飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ウクライナ紛争でサッカーW杯のロシア開催ボイコットの動き!

2014年07月27日 17時36分49秒 | Weblog
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   ウクライナ東部のマレーシア航空機撃墜事件を巡り、欧米とロシアの非難合戦がヒートアップしているが、欧米側から早くも18年にロシアで開催されるサッカーW杯をボイコットする動きが出ている。これに対し、FIFA(国際サッカー連盟)が反対声明を出し、沈静化に努めているが、ウクライナ東部で続いている戦闘が止まない限り、ボイコットの動きが強まるのは必至の情勢だ。

   ロシアからの報道によると、ドイツの複数の政治家が先週、FIFAは次期サッカーW杯の開催が予定されているロシアを再検討すべきだと発言した。これを受け、マレーシア航空機撃墜事件で193人が犠牲になったオランダのサッカー協会はロシア開催が妥当かどうかについて近く討議が始まると述べた。

   ロシアが世界大会の開催地になると、必ずと言っていいほどボイコット運動が起きる。今年2月のソチ冬季五輪を巡っても、ちょうどこの頃、ウクライナ紛争が激しくなり出したため、欧米諸国からボイコットの声が上がった。東西冷戦はとっくに終わっているのに、いまだに冷戦の亡霊が徘徊しているからだろうか。

   今回のボイコットの動きについて、ロシアの有名なスポーツサイト、Sports.ruのドミトリー・ノボシャ編集長は「ロシアにさらなる制裁が科され、西側との関係が改善されなければ、開催地が他国に移るという最悪の事態も起こりうる」と心配している。

   18年は次期大統領選の年で、プーチン氏が大統領としてサッカーW杯を迎えるためには再選されることが必須条件だ。今年6~7月に行われたブラジル大会の決勝戦にプーチン氏がわざわざ出かけたのは、単に次期大会の引継ぎに行っただけではなく、次期大会を自ら仕切ることを内外にアピールするためだったことは否定できない。

   今回のウクライナ紛争でプーチン大統領への非難が強まり、シリア紛争などでの「外交的勝利」は吹っ飛んでしまった。この逆境をプーチン政権はどうやって覆すつもりなのか。大統領の命運がかかったウクライナ紛争の“落としどころ”探しが、クレムリン内ですでに始まっているに違いない。(この項終わり)

   
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米露はウクライナ紛争を全面解決する好機を逃すな!

2014年07月19日 16時57分12秒 | Weblog
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   ウクライナ東部でマレーシア航空機が地対空ミサイルに撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡した事件で、ウクライナやロシアは互いに相手を非難する中傷合戦を展開している。だが、そんなことをしている場合ではない。今こそ、双方が国際社会と一体となり、全面停戦と和解に向け全力を挙げるべき時である。

   18日開かれた国連安全保障理事会で、原因究明の調査開始と、調査団の現場受け入れを求める声明が発表された。これを受け、プーチン露大統領はウクライナと親ロシア派勢力に対し、停戦に応じるよう呼びかけた。撃墜で大量の犠牲者がでたオランダやオーストラリアの強い批判を受け、全面停戦しか道はないと判断したものとみられる。

   一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は「ウクライナに対する外部の侵略は欧州と国際社会の安全に対する脅威だ」と述べ、ロシアの関与を非難。また、オバマ米大統領も「親露派はロシアから支援を受けている」と、ロシアを強く非難し、ロシアの責任を追及する考えを示した。

   さらに、ウクライナ保安庁は親露派メンバーとロシア情報機関幹部との間の交信を傍受、それを公表して親露派勢力がミサイル発射を実行したと決めつけている。だが、ロシアの通信社電などによると、最新型の地対空ミサイル「ブク」(ブナの意味)による撃墜は明らかだが、どこから発射されたかは不明だとしており、責任追及は専門家がじっくり調査してから行うべきだろう。

   それよりも今直ちにやるべきことは、まずウクライナとロシアの指導者が陣頭指揮して即時停戦を実現し、親露派勢力の武装解除を行うべきではないか。その上でロシア、ウクライナの責任者と親露派勢力の代表者、それに米欧の責任者らが集まり、国際的な和平会議を開いて具体的な方策を決めることだろう。

   今のように、米国や欧州がロシアに対する経済制裁をエスカレートさせ、ロシアの手を縛る方策を取り続けても、ロシアの反感を買うばかりだ。紛争の過程で300人近い乗客乗員の犠牲者が出たのは誠に残念だが、このまま紛争が続けば、いたずらに犠牲者が増える一方だ。今こそ、国連を中心に国際社会が一致団結して紛争の全面停止に全力を挙げるべきだ。(この項終わり)

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ロシア、ウクライナ危機めぐる米国の対露追加制裁に猛反発!

2014年07月17日 21時35分19秒 | Weblog

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   オバマ米大統領は16日、ウクライナ紛争でロシアの主要エネルギー企業や銀行を対象に追加制裁を科すと発表。これに対し、ロシア側は米国と取り決めた新戦略兵器削減条約(新START)を停止するなどの強硬措置を取る構えだ。米露双方の制裁合戦はさらにエスカレートするのは必至だ。

   オバマ大統領は、ロシア側に停戦への努力が見られないと強い不満を示し、経済弱体化や外交的孤立などの代償を支払うよう求めた。ロシア最大の天然ガス企業ガスプロム関連の銀行や石油会社、防衛企業などを対象に、米国での新規資金調達禁止や在米資産の凍結などを科す厳しい内容だ。

   このため、プーチン政権やロシア議会が強く反発。下院では、10年に新たに米露で戦略核兵器の配備数削減を定めた新戦略兵器削減条約の停止やアフガニスタンへの第三国通過条約の停止を提案する方針だ。

   カラシニコフ下院国際問題副委員長はタス通信に対し「米国はウクライナ問題では紛争の平和解決よりも、ロシアを国際的に完全に孤立させることを狙っている。米国はロシアとの関係をグルジアやウクライナの立場から考えている」と語っている。

   こうした米国の姿勢に対し、プーチン大統領はブラジルでのブリックス(BRICKS)首脳会議前に「米国とその同盟国に同意しない国々に、共同で“追い詰め”に抵抗するよう提案する」と語っていた。大統領はウクライナ問題では米国に簡単に妥協しない姿勢を貫いており、今後どういう対抗手段をとるか注目される。

   ロシア側はこの間、平和解決を主張しながら、ウクライナの親ロシア派勢力に武器などを援助して事態を悪化させているが、米国側もウクライナ側に肩入れし過ぎている面は否めない。双方ともこの際、ウクライナとウクライナ国民を最優先して打開策をとるべきではないだろうか。(この項終わり)





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ロシアで「冬時間」が3年ぶりに復活!

2014年07月02日 10時52分51秒 | Weblog
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  ロシア下院は1日、時刻の算定に関する法律改正案を賛成多数で採択した。これにより、メドベージェフ大統領(当時)のイニシアチブで廃止された冬時間が3年ぶりに復活することになった。世界一広大なロシアは、再び夏時間と冬時間の設定に戻る。

   国土が東西に長いロシアでは、西の端は夜中なのに東の端は昼過ぎという具合に最大9時間の時差がある。このため夏期と冬期でも時差を設けないと、真っ暗なうちに子供たちが学校へ行かなければならないという事態が起きる。そこで冬時間と夏時間が設けられていたが、メドべージェフ時代の11年7月、「冬季五輪などの国際大会を控え、国内に時間差があるのは好ましくない」として一本化された。

   だが、一本化実施後、多くの国民から「睡眠不足が慢性化し、疲労がたまって困る」との不満が政府などに寄せられた。その一方、極東のチュコト半島やカムチャツカ半島などの住民からは冬時間復活に反対の声が上がっていた。これを受けてプーチン氏は12年の大統領就任後、夏、冬時間設定の是非について再検討するよう政府に指示し、見直しの動きが強まった。

 下院で採択された改正法案では、今年10月26日から時刻を1時間遅らせる冬時間を復活させるとともに、ロシアの時差を9時間から11時間に広げ、地域ごとにきめ細かな時差に改めることになった。これにより、日本とモスクワとの時差は夏は5時間のままだが、冬は6時間となる。

   今回の法律改正案には大多数の会派が賛成し、すんなりと採択された。これも国民の気持ちをいち早くつかんで行動するプーチン大統領の業績と言えるかも知れない。ウクライナとの紛争が長引き、国民の間で厭(えん)戦気分が募っている時だけに、多くの国民にとっては明るいニュースのひとつといえよう。(この項終わり)


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