飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

9月の米露首脳会談が延期された本当の理由は?

2013年08月09日 15時46分34秒 | Weblog
国際政治・外交 ブログランキングへ

米ホワイトハウスは9月にモスクワで開く予定だった米露首脳会談を見送ると発表した。CIA元職員、スノーデン容疑者の一時亡命をロシア側が認めたことへの対抗措置と見られているが、本当にそうなのだろうか。

  ホワイトハウスは、CIA元職員の身柄引き渡しにロシア側が応じなかったことが理由だと明言する一方、「首脳会談は意味をなさなくなった」とも述べている。こうした中、米露間の懸案事項は多いが、いずれも前進が期待できないため、プーチン大統領が首脳会談延期に手を貸したという見方が浮上している。

  ロシアの英字紙モスコータイムズによると、プーチン大統領がスノーデン容疑者の一時亡命を認める決断をして、オバマ大統領に首脳会談延期を容易にするようお膳立てしたという。ロシア当局の一時亡命受け入れが意外に早かったことから、プーチン大統領の関与を有力視している。

  同紙はロシアが一時亡命受け入れを決めた第一の理由として、首脳会談で最大の課題とされる欧州でのミサイル防衛システム配備問題が暗礁に乗り上げ、当面解決するメドが立っていないことを上げている。このため米側がこの問題に辟易していて、現段階では合意に達する可能性がないとみているからだ。

  第二に、メドベージェフ大統領期には、オバマ大統領と親密な関係ができ、新戦略兵器削減条約に調印するなど前進したが、第2期プーチン大統領期に入ると、オバマ大統領は対中国問題に専念し、米外交におけるロシアの地位が低下したと指摘している。さらに、米国がロシアで「オレンジ革命」(第二の民主化闘争)扇動作戦を行っているとして警戒を強めていることも理由に挙げている。

  以上の理由から、同紙はプーチン大統領が米露首脳会談前に一時亡命を受け入れ、オバマ大統領の首脳会談見送りを事実上促したとみなし、「プーチン大統領最高の挑発」と決め付けている。また、二人の過去の首脳会談から「プーチン大統領がオバマ大統領に関心を持っていないことは明らかだ」と、そりが合わないことも明言している。

  プーチン大統領は当初、CIA元職員の亡命受け入れにあまり関心を示さず、「国家間の関係ははるかに重要だ」と述べていたが、一時受け入れに傾いたのは国内世論の高まりと、首脳会談延期でオバマ大統領に恩を売れると踏んだのかもしれない。国家主義者であり、プラグマチストでもある大統領の面目躍如といえそうだ。(この項終わり)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プーチン大統領、若者相手に... | トップ | プーチン大統領、柔道の恩師... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事