飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

政府は核兵器禁止条約締約国会議への不参加をいつまで続けるのか!

2025年01月26日 12時27分22秒 | Weblog

政府は1月25日までに、3月に米国で開催される、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を見送る方針を固めた。わが国周辺でロシアや中国、北朝鮮の核・ミサイル開発が進んでいるのに、世界最初の被爆国・日本がいつまでも消極的な姿勢を続けているのはおかしい。良心的な国々から今後、わが国が非難を浴びることは必至だ。

核兵器禁止条約は、核兵器の開発・保有・使用などの一切を禁止するもので、2021年に発効しているが米国、ロシア、中国などの核保有国だけでなく、日本なども署名・批准していない。締約国会議はこれまでに2回開かれ、米国の「核の傘」に依存するNATO加盟国などがオブザーバー参加したが条約の署名・批准には否定的だ。

こうした政府の対応に対し、オブザーバー参加を要請していた日本の被爆者団体などから、ガッカリする声が上がっている。中でも広島・長崎の被爆者団体などは「唯一の被爆国にも関わらず参加を見送る政府に腹が立ってしょうがない」(日本被団協代表委員の箕牧智之さん)と怒っている。実際、日本のように「核の傘」に依存しながらも、ドイツやノルウェーはオブザーバー参加している。

 特に昨年12月、日本被団協がノーベル平和賞を受賞してから、国民の間で核兵器廃絶への関心は高まっている。実際、25日に広島市内で開催された集会参加者は「平和賞を受賞しても日本政府は変わっていない。残念な気持ちだ」「いま政府にとって、オブザーバー参加するには一番のチャンスだったが、それを逃した。国民の願いを無視している」と批判した。

 広島に次ぐ被爆地である長崎でも、政府に対する憤りの声が広がっている。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長の川野浩一さんも「我々もここまで頑張ってきたから、政府が誠意を見せてくれるんではないかとという期待もあった。それにも応えないのは本当に情けない」と憤っていた。政府がこういう対応を続けていれば、自民党政権そのものへの批判が強まってくるのは避けられないだろう。(この項終わり)

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モスクワの地下65mにある「核要塞」施設のルポ記事(毎日新聞)はタイムリーだ!

2025年01月11日 10時55分59秒 | Weblog

 旧ソ連時代に建造され、核攻撃にも耐えられるモスクワの地下施設「ブンケル42」に案内され、その全容を描いた記事が毎日新聞1月10日夕刊1面に掲載された。米ソ両大国の核戦争の瀬戸際まで迫った1962年のキューバ危機当時、航空部隊の臨時司令部になった施設も残っている。プーチン露大統領はウクライナとの戦争で核兵器の使用も辞さない強硬姿勢を示しているが、この記事は、そうした国家首脳らの声を覆す国民の本音をしみじみ感じさせる。

 記事は、毎日新聞モスクワ支局の山衛守剛記者が取材して書いた。「冷戦下 地下18階の核要塞 いま博物館」の脇見出しとともに、「レッドライン まざまざと」の主見出しが躍っている。また、博物館の写真4枚が掲載され、ソ連時代に軍の臨時司令部が置かれた部屋と、ソ連初の原爆「RDSー1]の模型、それに核爆発の煙とともに「我々は警戒せねばならない」と書かれたポスターが写っている。

 軍服姿のガイドの説明によると、この博物館は1945年に米軍が広島と長崎に史上初めて原爆を投下したのを受け、当時のソ連指導者スターリンの指示で「核攻撃に耐える施設」として建設が始まった。1956年から運用が開始され、臨時司令部がこの場所から核兵器搭載の戦略爆撃機へ司令を出していたという。冷戦当時は施設の存在は国家秘密で、地上部の建物は「軍事図書館」とされていた。

 その後、臨時司令部は移転され、1986年に施設は閉鎖された。ソ連崩壊後の2006年には現在の博物館に生まれ変わり、ガイド付きのツアーが行われている。参加者は十数人が列になり、館内を見て回るが、外国人の参加もあるという。現在、毎日7、8組のツアーを実施していて、人が集まらない回はほとんどないとのことだ。

 撮影禁止と言われた部屋には、当時の通信機器が壁一面にずらりと並んでいる。キューバ危機を伝える米露の新聞記事や、当時のケネディ米大統領とソ連のフルシチョフ首相の写真も展示されていたという。来場者の30代の女性は「怖くて鳥肌が立った。何が許されないかを理解するためにも、ここに来るべきだ」と語っていたという。

 博物館の責任者、カメンスキーさんは「核兵器の使用は狂気だ。来訪者には、すべての紛争が平和的に解決されるべきだということを伝えたい」と語っていたという。この言葉こそ、プーチン大統領に伝えたいものだ。ロシアの首脳陣の言動とは裏腹に、こうした国民の声が全世界に伝わるよう、心から願っている。(この項終わり)

 

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石破首相、日本被団協に対し、核廃絶への積極性示さず!

2025年01月09日 10時30分47秒 | Weblog

 ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表らは1月8日、首相官邸で石破茂首相と面会し、核廃絶に向けた行動を取るよう要請したが、明確な回答はなかった。首相は「究極的には核兵器を廃絶しなければいけないと思っている」と述べただけで、被団協側は「収穫はなかった」と、がっかりした様子だった。

 核廃絶をめぐる国際的な会議として、3月に米ニューヨークで核兵器禁止条約の第3回締約国会議が開催されることになっている。このため、被団協の田中テルミ代表委員らは、この会議に政府からオブザーバーを参加させるよう申し入れた。日本政府はこれまで、この会議に参加していないことから、被爆80年の今年こそ参加するよう求めたが、最後まで明確な返事はなかった。

 被団協代表委員の箕牧(みまき)智之さんは、面会の際、要請するだけでなく、別れ際に首相と握手する際にも首相の目を見て「参加をお願いします」と訴えたが、明確な返事を聞けなかった。箕牧さんは「がっかりした。言いっぱなし、聞きっぱなしという感じで、議論にはならなかった」と話していた。

 面会後、林芳正官房長官は記者会見でこの問題について「他のオブザーバー参加国の状況も踏まえながら、現実的で実践的な取り組みとして、いかなる対応が適切かを予断なく検証している」と答えるにとどまった。この締約国会議は、核廃絶問題を協議する数少ない国際的会議だが、日本はこれまで一度も参加していない。

 日本政府は唯一の被爆国として核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任しているが、核兵器禁止条約には核保有国が参加していないことを理由に参加していない。だが、ロシアとウクライナとの戦争でロシアが核兵器の使用に積極性を見せるなど、核兵器使用への危険性が世界的に増している状況だ。それだけに、日本政府としても、これまで通りの対応を再検討し、核廃絶に向けて積極的な手段をとる必要がある。(この項終わり)

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日本被団協のノーベル平和賞受賞を機に、日本は「核なき世界」の実現に踏み出せ!

2024年12月31日 23時06分23秒 | Weblog

 2024年が幕を閉じた機会に、この1年間を振り返って見ると、我が国の最大のニュースは、ノーベル平和賞が原爆被害者でつくる「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)に付与されたことではないかと思う。日本政府ではなく、民間団体に世界的権威のある平和賞が贈られたことが大きな意味を持つことは間違いない。そこで、遅ればせながら、この受賞の意味するものを振り返ってみた。

 日本被団協は、広島と長崎に世界で初めて原爆が投下されてから11年後の1956年8月に結成された。この背景には、「自らを救うとともに、自分たちの体験を通して人類の危機を救おう」という狙いが込められていた。そこで、田中照己(てるみ)代表委員らは国連など世界の舞台に出向き、身をもって体験した核兵器の非人間性を証言してきた。こうした努力が「ヒバクシャ」という言葉を世界に広める原動力になった。

 一方では、我が国で被曝による国家補償は今だに実現せず、被爆者への「つぐない」はなされてこなかった。そればかりか、運動を支えてきた主要メンバーの多くは亡くなり、10年先には体験者として証言できるのは数人になるという状況だ。それ以上に、今にも核兵器が使われかねない事態が世界各地で起きている。特に、ウクライナと戦争を続けているロシアは、明日にも核兵器を使いかねない状況だ。

 そうした事態にも関わらず、日本政府の核兵器に対する対応が遅れていると言わずにはいられない。核兵器禁止条約に加盟しないだけでなく、締約国会議へのオブザーバー参加にも消極的だからだ。いますぐに対応策を実行しなければ、日本政府は将来に大きな禍根を残すことになるだろう。これは政府だけでなく、国民全体の責任と言えよう。(終わり)

 

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高尾義彦先輩の死を悼む!

2024年11月20日 16時28分00秒 | Weblog

  元毎日新聞社常勤監査役の高尾義彦さんが11月12日、病気のため亡くなられました。79歳でした。ついこの間まで元気にあちこち旅行され、その様子をブログに書いていただけに、突然の死が信じられない気持ちです。

 高尾先輩をよく知る後輩たちが12月6日、東京・門前仲町の飲食店に集まり、先輩との思い出を語り合いました。編集ばかりでなく、様々な分野の後輩たちが先輩に絡むエピソードを披露しました。私は毎日新聞東京本社で司法記者として勤務していた時、取材から記事の書き方まで指導してくれたのが高尾先輩です。私より3歳年上で記者として経験豊富な先輩だったので、私もなんとか仕事が出来たことを思い出します。

 私が司法記者クラブに配属された1976年(昭和51年)は、”昭和の宰相”と言われた田中角栄議員が米国航空大手のロッキード社からワイロをもらったとして逮捕された年です。百年に一度の大事件と言われ、取材で朝から晩まで走り回ったことを思い出します。その時、高尾先輩は検察庁の検事からトクダネを取りまくったことを昨日のことのように思い出します。
 
 高尾先輩は仕事で大活躍しながらも決していばらず、我々後輩に親切に教えてくれました。当時毎日新聞は他社からロッキードの毎日とまでいわれたものです。高尾先輩は、退社後も後輩の面倒見がよく、いつもニコニコしながら付き合ってくれました。最近は俳句に凝っていて、フェイスブックで楽しく読ませて頂きました。本当にありがとうございました。どうかゆっくりお休みください。(この項終わり)
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ぺりかん社『裁判官になるには』重版に。法曹界シリーズ3冊とも重版達成!

2024年07月28日 08時37分05秒 | Weblog

人気の職業への道をわかりやすく紹介する”ぺりかん社”の「なるにはBOOKS」法曹界シリーズの1冊である『裁判官になるには』がこのほど重版となりました。これで『検察官になるには』『弁護士になるには』に続いて3冊とも重版を達成しました。これはひとえに読者の皆さんのお陰と出版社共々、深く感謝しております。

 このシリーズは、現役の裁判官、検事、弁護士にインタビューして仕事ぶりややりがいを詳しく聞き出し、とかく難しいとみられている法曹界の仕事が丸ごと分かるようにした入門書です。法曹界に入るには難関の司法試験を突破する必要があり、相変わらず狭き門となっています。そこでぺりかん社では、中高生に焦点を当て、写真やイラストをふんだんに使って編集をしています。将来、こういう仕事に就いてみたいと思っている人には格好の本だと思います。

 このシリーズの取材・執筆を担当した私は、毎日新聞社の記者として法曹界を4年間取材し、当時日本中を沸かせたロッキード事件など多数の裁判を取材しました。そうした経験から学んだ裁判のリアルを織り交ぜながら、裁判の流れや問題点を分かりやすく解説しています。裁判所の仕事に興味のある方には、きっと役に立つと思います。

 本の中身をざっと紹介します。1章では東京地裁民事部、千葉地裁刑事部、さいたま家裁家事部の3裁判官へのインタビュー記事を掲載し、実際にどのような仕事をしているのか、やりがいを感じるのはどういう場合かなどを詳細に書いてあります。2章では裁判の歴史、日本の裁判所と裁判官制度の仕組み、刑事、民事、家裁、少年事件などの裁判の実際が詳しくまとめてあります。さらに、刑事、民事の調査官だけでなく、家庭裁判所の調査官にもインタビューし、仕事ぶりをまとめてあります。3章では、裁判官に必要な資質や司法試験制度についても詳しく書いてあります。

 こうした取材で感じたのは、現役の裁判官や書記官は決して特別な人たちではなく、興味とやる気があれば誰でもできる職業だということです。そのためには、学生の時から社会に目を向け、様々なことに関心をもち、多くの人たちとコミュニケーションしていけば、必ず目標に到達できると思います。この本を是非一度手に取って読んでいただければ、十分理解していだだけると思います。

 『裁判官になるには』の定価は本体1500円+税です。 

  ぺりかん社;東京都文京区本郷1ー28ー36      TEL 03 -3814-8515(営業)(この項終わり)

 

 

 

 

 

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裁判官への女性進出が急増している理由は?

2024年07月12日 09時08分01秒 | Weblog

NHK連続テレビ小説「虎に翼」が大きな話題になり、司法界で働く女性の生き方やジェンダーの問題がクローズアップされている。特に、今年に入り、日本弁護士連合会や検察庁のトップに女性が相次いで就任していて、残るは裁判所のトップのみになってきた。この背景を探ってみたい。

今、テレビ小説で描かれているのは戦前から戦後にかけての時代で、現状ははるかに進んでいることをまず指摘したい。私も新聞社の司法記者として1970年代に東京地裁で取材に当たったが、当時は女性の裁判官や検察官は少なかった。法廷で女性裁判官や検察官を見かけると、つい目が惹きつけられる感じだった。

だが、最近の数字を見ると、びっくりするほど女性の進出が増えているのがわかる。最新の「弁護士白書2023」を見ると、女性の採用比率が一番高いのは裁判官で 28、7%。次いで検察官27、2%、弁護士は19、8%となっている。大ざっぱにいうと裁判官、検察官とも約3人に1人が女性といえる。

この数字を見て驚くのは、裁判官の女性の採用比率が大きく伸びていることだ。この理由について最高裁判所広報課は「女性にとって働きやすい職場だからではないでしょうか。裁判官は自分が受け持つ事件の審理をきちんと行っていくことが重要で、その他の業務は柔軟に対応できる面があります」と話している。

一方、女性弁護士の採用比率が2割弱というのが気になる。過疎地などでは女性弁護士が少なく、司法にアクセスできないという問題が起きているという。女性でなければ理解してもらえないケースも少なくない。このドラマがきっかけとなり、女性弁護士が増えるよう期待したい。(この項、終わり)

 

 

 

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ロシアと北朝鮮が事実上の軍事同盟を結んだ意味は?

2024年07月08日 09時32分21秒 | Weblog

ロシアのプーチン大統領は6月下旬、北朝鮮の平壌を訪問し、金正恩・朝鮮労働党総書記と「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。条約では、ロシアと北朝鮮のどちらか一方の国が武力侵攻を受けた場合、他方は「遅滞なく全ての手段で軍事などの援助を提供する」と定めている。事実上の軍事同盟である。

旧ソ連と北朝鮮は冷戦時代の1961年に同様の条約を結んだが、1991年にソ連が崩壊したことから旧条約は失効していた。新条約は「覇権主義的な企てと、一極の世界秩序を強要しようとする策動から守る」と表明。一方が他方の核心的利益を侵害する協定を結ばないことを義務付けている。さらに、食料やエネルギーの分野でも共同して対処すると定めている。

この条約は、1961年に結ばれた条約同様、どちらかが外部の攻撃を受けた際に自動介入する条約の復活を意味している。ただ、両国の間には温度差があり、条約発表後の記者会見では、金総書記が「同盟」と言う言葉を3回使ったが、プーチン氏は一度も使わなかったことから、必ずしも一枚岩とは言えないようだ。

一方、中国外務省は定例会見で新条約について「ニ国間の協力問題だ」として論評しなかった。中国としては、北東アジアや西太平洋などの国家間の対立が激化する恐れがあることから、当面は静観するとみられている。日本の防衛研究者も、日米韓とロシア・北朝鮮という新しい対立構図ができたことから、地域の緊張がさらに高まる恐れがあると警戒している。(この項終わり)

 

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「全国紙」がなくなる日は、そう遠くない!?

2024年05月04日 09時12分01秒 | Weblog

メディアの実情を伝える月刊誌「FACTA]は5月号で、『「全国紙」がなくなる日』というタイトルの記事を掲載。その中で、全国紙の発行部数が年々落ち込み、その影響で人件費の削減が続き、特に地方支局でその影響が広がっていると指摘している。

まず全体状況から見てみよう。2023年末に日本新聞協会が公表した同年の日刊110紙の総発行部数が前年に比べ7・5%減った。6年連続の減少だ。日本ABC協会がまとめた日刊紙の朝刊販売部数(月間)は昨年同期に比べ7・2%の減少で、その約7割を全国紙が占めている。つまり、地方紙の減少率は全国紙に比べ全体として低いというのだ。

そこで、新聞業界で大手紙の朝刊販売部数を10年前と比べると、各紙とも大幅に落ち込んでいる。読売新聞と朝日新聞は年平均で約40万部の減少。読売新聞と毎日新聞、日経新聞は半分以下になったという。部数が減れば当然売上高が減ってくる。例えば朝日は22年度の売上高が10年前の6割弱に落ち込んだ。

売り上げが減った場合、帳尻合わせの最も手っ取り早い方策は人件費の削減だ。新聞各紙、特に全国紙は「部数減→支局・記者減→取材力低下→紙面の質低下→部数減の負のスパイラルに陥っている」という。中でも地方の取材拠点を急速に減らしているのは朝日新聞で、10年7月に296ヶ所あったのが、23年7月には158ヶ所に大幅に落ち込んだ。このうちの大半は支局の削減だ。

削減の方法は新聞社によって多少異なるが、毎日新聞、産経新聞も取材拠点を半減させている。中でも産経新聞は支局や通信部を大幅に減らし、そうした地域では共同通信の配信に依存している。これに対し、読売新聞は05年以降、300を越す取材拠点を保持している。「唯一無二の全国紙」を目指しているという。

こうした全国紙の地方撤退は「道府県版などの紙面の劣化として表れてきている」とFACTA誌は指摘している。こうした地方取材網の削減は、記者の労働強化につながる。特に選挙の時には担当地域が2倍になれば2倍忙しくなるので、部数減のしわ寄せは地方記者に重くのしかかっているという。

以上の実態から、FACTA誌は「このままのペースで取材網縮小、記者削減が続けば5、6年後には100万部を上回る新聞は読売新聞だけになる見通しだ。名実ともに『全国紙』と言える新聞はほとんどなくなってしまうだろう」と指摘している。果たしてこれで良いのだろうか。(この項終わり)

 

 

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岸田首相は、なぜこの時期にあえて渡米するのか?

2024年04月08日 16時52分54秒 | Weblog

岸田文雄首相が8日から米国を訪問し、バイデン大統領らと会談すると発表された。安全保障分野などで日米の連携がさらに深まっていることを示し、強固な日米同盟をアピールするため、と日本政府はピーアールしている。だが、自民党の裏金問題でズタズタになっている現状を改善し、政権浮揚につなげるのは困難な情勢だ。

今回は2015年の安倍晋三元首相以来、9年ぶりの公式訪問で、日本の防衛力強化に向けた取り組みを共有し、防衛装備品に関する新たな協議体の創設で合意する予定だ。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻などで脅かされる「自由で開かれた国際秩序」を日米両国がパートナーとして維持・強化する姿勢を示す方針という。

自民党総裁である岸田首相にとって今一番肝心な仕事は、自民派閥の政治資金パーティー券を巡る裏金事件を解明し、国民にきちんと説明することだ。だが、首相は自らの責任を取らないばかりか、自身を処分の対象外にしているのは納得できない。それらを放置して米国へ飛ぶのは、国民への裏切りと言っても過言ではない。

このままでは、自民党に対する国民の不満や怒りが募り、政治不信は深まる一方だ。党内からも不満の声が噴出していると聞く。こうした事情は米国にも伝わっているので、首相への信頼感が低下しないとも限らない。

一方、米国でもバイデン大統領への支持率が低下気味で、秋の大統領選では再起を図るトランプ前大統領の優勢も伝えられている。この状況で岸田首相が無理して訪米しても、逆効果にならないとも限らない。今後の岸田首相の発言や米側の反応を注視したい。(この項終わり)

 

 

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ロシアのプーチン政権、今夏にもウクライナへ大攻勢を仕掛ける?

2024年03月19日 14時45分20秒 | Weblog

プーチン・ロシア大統領は3月の大統領選で通算5選を達成し、今後6年間、大統領の地位を維持できる態勢ができた。だが、後継者が育っていないうえ、ロシアでは高齢の71歳だけに、先行きへの不安も指摘されている。このため、プーチン大統領は今夏にもウクライナへ大規模攻勢を仕掛けるとの見方が出ている。

プーチン氏はロシア初代大統領であるエリツィン氏の推薦で2004年3月、大統領選に立候補して圧勝、2代目大統領に就任した。平和的な政権交代は、ロシア史上、初めてといわれている。当初は前大統領の方針を踏襲して民主的な政策を実行していたが、その後、暴力と恐怖で押さえ込むソ連時代のスターリン流統治に変化している。

特に近年は、プーチン氏を批判する政敵が謀殺される事件が相次いでいる。中でも、リベラル派の旗手だったネムツォフ元副首相や、傭兵部隊ワグネルの指導者プリコジン氏殺害の背後には政権側の影が感じられる。国民も混乱を恐れ、強い指導者を求める傾向が強いため、プーチン氏の抑圧指導体制が今後も続くと見られる。

一方、西欧諸国はロシアを恐れる余り、NATO( 北大西洋条約機構)に結集する傾向が強まった。これまで一貫して中立の立場をとっていたフィンランドとスウェーデンのNATO加盟が決まり、バルト海に面する国はロシア以外、全てNATOの勢力圏となった。対するロシアは中国との連携を強化して、西欧側に対抗しようとしている。

中でもロシアは、ウクライナとベラルーシを生命線とみなし、両国がNATOへ加盟すれば、ロシアは存亡の危機に追い込まれると恐れている。そこでプーチン政権は今夏にも先手をとって、ウクライナへ大規模攻勢を仕掛けるとの見方が浮上している。そうなると、ロシア・中国の連合軍と西欧諸国との総力戦になる恐れもある。それこそ、第三次世界大戦に直結しないとも限らない。(この項終わり)

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プーチン氏、15日からの大統領選で当選が確実視されているが・・・

2024年03月13日 10時43分25秒 | Weblog

プーチン大統領の通算5選の是非を問うロシア大統領選が3月15日から3日間、行われる。ロシアはウクライナとの戦争の渦中にあるが、プーチン氏の当選はすでに確実視されている。とはいえ、反体制派の有力者、ナワリヌイ氏の急死が国民の間に影を落としていて、選挙に微妙な影響を与える可能性もある。

プーチン氏は2000年、エリツィン氏の後を継いで大統領選に当選。その後、4年間、大統領職を後輩に譲ったものの、それ以降はずっと大統領を務め、毎回危なげなく当選を続けている。今回の選挙前の2月下旬に発表された世論調査でも、80%以上の支持率を維持している。

プーチン氏の長期政権の理由は何だろうか。毎日新聞のモスクワ支局員が市民にインタビューした結果でも、長期安定政権を評価する声が多かった。68歳の男性は「西側の絶え間ない挑発に対抗するプーチン氏の忍耐力を称賛する」と語り、ロシアの”救世主”という見方をしていた。

元々、ロシアは広大なユーラシア大陸に位置し、国内に大きな山地もなく、四方八方から外国軍に侵入された歴史がある。他の民族には計り知れない脅威があり、現在、その脅威は欧米だという主張が国民の間に根強く残っている。その結果、政権を国民の守護者と頼りにするようになるというのだ。

それだけに、ロシアは今後、欧米のウクライナへの支援ぶりや、11月の米大統領選の行方に左右される面もある。日本としても北方領土問題などを抱え、”北の大国”の行方には十分注意を払う必要がある。(この項終わり)

 

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露のウ侵攻から2年、ウ在住のロシア語作家はこう考える!

2024年02月22日 14時24分18秒 | Weblog

ロシア軍がウクライナに侵攻して2年が経過し、各紙誌が色々な角度から今日の状況を伝えている。その中で印象に残った記事は、22日付けの毎日新聞朝刊が掲載したウクライナ在住の国民的作家、アンドレイ・グルコフ氏のインタビューだ。両国を知り尽くした作家だけに両国民の感情をズバリ突いていると感じた。

グルコフ氏はソ連時代にロシアのレニングラードで生まれ、子どもの頃、ウウライナの首都キエフ(現キーウ)へ移住した。ロシア語で小説を書き、『ペンギンの憂鬱』(新潮社刊)で一躍有名になった。両国の国民感情を知り尽くした作家だけに、両国民の気持ちをうまく代弁していると思い、要旨をまとめてみた。

グルコフ氏はウクライナ軍が昨年6月に始めた「反転攻勢」に大いに期待した。だが、夏には早くも期待がしぼみ、ウクライナの人々は現実を直視する段階に入ったという。つまり、欧米からの支援は十分でなく、終戦は誰にも想像ができないと明確に認識した。人々は希望を捨てたわけではないが、何年も戦争状態が続くことを受け入れているというのだ。

この後、グルコフ氏はロシア人とウクライナ人の違いを指摘する。曰く、ロシア人は自由よりも安定を重視するが、ウクライナ人にとっては安定より自由が重要だ。一方、ロシア人はウクライナの文化や言葉を破壊し、ロシア人になることを強制する。ウクライナ人はこうした押し付けを最も懸念する。ウクライナ人は個人主義的で、集団主義のロシア人とは大きく異なるとしている。

続けてグルコフ氏は、ロシアは侵略をやめることはなく、どんな停戦も一時休止にすぎないと断定。プーチン大統領は世界地図からウクライナという文字を消したいだけでなく、米国などの民主主義国家に屈辱を与え、「ロシアが決めたら彼らは何もできない」と誇示したい考えを持っていると断言する。

さらに同氏は、ウクライナとロシアの将来の関係について、「ロシアの暴力はこの国に深い憎しみを植えつけた。子供たちは自国の東側には『手が血まみれの敵』がいて、西側には友人やパートナーがいると学びながら成長する」と指摘する。

その半面、文化的な影響力は敵意を和らげるので、ウクライナの若者文化などにロシア人が影響を受けるようになれば、変化があるかもしれないと語る。「ウクライナは独立した主権国家で独自の文化を持つ。そのようにロシアが認識を改めれば、40〜50年後には新たな関係が始まるかもしれない」と将来に希望をつないでいる。(この項終わり)

 

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ロシアの反体制派、ナワリヌイ氏が極北の刑務所で急死!

2024年02月17日 14時09分19秒 | Weblog

ロシアの反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏が2月16日、北極圏のヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所で死亡した。47歳だった。プーチン大統領を厳しく批判し続け、反体制派の中でも最もプーチン大統領を追い詰めた人物だった。3月の大統領選前の急死だけに、プーチン政権への批判が強まるのは必至だ。

弁護士のナワリヌイ氏は、若い頃からプーチン大統領の独裁政治を批判し、国民の支持を得た。このため2020年、毒を盛られて重体になるなど、政権側の迫害を受け続けた。翌年、いったん回復したが、2023年には過激派団体を創設したなどとして新たに懲役19年の判決を受け、北極圏の刑務所に移送されていた。

ロシアのインタファクス通信によると、矯正施設で散歩した後、気分が悪くなり意識を失った。医療機関関係者が現場に到着し蘇生措置を施したが、快方に向かわず死亡した。ナワリヌイ氏の母親が2月12日に刑務所で面会した時には元気だったという。ロシア国営メディアは、死因は血栓症と伝えている。

ナワリヌイ氏の突然の死去に西側諸国から非難の声が相次いでいる。バイデン米大統領は「間違いなくプーチン大統領の責任だ」と非難。カナダのトルドー首相は「プーチン大統領が怪物であることを全世界に再認識させた」と批判している。(この項終わり)

 

 

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ロシア・ウクライナ戦争は今後どうなるのか、目が離せない!

2024年01月29日 12時58分16秒 | Weblog

プーチン露大統領は3月中旬に予定されている大統領選を前に、ウクライナとの戦争を「できるだけ早く終わらせたい」と述べている。だが、あくまで「ロシア側の条件下であれば」という”しばり”を付けている。これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア側の撤退が条件との立場を変えず、歩み寄りは見られない。

プーチン氏は毎年年末に多数の記者を集めて大規模会見を開いている。昨年12月14日の会見では、ウクライナの「非ナチ化」や「非軍事化」の目標が達成されていないとして、戦争を継続する意向を示していた。ただ、国民に不評な軍隊の徴兵に付いては「新たな動員は必要ない」として予備役などの招集は行わないことを明言した。

その一方、プーチン氏は昨年末と今年始め、北朝鮮のミサイルを使用してウクライナを攻撃した。使用されたミサイルはロシア製の「イスカンデルM」に似た弾道ミサイル「KN23 」だった。ロシアは弾道ミサイルが不足しているので、このミサイルでウクライナの防空能力の弱点を突くためだ。

プーチン氏は現在71歳。3月の大統領選で勝利すると5期目となり、今後さらに2期12年間、続投することができる。戦時下の選挙となるが、プーチン氏の人気は相変わらず高く、最近の世論調査では8割前後の支持率を得ている。そのうえ、強力な対抗馬がいないため、今回も楽勝と予測されている。

それに引き換え、ゼレンスキー大統領は昨年6月に「反転攻勢」を開始してからも、期待通りの成果が得られていない。それどころか、軍内部からも不協和音が出ていて、大統領は厳しい状況に追い込まれている。特に、大統領が頼りとする米国や欧米諸国で「支援疲れ」が広まっているのが響いている。

中でも不安要素を抱えているのは欧州連合(EU)だ。表向きは「必要な限り支援を続ける」としているが、早くも足並みが乱れ始めた。その張本人はハンガリーで、大規模なウクライナ支援に難色を示している。この動きがEU内で、さらに広まる可能性もある。

今年はロシアのほか、米国などで大統領選を控えていて、その結果いかんでは西側のウクライナ支援が得られなくなる事態も考えられる。そうなったら、ウクライナは戦争どころではなくなる。新冷戦下で起きた初めての「ホット・ウオー」だけに、その行方が今後の世界情勢を大きく変えることになりそうだ。

    (この項終わり)

   

 

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