飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

トランプ米大統領は取引上手な不動産屋タイプ!

2017年01月26日 13時34分07秒 | Weblog

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オバマ氏に代わって米大統領になったトランプ氏は、就任から1週間たっても、選挙当時からの「スタイル」を変えていない。ツイッターや演説でズバッと要点を言うやり方だ。だが、これはガツンと言って相手を脅す不動産屋の手口である。こんなやり方をいつまで続けるつもりだろうか。

米国親日派のアーミテージ氏(元国務副長官)は,トランプ氏のスタイルを不動産屋的だと喝破している(26日付け日経新聞)。ビジネスマンなら相手の立場も考えるが、彼はガツンと言って取引するタイプだと言う。政治家の経験がないだけに、対話が苦手なのだろうか。こういう人が世界をリードすべき米国の大統領なのだから、先が思いやられる。

日本が一番心配しているのは、米国が保護貿易主義に徹することと、アジアの安全保障を日本に肩代わりさせようとすることだろう。前者については、既にTTPからの撤退を宣言しているので心配が現実になった。今後クルマの輸出規制なども迫ってこよう。後者についてははっきりしないが、当面は駐留米軍経費の負担増が焦点になろう。

一方、中国に対しても強気な発言を繰り返しており、米中戦争を懸念する声さえ出ている。特に東シナ海、南シナ海での中国軍のプレゼンスに対しては、厳しい姿勢を取っている。対北朝鮮についても同様で、こうした姿勢が日本の安保問題に跳ね返ってくる可能性は十分ある。

では、ロシアに対してはどうだろうか。これまでのところ、オバマ政権時代の米露対立を緩和しようとしている感じがする。だが、ウクライナ紛争に絡む経済制裁や軍事力の優位性を変更するようなことは当面考えられない。ここでも「米国ファースト」を主張するに違いない。ロシアのプーチン大統領も当分はトランプ大統領の言動を注意深く見守ることになろう。

トランプ新政権のスタートも遅れていて、全容が明らかになるのは春先になるかもしれない。安倍首相はまたしても先走って2月にトランプ大統領との首脳会談を画策しているが、あわてて手の内をさらけ出すのは相手を利するだけだ。今はじっくり構えて対応すべき時ではないだろうか。(この項おわり)
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トランプ次期米大統領、対露関係の改善問題でトーンダウンか

2017年01月13日 10時16分10秒 | Weblog

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ツイッターで世界に言葉の爆弾を投げ続けてきたトランプ次期米大統領が当選後、初めて記者会見に応じた。予想通り、大手メディアを罵倒したり、対メキシコ強硬策を繰り返したり、相変わらず言いたい放題の「トランプ流」会見だったが、対露関係では選挙中のロシアのサーバー攻撃を認めるなど、トーンダウンした印象だ。一方で、親露的な人物を政府などに登用しており、今後どういう政策を進めるのか、注目したい。

会見では、のっけからロシアが握ったとされるトランプ氏のスキャンダルに絡む質問が出され、トランプ節が爆発した。スキャンダルとは、トランプ氏が2013年に訪露した際、売春婦と関係したことを示すメモに関するものだが、トランプ氏は「情報はフェイクニュース(ニセのニュース)だ。インチキだ。病的な人々がクズのような情報をつなぎ合わせたものだ」と言い切った。その上、質問しようとしたCNN記者に対し、「フェイクニュースを流した」として質問を封じた。

民主主義国家を標榜する米国ではありえない対応だが、その後の選挙中のサーバー攻撃についてはこれまでの発言を撤回し「ロシアの仕業だったと思う」と容認。さらに、今後の米露関係について「プーチンがトランプを好きならそれは負債ではなく、財産だ。プーチンと気が合うかはわからない。そうあってほしいが、そうでないかもしれない」と答えた。これまでの発言に比べるとトーンダウンした感じがする。周辺の人々から吹き込まれたのかどうかわからないが、今後の政策で判断する必要がある。

対外関係では、中国に対し「経済的にも、南シナ海の巨大な要塞建設によっても我々に完全につけ込んでいる」と敵意をむき出しにしている。続けてトランプ氏は日本、メキシコを名指しして「私が国を率いれば、過去の米政権下より、はるかに我々を尊敬するようになる」と暗に脅している。日本もオバマ政権時代の「蜜月気分」でいると、飛んだとばっちりを受けないとも限らない。

以前、トランプ氏はツイッターでロシアでのスキャンダル絡みで「私たちはネチス・ドイツに住んでいるのか」とつぶやいたが、メディアに対する対応や記者会見をせずにツイッターで一方的に相手を攻撃するような手法は、かつてのナチスそのものと言っても言い過ぎではない。今後、日本もこういう大統領を相手に付き合っていかなければならないだけに、よほど腹をくくって対応しないととんでもないことになりかねない。世界に先駆けて、わざわざ自宅にまで会いに行ったどこかの首相で本当に大丈夫なのだろうか。(この項終わり)
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2017年はプーチン露大統領とトランプ新米大統領の掛け合いに注目!

2017年01月01日 09時52分33秒 | Weblog

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昨年11月の米大統領選で勝利したトランプ氏が1月20日、新大統領に就任し、いよいよトランプ時代が幕をあける。一方、米国への対抗意識を燃やすプーチン露大統領は、米国のサイバー攻撃批判への対抗措置を取らずに、新大統領のお手並み拝見とばかり、余裕の作戦に出ている。ともに「理念よりも損得」という現実主義者だけに、二人の丁々発止の言動に注目したい。

近年、米英主導の自由放任主義的資本主義が台頭し、格差社会と金融危機、環境問題の三悪が世界的に深刻となっている。これへの大衆レベルの反発が、既成勢力への強力なノーとなり、世界的に内向きな政治が主流になりつつある。この傾向の二大チャンピョンがプーチン大統領であり、トランプ新大統領であるといえる。この二人の言動が2017年の世界を動かしていくことは間違いない。

では、今年この二人はどう動くのか。米国の影響力が低下するハザマを縫って、ロシアは中東、欧州、さらにアジアに影響力を伸ばしている。これに台頭著しい中国が割って入り、三つ巴の様相になりつつある。こうした大国の動きに一番影響を受けやすいのが日本だろう。日本は日米同盟を基軸にしているものの、肝心の米国が内向きになり、トランプ氏の発言のように、アジア太平洋の安全保障の「肩代わり」を要求してくると、平和国家・日本の根幹が崩れてこざるを得ない。当面、この点についてのトランプ新大統領の発言を注視していきたい。

一方、北方領土問題を巡って日本との経済協力強化を画策するプーチン大統領は、領土交渉をテコに日米同盟にクサビを打つ構えを見せている。日米同盟関係にクサビを入れてまで北方領土返還を求めるのかどうかの本気度を安倍政権に迫っているのである。これに対し、安倍首相はあわててハワイへ飛んでいき、真珠湾攻撃への「和解」を演出したが、実利を求めるトランプ政権はこんなことで騙されないだろう。今後安倍政権はトランプ新政権に日米同盟の本気度を試されることになろう。

こうした状況の中で、日本は米中露の三大国との距離感あるいは立ち位置を明確にするよう求められることは明白だ。その際、安倍政権はきちんとした対応ができるのかどうか心もとない。日米間の距離が広がる分、どの国との距離を縮めるのか。ともに領土問題を抱える中国とロシアとの関係を、どう見直していくのか。外務省だけでは無く、安倍政権全体として、これからの国際関係をどう創造していくかを真剣に検討すべきだろう。(この項おわり)
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