「ドレフュス事件」大佛次郎 朝日新聞社 1983年大佛次郎ノンフィクション文庫7(原作は1930年)
1984年、フランス。普仏戦争が終わった後、ドイツに機密情報を渡していたスパイが軍部にいた。容疑者として挙げられたのは、アルザス生まれのユダヤ系砲兵大尉、アルフレッド・ドレフュス。無実なのに、世論のうねりも加わって有罪となる。無実を信じる軍内部の者、政治家、小説家たち。エミール・ゾラが新聞に「余は弾劾する」を書いた。湧き上がる軍部に対する批判と、ゾラに対する反感。冤罪の行方は…
ドレフュス事件については、Wikipedia ずっと、ドレフィス事件だと思っていた。ドレフュスは口に出して言おうとするととても言いにくい。
大佛次郎の本を初めて読んだ。昭和5年に書かれたとは思えないほど、読みやすく勢いがある。そして熱い。
本当にあったとは思えないようなドラマティックな展開がこれでもかと続いて、文庫本172頁をあっという間に読ませる。
この軍国的な時代では祖国の危機と云う大げさな看板を見せられただけで、国民の大部分が是非の論なく味方になるのだった。新聞も反猶太同盟の機関紙「自由公論」は無論のことだが、その他の国粋主義者の諸新聞や大部数の発行をしている、所謂自由主義の諸新聞もこの輿論に追従して、国旗を振りかざし、猶太禍を唱え、祖国の危機を呼号するのだった。ジャーナリズムがニュウスの発明を初めたのである。この愛国的人心に投じさえすれば、創作された嘘でも歓迎されるし愛国心を刺戟するのだった。(60頁より引用)
ニュウスが発明されるという言葉にドキッとした。
「ごろつき船」も良かったことを思い出した。
では、また。
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ドレフュス事件・詩人・地霊 (大佛次郎ノンフィクション文庫 7) | |
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