飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ウクライナ、重要拠点を奪還、「終わりの始まり」になるのか!

2022年11月15日 09時40分21秒 | Weblog

ウクライナのゼレンスキー大統領は11月14日、南部ヘルソン州の州都ヘルソン市に入り、8ヶ月に渡ってロシア軍に占領されていた領土の奪還を市民らと祝った。一方、ロシア軍は東部ドネツク州で激戦を展開しており、戦線を変えて占領地の拡大に全力をあげる方針とみられる。

ゼレンスキー大統領はヘルソン市で兵士や市民を前に「これは戦争の終わりの始まりだ。我々は一時的に占領された全ての領土に一歩一歩進んでいる」と演説した。また、ロシア軍が撤退する前に破壊した水や電気などのインフラの復旧を急いでおり、ロシア軍の戦争犯罪の捜査に乗り出したことを強調した。

これに対し、ロシア軍はすでに、ヘルソン市などドニエプル川西岸地域に駐留していた部隊を東岸地域へ移動した。ドネツク州での占領地域を拡大し、ウクライナ軍の勢いをそぐ作戦と見られる。このため米国のシンクタンク「戦争研究所」は「今後数カ月で停戦や戦闘のペース低下は考えにくい」と分析している。

一方、プーチン大統領は9月にロシアへの併合を決めたウクライナ4州のひとつ、ヘルソン州で州都を失ったことになり、国内の好戦派から批判の声が上がっている。愛国的思想家、アレクサンドル・ドゥーギン氏は「ヘルソンの全てを失った。誰を攻撃すべきかは分かっているだろう」とメディアに投稿している。

ロシア、ウクライナはすでに厳しい冬に向かっているが、戦況から見て厳冬期にも戦闘が続けられる可能性が強い。とりわけ戦場になっているウクライナでは、国民は寒さの中で、文字通り「命と健康を守る」暮らしを迫られることになりそうだ。(この項おわり)

 

 

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ロシア、ウクライナ戦争の年越しは必至の情勢。共に越冬対策を急ぐ!

2022年11月08日 15時16分30秒 | Weblog

ロシアの侵攻から始まった対ウクライナ戦争は9ヶ月目に入ったが、戦闘はいっこうに収まらず、このまま年越しを迎える可能性が高まっている。このため、両国とも越冬対策を急いでおり、国民は厳冬の中、今後も耐乏生活を続けることになりそうだ。

このところ、ロシア軍の戦死者や逃亡者が増加しているとの海外からの報道が急増している。特にロシア側が危機感を示しているのは、戦死者の多くが同士打ちによるとの見方が強まっていることだ。米政策研究機関「戦争研究所」によると、ロシア軍部隊の相互の連携不足と、司令官の相次ぐ交代による指揮命令系統の混乱が同士打ちの頻発に繋がっているという。

戦争が起きると、戦場での同士打ちは珍しくないが、対ウクライナ戦でのロシア側の同士打ちは全体の6割に上るとの見方も出ている。この数字が事実だとすれば、異常な高さといえる。

一方、ウクライナでは、ロシアが自国領土に併合した4州のひとつ、南部ヘルソン州でウクライナ軍がロシア兵士を追い出そうと必死の反撃を続けている。だが、ロシア兵は民間人を装って民間施設に入り、市街戦に備えているとみられ、奪還作戦は難航している。

最近、ロシア軍を中心に、ウソの情報を流して戦場を混乱させる「マスキローフカ=ロシア語で偽装の意」が広がっていて、双方で疑心暗鬼に陥るケースが増えているという。いわば”だまし討ち”作戦で、お互いが味方を信じられない状況が生まれてきている。

いずれにしろ、ロシア、ウクライナ双方とも近々に和平交渉に入れる状況にはなく、越冬対策を行いながら戦闘を続ける作戦に切り替えつつある。長期戦が続くと、民間人の犠牲者もますます増える可能性が高い。双方の国民にとって、この冬は寒さも加わって、厳しい耐乏生活が続くことは間違いなさそうだ。(この項終わり)

 

 

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