「草原の椅子」宮本輝 毎日新聞社 1999年(幻冬舎文庫 2001年)
カメラメーカーのサラリーマン遠間憲太郎50歳。妻とは離婚、大学生の娘と二人暮らし。仕事を通してカメラの量販店の社長、富樫と知り合い意気投合する。富樫が愛人に灯油を浴びせられ危なく命を失いかけたり、遠間が40歳の女性に一目惚れしたり… あることで知り合うことになった、人に心を開くことがなかなかできない5歳の圭輔。母親にひどい虐待を受けていた。血のつながりのない継父と暮らしている。遠間たちと触れ合うことで変化してゆく。いい仲間に巡り合えると、こんな風に人生は変わってゆく…
うーむ。私が宮本輝作品に求めるものが全て詰まっている。友情、男女の愛、冒険、そしてしつこいぐらいの真面目な教訓。
とてつもなくいい人たち。でもとてつもなくいい人たちにはとてつもなく大きな幸福がやって来る。
ラストでのタクラマカン砂漠とフンザ。何とも言えない美しい景色が目の前に広がる。私の眼は濁っているから、多分実物を見るよりも、作者の文章で読ませてもらう方が美しく見えるのではないだろうか。
ひどく今疲れているので、もっと長く文章を書こうと思っていたのに、この辺りで終わりにさせていただく。すまぬ。すごくいい小説だった。
では、また。
>そしてしつこいぐらいの真面目な教訓
>でもとてつもなくいい人たちにはとてつもなく大きな幸福がやって来る
自分はいい人ではないのに、自分を肯定されたような気持ちになります。
どんな悪人でも自分のことはいい人だと思っている という事と同じなんでしょうか?
ふるさんの文章を読むと様々な方向に思考が分散していき、コメントがまとまりません。すみません。
体調は回復されましたか?季節の変わり目、ご自愛くださいませ。
>でもとてつもなくいい人たちにはとてつもなく大きな幸福がやって来る
>どんな悪人でも自分のことはいい人だと思っている という事と同じなんでしょうか?
傍で見ていると、他人にそこまでしたら自分が損じゃないかと思うくらい他人のために何かをする人が登場するのです。
自分ならそこまでできないと思います。ところがそこまでできる人には後でとても良いことが巡ってくる、という風に私は読み取りました。