政府は1月25日までに、3月に米国で開催される、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を見送る方針を固めた。わが国周辺でロシアや中国、北朝鮮の核・ミサイル開発が進んでいるのに、世界最初の被爆国・日本がいつまでも消極的な姿勢を続けているのはおかしい。良心的な国々から今後、わが国が非難を浴びることは必至だ。
核兵器禁止条約は、核兵器の開発・保有・使用などの一切を禁止するもので、2021年に発効しているが米国、ロシア、中国などの核保有国だけでなく、日本なども署名・批准していない。締約国会議はこれまでに2回開かれ、米国の「核の傘」に依存するNATO加盟国などがオブザーバー参加したが条約の署名・批准には否定的だ。
こうした政府の対応に対し、オブザーバー参加を要請していた日本の被爆者団体などから、ガッカリする声が上がっている。中でも広島・長崎の被爆者団体などは「唯一の被爆国にも関わらず参加を見送る政府に腹が立ってしょうがない」(日本被団協代表委員の箕牧智之さん)と怒っている。実際、日本のように「核の傘」に依存しながらも、ドイツやノルウェーはオブザーバー参加している。
特に昨年12月、日本被団協がノーベル平和賞を受賞してから、国民の間で核兵器廃絶への関心は高まっている。実際、25日に広島市内で開催された集会参加者は「平和賞を受賞しても日本政府は変わっていない。残念な気持ちだ」「いま政府にとって、オブザーバー参加するには一番のチャンスだったが、それを逃した。国民の願いを無視している」と批判した。
広島に次ぐ被爆地である長崎でも、政府に対する憤りの声が広がっている。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長の川野浩一さんも「我々もここまで頑張ってきたから、政府が誠意を見せてくれるんではないかとという期待もあった。それにも応えないのは本当に情けない」と憤っていた。政府がこういう対応を続けていれば、自民党政権そのものへの批判が強まってくるのは避けられないだろう。(この項終わり)