頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『蓮の数式』遠田潤子

2017-12-29 | books
すげー作品だった。

妻が殺され、12年経過した。経営するアパートに住む女に殺され、アパートは全焼した。男は未だに事件の真相は何だったのか、知りたいと思っている。テレビを見ていたら、たまたま事件の目撃者が映っているのを見かけた。そして、妻を殺害した女の息子も。その息子は死んだはずではなかったか・・・ 夫と義母に、子供が産めない女としてひどく虐げられている女はそろばん塾を経営している。たまたま知り合った男は数字に弱く、障害があるようだった。その男と関係を持ち、逃避行するようになる。そして、12年前の殺人事件と交差していき・・・

自分で運転して、人を轢いてしまって、それをお前が運転していたことにしてくれと、言う夫。サイテーだ。この冒頭のツカミが巧い。それから一気読み。

二つの件が重なったときは、思わず唸ってしまった。

人間の業を強く肯定+否定するエンターテイメント作品。遠田潤子、もっと読むしかない。どえりゃー好物なり。

乳房をつかまれればいかりが、腰を打ちつけられれば憎しみが、そして、舌を吸われれば底無しのやりきれなさが伝わってくる。そのすべてが千穂の中で合わさって、どろどろの混乱になった。


麗は距離感がおかしいんです。精神的にふれあおうとしても、果てしない距離感があっていつまで経っても縮まらない。本当に遠い。


蓮の数式

今日の一曲

遠田、遠い、ファーっってことで、Nickelbackで、"Far Away"
Nickelback - Far Away


では、また。
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