかにするというか、癒されるというか。自分の場合、洗濯して干して、取り込んでが割とこれに当たる。あとは、包丁を研ぐこと。サッサッサとリズムを刻みながら何も考えずに、寝かせた包丁を砥石に走らせる。なんて癒されるのだろうか。まあ、先週、何年かぶりに研いだんだけれど。

本に戻ると、一応、デート(結婚)はしなくてはいけないものなのかというテーマとアイドルの行く末みたいなものが混在した話。前者はもっと深掘りして欲しかったような気がしなくもない。

デートクレンジング

今日の一曲

何週か前にラジオで、ノーナリーブスの西寺郷太が、ブルーノ・マーズがさいたまスーパーアリーナを何日もいっぱいにできるなら、こっちも聴けと紹介していた、New Edidionで"Cool It Now"



では、また。
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