頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『大事なことほど小声でささやく』森沢明夫

2013-08-10 | books
スポーツクラブでプロレスラーのような肉体を鍛える男、権田はゲイで、スナックひばりのママ。見た目は怪物なのに中身はきさくで愉快なお姉。スポーツクラブにやって来る会員が権田(=ゴンママ)との触れ合いを通して自分を変えてゆくという連作短編集。

最初の短編は、娘からキモイと疎んじられた、メタボおじさんのが人生を取り戻す話。メタボが筋トレやればそりゃ人生取り戻すだろう?そんなこと読むために小説読んでんじゃねえよと思っていた。

次の短編は美人マンガ家の話。

「いいこと?人生に大切なのはね、自分に何が起こったのかじゃなくて、起こったことに対して自分が何をするか、なのよ。起こったことなんて、そのまま受け入れればいいの。どうせ過去は変えようがないんだから」

というゴンママの台詞。笑いはあるし悪くない。第一印象が払しょくされた後は、色々感じたり考えさせてくれたり、笑わせてくれたり、しみじみしたり。キャラが立っているのもあってエンタメ小説のど真ん中だった。アブナイアブナイもうちょっとで途中でギブアップして読むのやめるとこだった。

LINKLINKスナックひばりという言葉で、「ストップ!!ひばりくん!」というマンガを思い出した。天才江口寿史がだいぶ前に書いたもの。美少女に見えるひばりくんは実は男。彼の周りの出来事を描くコメディで、「絵がキレイ」なのに「ギャグマンガ」というミスマッチがまたたまらなかった。ロットリングで絵を描く系では(実際に使ってるかは忘れたけれど、普通のGペンで描いてるのではなかったような)、大友克洋とかひさうちみちおとか江口寿史とか、こういうマンガってええなーと思ってたことを今思い出した。「ストップひばりくん」は全巻持ってたし、「気分はもう戦争」も「100万人のマスチゲン」も持ってた。しかし全てどこかに消えた。売ったのか貸したのか捨てたのか。捨てた女に未練はないが、捨てたマンガに未練は残る。兎角この世は住みにくい。

話を戻すと、なかなかええ小説だった。

では、また。

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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ハレにつながるいいお話! (tetsu)
2013-11-27 01:24:11
森沢明夫さんの新作『ヒカルの卵』を読みました。
ほのぼのとした田舎の素敵なお話は幸せになりますね~

birthday-energy.co.jp/
ってサイトは森沢さんの本質にまで踏み込んでましたよ。宿命の特徴が、格別な引き出しを備えた変わり者で、本質孤独、なんだそうな。コラムをぜひ読んでね♪
「ハレる運命2014」も先行予約中!!
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こんにちは (ふる)
2013-11-28 14:35:16
>tetsuさん、

「ヒカルの卵」は未読です。
情報ありがとうございました。
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