飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン首相とメドベージェフ大統領は同じ血液型だった!

2010年02月27日 10時18分06秒 | Weblog
 ロシアの次期大統領選に立候補するのはメドベージェフ大統領か、それともプーチン首相なのか。大統領が後継者を指名し、自分は首相として大統領を支える双頭体制が敷かれてからまもなく2年。次期大統領選まであと2年と迫ったところで、2人のうちどちらが次の選挙に出るかが注目されている。

 折りしも先日行われた、メドベージェフ大統領とフランスの雑誌「パリ・マッチ」とのインタビューの内容が大統領府のサイトに公開された。その中で記者がプーチン首相との関係について次のように質問している。「あなたはプーチン首相との二人体制についてどう思っていますか。プーチン首相はかつて『2人には同じ血が流れている』と述べたことがあります。いまやあなたが次期大統領選に立候補することを誰も疑っていません」。

 これに対する答えが面白い。「実際に私が彼(プーチン首相)と同じ血液型だということを知ったのはまったく最近なんですよ」。質問した記者も最初は大統領が冗談をいったのではないかと思ったらしい。血液型が何型かについては触れていないが、同じことは間違いないようだ。2人が本当に同じ血液型だったというのは驚きだ。

 続けて大統領は「先のことは誰にもわからないが、我々は責任のある人間であり、国家にとって何がベターかを一緒に協議して決める。大統領と首相がお互い理解しあっていることは大変いいことだ」と、双頭体制がうまく機能していることを強調した。

 首相の「同じ血液」発言は昨年9月のバルダイ会議で飛び出した。次期大統領選に誰が立候補するかは2人で協議して決めるが、2人には同じ血が流れているから、どちらが立候補しても路線は変わらないという趣旨で発言したもので、大統領と首相が一心同体、あるいは運命共同体であることを示している。大統領はこれまで、この点を問いただされてもはっきりした答えをしなかった。ところが最近になって大統領は、シロビキ(治安・情報機関出身集団)の牙城である内務省幹部の大量解任などで自信を深め、今回の発言につながったのだろう。

 内務省改革など重要な問題については、今も大統領が首相の了解を取り付けて実行しているとの見方が有力だ。首相としても大統領が権力を掌握し、自分の路線をきちんと継いでくれれば名実ともに後継者として認めることになろう。そうなれば次期大統領選もメドベージェフ再選という流れになると思う。だが、ロシアは昔から予測が難しい国だ。あまり先を急がないことにしよう。

 



 
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北方領土の択捉島共同管理案めぐり日露の有識者が激論!

2010年02月23日 10時40分06秒 | Weblog
 終戦から65年たっても未解決の北方領土問題について、国際法学者の村瀬信也・上智大学教授が北方四島最大の択捉(えとろふ)島を日露で共同管理する案を今年1月7日の毎日新聞紙上に発表、注目を集めている。その共同管理案に関する研究会が先週末、東京・市谷の法政大学で行われたので、その概要を報告したい。

 この研究会は、ロシア政治の第一人者、下斗米伸夫・法政大学教授が所長を務める日露関係研究所が開いたもので、東郷和彦・元外務省欧亜局長、吉田進・環日本海経済研究所理事長,サルキソフ山梨学院大学教授、モロジャコフ拓殖大学客員教授ら日露双方の学者、ジャーナリストらが参加した。

 始めに村瀬上智大教授が提案理由、共同管理実現の条件などについて説明した。この中で「時間の経過は日本の立場を不利にするばかりだ」として、両国の主権を尊重しつつ、両国関係の建設的発展の契機になる案を考えたと述べた。

 北方四島は意外に大きい。最大の択捉島は沖縄本島の約2・6倍あり、2番目の国後島も沖縄本島より少し大きい。逆に歯舞、色丹島は小さく、両方合わせても四島全体の面積の7%しかない。

 村瀬提案の骨子は、歯舞・色丹・国後の3島の主権は日本に帰属するとし、四島最大の択捉島への主権を凍結して日露両国民の「雑居」を認め、両国政府の共同管理にする、という内容。これは南太平洋に浮かぶニューヘブリデス(1980年に独立し、現在はバヌアツ)をモデルにしている。この島には17世紀以降、移住してきた英国人と仏国人との間で対立抗争を繰り返していた。それを解消しようと1906年、両国は共同管理に関する条約を結び、教育・法律・通貨・入管などで完全な平等を実現した。成功した理由は、この地域に勢力を伸ばしてきたドイツの脅威に対抗する必要があったうえ、英仏両国民の数が均衡していて、その後観光客が増大したことだ。

 これを択捉島にあてはめた場合どうなるか。ロシア人は現在、約6,400人住んでいるのに、日本人は1人も住んでいない。そこで今後日本人をどうやって定住させるのかという課題が生じる。さらに、同島の非武装化、自由貿易地帯化が必要だ。共同管理の問題としては、それぞれの国が行政・司法制度を作る必要があり、コストが高いこと、両国民の間に親近感がないこと、などがあげられる。

 村瀬提案に関連し、東郷氏は1998年に小渕恵三首相(当時)が訪露した際、ロシア側から北方四島全部を共同管理する案が出されたことを紹介。当時、日本側は「歯舞、色丹島まで共同管理とするのは認められない」などと反対し、立ち消えになったが、2島返還プラス国後・択捉の2島共同管理案ならロシアも検討するとの見方を示した。

 一方、ロシア人参加者からは「共同管理に国後島を含めないとロシア政府の検討対象にならない」との意見が強く出された。サルキソフ教授は「ロシア側の回答は2島返還だ。主権凍結はロシア側の敗北となるので絶対できない」と共同管理に否定的な姿勢を見せた。また、ロシア側から「すでに領土問題解決の時期はすぎた」との強硬意見が出されると、東郷氏が「大統領との交渉でこれまでに2回解決するチャンスがあった。今後も解決の可能性がある」などと激しく反論する一幕もあった。

 領土問題解決には日露双方の「痛みわけ」が必要で、今回の共同管理案も選択肢の一つといえる。だが、これまでに出ている四島の面積2等分案、日露の主張を二で割った3島返還案などとと同様、ロシアが乗ってきそうな状況ではない。まず、日本政府が早期解決の機運を作り、ロシア側を本格交渉に引き込む強力な戦略が必要だ。
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ロシアのプリュシェンコ選手、4回転ジャンプ抜きの優勝に異議!

2010年02月20日 11時06分37秒 | Weblog
 「4回転ジャンプ抜きのフィギュアは男子のフィギュアではない!」
 バンクーバー五輪フィギュア男子で米国のライサチェク選手に敗れ、銀メダルに終わったロシアのプリュシェンコ選手は、ロシアの有力紙コメルサントのインタビューで怒りをぶちまけた。

 20日のコメルサント紙(電子版)は、「プリュシェンコ選手は金のように演じたが、もらったのは銀だった」との見出しで審判団の判定に異議を唱えた。記事の中でも「プリュシェンコ選手はフリーの演技を終えても1位なのは明らかだったが、審判団はライサチェク選手をより高く評価した」と判定に疑問を投げかけている。

 当のプリュシェンコ選手は同紙記者とのインタビューで、ライサチェク選手の演技を「男子のフィギュアとはいえない。(4回転ジャンプがなかった)25年前に戻っている。男子フィギュアに4回転ジャンプは欠かせない」と言い切った。

 さらにプリュシェンコ選手はライサチェク選手について「彼は記者会見で4回転ジャンプは必要ないと言っているが、彼は4回転ジャンプができないからそういっているのだ。それなのに、どうしてチャンピオンといえるのか。今では女子でも3回転半のジャンプをしている。4回転ジャンプがなければ『氷上のダンス』に過ぎない」とまくし立てた。

 結局、フィギュア男子は、4回転ジャンプをしなかったライサチェク選手が金、4回転を成功させたプリュシェンコ選手が銀、4回転に挑戦したが失敗に終わった高橋選手が銅という結果になった。もちろん判定には色々な要素があり、一概に言えないが、4回転ジャンプにこだわるかどうかで結果が分かれたともいえる。この際、4回転ジャンプにこだわるべきかべきかどうか、大いに議論すべきではないだろうか。
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メドベージェフ大統領、「シロビキ」に挑戦状をたたきつける!?

2010年02月19日 10時37分36秒 | Weblog
 メドベージェフ露大統領は18日、内務省改革の大統領令を発令するとともに、内務次官2人と地方の警察トップら16人を解任した。一度にこれほど多数の幹部を解任するのは前例がなく、治安・情報機関の幹部を指す「シロビキ」への挑戦状ともいえる。

 メドベージェフ大統領はこれまで「シロビキ」へのパイプがなく、シロビキの統制はプーチン首相に依存しているといわれてきた。それが「弱い大統領」のイメージを国民に植え付けていたが、内務省の汚職撲滅を大義名分にして一気に攻勢に出たといえる。

 特に注目されるのは、内務省の次官2人を解任し、その後任に自分の側近である大統領府幹部2人を登用したことだ。大統領は「この改革は私が自ら担当する」と言い切っており、その決意を担保する人事だ。高官16人を含めた18人の幹部解任はプーチン大統領時代の8年間に解任した数を上回るという。

 大統領はリベラル派の大統領と期待されて登場したが、言葉では「自由は不自由より良い」などといいながら、これまで実行が伴わなかった。それだけに今回の改革断行について中立系の「独立新聞」は「今回の大統領の改革は、ロシア社会だけでなく、ロシアのエリートに対し、シロビキは大統領の権限内であることを示したもの」と意義を強調している。

 メドベージェフ大統領は就任からまもなく2年になるが、いまだにプーチン首相の陰に隠れ、大統領権力を掌握していないといわれてきた。だが、次期大統領選が2年後に迫り、いまのままでは再選も難しいとの見方も出ている。今回の改革はこうした見方を払拭し、プーチン首相の「傘の下」から自立したことを内外に示す改革といえるのではないか。これに対し、シロビキ側がどう出るか。ロシアの「政治の季節」はいよいよ目が離せなくなりそうだ。
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ロシア紙、五輪フィギュア・川口ペアのV逸を大きく掲載!

2010年02月17日 10時26分58秒 | Weblog
 「金メダル時代の終わり」「露スケーター、1964年以来の金逃す」
 ロシアの新聞は17日、バンクーバー冬季五輪でロシアがフィギュアスケート・ペアの13連覇を逃したことを大々的に報じた。

 ペアには日本出身の川口悠子選手とスミルノフ選手が出場、ショートプログラムでは3位だったが、フリーで順位を下げて4位に終わった。この種目は1964年以来、ロシアが金メダルを取り続けてきた“お家芸”だけに「金メダルを取れなかったのはほぼ半世紀ぶり。しかも今回は銅メダルも取れなかった」と、お堅い経済紙コメルサントですら、ストレートに悔しさをぶつけていた。

 ロシアは16日現在、メダル獲得は銅メダル1つだけ。この日はフィギュア・ペアでの金メダル獲得を当てにしていただけに、無念さが強く出たようだ。とはいえ、ロシア各紙とも、川口選手がロシア国籍を取得してがんばっていることを好意的に伝えており、日露友好に貢献していることは間違いない。

 ただ、ロシアで初めて開かれる2014年のソチ冬季五輪に川口、スミルノフ両選手とも出場するのかという報道陣の質問には微妙に答えが分かれた。英字紙モスコー・タイムスによると、スミルノフ選手は「もちろん」と答えたが、川口選手は「わからない」と答えたという。私個人としては川口・スミルノフ両選手がソチ冬季五輪にそろって出場し、ロシアのお家芸復活を果たすことを祈りたい気持ちだ。

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ロシアの新「軍事ドクトリン」を西側はどう見ているのか!

2010年02月13日 13時40分54秒 | Weblog
 ロシアのメドベージェフ大統領は10年ぶりに「軍事ドクトリン」を改定し、核抑止力を維持するとともに、米国に遅れを取っている通常兵器の近代化や戦略防衛システムの創設を課題に挙げた。米国にこれ以上軍事的に離されまいという意図が見える内容だ。

 西側はロシアの新軍事ドクトリンをどう見ているのだろうか。オランダ国際関係研究所上級研究員のマーセル・ド・ハース中佐がロシア英字紙モスコー・タイムズに論文を寄稿しているので、その概要を紹介したい。

 1、NАΤO主導の現在の安保体制には「冷戦の痕跡」が残っているので、モスクワが進めている、軍事行使を防ぐ新安保体制と取り替えるべきだとロシア側は主張している。それでは、ロシア軍が2008年にグルジアに対し行った軍事行使をどう説明するのか。

 2、ロシア側はNАΤOがロシア国境周辺まで拡大していることを「大きな脅威」と指摘し、旧ソ連諸国をロシアの「特殊権益圏」と主張している。だが、グルジアなどの独立国の自主決定権を認めないのはおかしいではないか。

 3、ロシア側が西側をロシアの安全保障への脅威だと主張するのは、西側にも責任はある。旧ユーゴのコソボの独立を認めたのが良い例で、これが南オセチアとアブハジアの独立承認に正当性を与えた。

 4、では西側はロシアの新軍事ドクトリンにどう対応すべきか。西側はロシアとの協力関係をもっと積極的に追求すべきだ。モスクワを孤立化させるとロシアの過激化を招き、世界の「のけ者国家」や過激な運動との提携に追いやってしまう。

 この考え方は、欧米で最も現実的な、説得力のある意見といえよう。要はロシアをいかに共通の安保体制に取り込み、協力を得られるかだ。ハース中佐は「双方が信頼構築措置に関与すれば、今後ロシアの軍事ドクトリンから『西側の脅威』という言葉が減っていくだろう」と締めくくっている。
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ウクライナ大統領選後も「政治空白状態」が続く恐れが!

2010年02月09日 21時14分38秒 | Weblog
 7日行われたウクライナ大統領選の決選投票で親露派のヤヌコビッチ前首相(59)の当選が確実になった。だが、恐れていた通り、親欧米派のティモシェンコ首相(49)との差はわずかで、国内を二分する対立により政治的空白状態が続きそうな雲行きだ。

 タス通信の報道によると、開票率99・58%でヤヌコビッチ氏の得票率は約49%、対するティモシェンコ首相の得票率は約46%で、わずか3%という僅差だ。そのほかに「どちらの候補にも反対」という人が約4%いるという。勝利しても得票率が過半数に届かないのだ。

 この結果についてロシアの有力紙・独立新聞は「選挙は勝者も敗者もいないという、中間点にとどまっている」との見方を示している。国家が真っ二つに分断され、まとまりが付かないことを意味しており、「こうした政治的敗北状態は5年間の大統領の任期切れまで続く可能性がある」との悲観的見通しを述べている。

 ウクライナはロシア語で「辺境」という意味があり、歴史的にその時々の大国の支配下に組み入れられてきた。1991年のソ連崩壊で独立し、事実上初めて自分の国家を持てたといわれた。ところが、西は欧州、東はロシアに接していて、東西で考え方が大きく異なっている。独立後、しばらくはひとつにまとまっていたが、そのうちに欧州志向の住民が多い西部と、ロシア語系住民が多い東部とに二分されてきた。04年の前回大統領選では、両者の対立が「オレンジ革命」と呼ばれる街頭闘争に発展した。

 この背景には、歴史的に「長兄」と呼ばれるロシア人と、「弟」とされるウクライナ人のスラブ民族同士の根深い対立がある。ソ連時代はイデオロギーとKGBなどの暴力装置によって封印されてきたが、ソ連崩壊によってパンドラの箱が開けられた。その後、民族の名誉や安全保障問題をめぐって反露感情が一気に盛り上がったことが何度かあった。

 その半面、旧ソ連から独立してまだ日が浅く、国家運営の経験が乏しいことから、統治能力が十分備わっていないとの指摘も受けている。国家が事実上分断されている状態では、政治決着が遅れるのも無理はないともいえる。 
 
 新政権の当面の課題は、首相を含む新内閣の成立だ。ティモシェンコ首相を解任するにも議会(定数450)の過半数の賛成が必要だが、ヤヌコビッチ氏が率いる地域党は172議席で過半数に届かない。このため他会派との多数派工作が急務となっている。

 金融危機の影響でウクライナ経済は瀕死の状態にある。今は各会派が大同団結し、挙国一致内閣を樹立して国家再生に取り組まなければならない時である。それこそ、ウクライナ人の真のガバナビリティが問われている。


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鳩山政権への期待感が強く出た北方領土返還要求全国大会!

2010年02月07日 21時12分16秒 | Weblog
「北方領土の日」の7日、恒例の北方領土返還要求全国大会が東京・九段下の九段会館で開かれた。鳩山首相を筆頭に閣僚らが領土問題解決への決意を熱っぽく語れば、参加者からも強い期待が寄せられ、例年になく活気にあふれた大会になった。(写真は大会で挨拶する鳩山首相=中央)

 今年は政権交代後、初の大会なので何か新しいことがあるのでは、という期待感を持って九段会館に出かけた。会場の大ホールは、1階から3階まで全国から集まった参加団体の会員らで埋め尽くされていた。大会は正午に開始。ひな壇には鳩山首相、岡田外相、前原北方担当大臣、鈴木宗男議員らが着席したが、自民党幹部で出席したのは町村元官房長官だけ。武部元幹事長は所用とかで欠席し、政権交代による様変わりぶりを垣間見せた。

 挨拶に立った鳩山首相は「いまだに領土問題が未解決であるのは申し訳ない」と謝罪から始めた。続けて祖父の一郎首相が1956年、モスクワで署名した日ソ共同宣言の内容を説明し「2島返還では本当の解決にはならない。その後、1島も帰らずに今日に至ったことは、ざんきに絶えない」と言い切った。そして首相就任後のメドベージェフ大統領との2回の首脳会談を振り返り「2島返還で平和条約を結ぶということはありえない。4島の帰属を明らかにしないといけないと(大統領に)申し上げてきたが、返答はまだない」と述べた。

 さらに首相は「我々にとっても彼ら(ロシア人)にとっても自分たちの世代で解決したいという思いは同じで、必ず道は開ける」と解決への決意を語った。最後に「情熱をさらに燃やして政府を動かしていきたい。一緒に闘いましょう」と呼びかけると、参加者から一斉に拍手が起こった。

 岡田外相も挨拶の中で昨年暮れのラブロフ外相との会談に触れ、「厳しいやり取りになったが、『鳩山首相、メドベージェフ大統領、プーチン首相という顔ぶれで解決しないと、またチャンスが失われてしまうかもしれない』と外相に呼びかけた。私たちもしっかり取り組みたい」と決意を新たにした。

 野党代表からは「(鳩山政権が)前のめりになって変な解決をしてもらっても困る」(自民)「何か一つは、はっきりした成果を挙げてほしい」(公明)などの皮肉っぽい発言もあった。だが、式の途中で退席する首相に向かって「鳩山総理、がんばってください」という激励の声が飛ぶなど、満員の会場から鳩山首相への強い期待感が伝わってきた。

 そうはいっても、鳩山政権は内には小沢幹事長問題、外には普天間基地問題を抱え、当面は日露交渉に本腰を入れる余裕がないのも事実だ。これらの問題を片付けて参院選で勝利し、鳩山首相自らがモスクワに乗り込まないと本格的な交渉にはならない。一日も早くそうした状況を作り、戦後65年目になっても未解決の難問に立ち向かってほしい。

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ウクライナ大統領選の決選投票、僅差なら混乱は必至!?

2010年02月05日 13時38分49秒 | Weblog
 ウクライナの大統領選決戦投票は7日に投票が行われる。ヤヌコビッチ前首相とティモシェンコ首相との接戦が予想され、もし僅差の場合は前回(04年)の大統領選の時と同様の街頭闘争が再発する恐れもある。

 前回の大統領選では、欧米派のユーシェンコ現大統領と親露派のヤヌコビッチ氏との間で決戦投票が行われ、中央選管はヤヌコビッチ候補の勝利と発表したが、ユーシェンコ陣営は「不正な投票が行われた」として首都キエフに支持者数万人を動員して抗議行動を展開、やり直し投票で勝利を勝ち取った。これが「オレンジ革命」と呼ばれている。

 当時、ティモシェンコ氏はユーシェンコ陣営にいて抗議行動を指揮したが、今回はユーシェンコ大統領の代わりに決選投票に進んだ格好。そのティモシェンコ首相が4日の記者会見で「もし決選投票で不正が行われたら、街頭闘争を展開する」と発言したことから、現地では緊張が高まっている。すでに、ティモシェンコ陣営が支持者を首都に向かうよう動員をかけている、との報道もあり、6年前の混乱が繰り返されるのでは、という不安が広がっているようだ。

 だが、前回と決定的に違うのは、欧米諸国がオレンジ革命が事実上不発に終わったことに失望し、あまり関心を示していないことだ。隣国のロシアも前回は様々な形で選挙に介入したが、今回は二人とも親露派ともいえることから、どちらが勝ってもウクライナとの関係好転のきっかけになるとみて静観している。このため、前回のような大混乱が起きる可能性は少ないとの見方が多い。

 とはいえ、ウクライナ国民は欧米に目を向けている西部・中部とロシアに親近感を持っている東部・南部とで真っ二つに分かれていて、91年の独立以降、事あるごとに対立を繰り返している。今回の第1回選挙結果でも、国民の分裂状態が明確に表れていた。国民を一つにまとめられるような新しいタイプの指導者が現れない限り、この国の再生は難しい。
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ロシアに、また大衆抗議行動の季節がやってきた!?

2010年02月01日 13時40分52秒 | Weblog
 先週末、厳寒のロシア各地で抗議デモや集会が行われ、いつになく多数の人々が参加した。スローガンは一様ではないが、プーチン首相の責任追及や退陣を求めるシュプレヒコールが目立ち、国民の不満が募っている兆候との見方が強い。

 デモや集会の中で最も多くの参加者が集まったのは、ポーランドに近いロシアの飛び地・カリーニングラードで行われた「自動車税引き上げ抗議デモ」。英字紙モスコー・タイムズによると、主催者発表では1万2千人、警察発表でも7千人が参加した。主催した野党組織「連帯」では、01年に行われた民放テレビ「NTV」の国営企業傘下入りに抗議するデモ以来の大規模な反政府デモだと言っている。

 デモの参加者たちは「プーチン首相にすべての責任がある」などと書いたプラカードを持ち、「プーチンは辞任せよ」というシュプレヒコールを繰り返したとモスコー・タイムズ紙は伝えている。だが、全国ネットの3大テレビ局はこのデモを一切報道しなかったという。

 一方、モスクワでは憲法に定められた「集会の自由」を守るよう要求する大衆行動が計画され、約500人が集まったが、違法集会だとして100人以上が警官隊に拘束された。この中には、野党政治家のネムツォフ元第一副首相、人権活動家ポノマリョフ氏らが含まれている。集会で一度にこれほどの拘束者が出るのは異例だ。

 このほか、サンクトペテルブルクや極東のウラジオストクでも集会やデモが行われた。こうした大衆行動はこのところ、ロシア国内で頻繁に行われていて、国民の間で金融危機による失業や給料カットへの不満が募っているとみられる。

 そうはいっても、プーチン首相の支持率は依然として50%以上あり、現在の鳩山内閣の支持率より高いことは間違いない。冬の長いロシアでは、寒い時に積もり積もったマグマが春になって一気に爆発することがある。今回のマグマは今後、さらに活発化するのかどうか定かではないが、12年の大統領選に向けて「政治の季節」が始まりつつあることだけは確かだ。

 

 
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